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屋台をするか、店舗を出すか
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「で、まぁ、昔話はいいんだよ。それより、コトハ。君、屋台というか、市場で場所を借りて出店する? それとも、この入り口の庭に最初、簡易テントとテーブル置いて販売して、売れるようになったらここの家の中を改装してお店にする? 一応メリットとデメリットを話せるよ? あ、詳しく説明……値段とかはアルファードの方がわかるかな?」
ヴァーロは、甘いアイスティを飲みほす。
琴葉はさっぱりとしたミントティとちょっと赤みの強いハイビスカスローズヒップティのティーバックを準備するものの、ジョシュが不思議そうな顔をする。
ちなみにジョシュとアルファードにはストレートティを出しており、甘いお菓子……今度はプチケーキと前に作ったカボチャ、さつまいも、じゃがいもの焼きチップスを提供している。
「街で屋台というか場所を借りた場合、出店料金は安価なものを販売する時は、20分の1ルード(約5,000円)。でも、高額なものを販売する時は、売れた額の1割。これは場所を貸してくれている料金と警備をする人間のバイト代になる。早めに準備と片付けを手早くするのと簡単な掃除が必要。でも毎回同じ場所を貸してくれる訳じゃないし、飲食店の横に店を出すこともあるから、注意」
「そうなんですね……」
「それに結構な人混みだし、女性と見た目少年のヴァーロの二人で出店はお勧めできませんね」
ジョシュが話す。
「ジョシュは一応心配性だからね。バーバラとメリッサも出したがらないからね。末っ子のナタリーも領地のお屋敷でしょ?」
「メリッサも術暴走が最近まであったので……ナタリーはまだ2歳ですからね。コスタリカ邸には術を封じる魔石で作った空間があるので、安心なんですよ……それより、さっきの話を繰り返しますが、お勧めしませんよ」
「そうだねぇ……アルファードもおんなじ?」
「そうですね。市場は結構人が多くて、慣れない人が紛れ込んだらちょっとね……」
アルファードは言いながらカボチャチップスをひと口齧り、はっとする。
「……えっ? これは?」
「カボチャのお菓子です。オーブンで焼いて、水分を飛ばしていますので、甘みが強いと思います。油で揚げ焼きもできるのですが、そうするとカロリー……いえ、食べ過ぎると栄養過多になると思って……」
「えっ? これ、カボチャ?」
「はい。他に、人参、ごぼう、さつまいも、じゃがいも、レンコン、ゴーヤーですね。トマトやピーマン、ナスも試したいと思っているのですが、嫌がるんですよね……」
琴葉は言いながらチラッとヴァーロを見る。
「嫌いだもん! 本当はゴーヤーも嫌い……でも一枚でも食べたら、さつまいもチップスの甘いのくれるから」
「胃袋掴まれてるよ、ヴァーロ」
「だって美味しいんだもん。それに昨日はスパゲッティ食べたよ」
「スパゲッティ?」
「麺料理ですね。パスタの麺が一番安くて、燃料費も安いんです。それに、安いお店に行って買い溜めしていたので……」
琴葉が決まり悪げに呟く。
本当はお米の方が好きなのだが、米は近所のスーパーでは高かった。
安いものを選ぶと、粒にばらつきがあったりして美味しくない。
そんな時に、用事で出かけた先にあった店舗用の大容量販売のスーパーには大容量の乾麺が売っていた。
うどんや素麺もあったのだが、素麺は茹で時間が短くていいのだが、時間が経つともさついて食べにくい。
うどんは美味しいが、茹で時間が長く、夏は蒸し暑い。
値段もちょっと割高で、安価なパスタがあった時にまとめ買いしてあれこれ味を変えて楽しんでいたのだ。
ちなみに大容量スーパーでは8キロ2000円弱だったが、別店舗の特売で1キロ178円だったのを、10袋購入していたのである。
昨日はペペロンチーノやクリームパスタ、スープパスタ、ミートソースパスタも考えたが、お子様のヴァーロにはシーチキン缶の半分と醤油、隠し味にマヨネーズとで簡単パスタを作ったら好評だった。
シーチキンは、オイルも別料理に使えるのでかなり節約だったりする。
「えっと……ちょっと作りましょうか? すぐにできると思います」
一回奥に入っていくと時間があまりかからず、いい匂いがしてくる。
その匂いに釣られるように、バーバラやメリッサ、フェリシアも目を覚ましている。
しばらくしてワゴンに鍋とスープ皿、スプーンなどが乗せられ押して戻る。
「あ、目が覚めたんですね? ちょっとですがスープパスタを作りました。どうぞ」
器に注いでいき、渡す。
「私が良くしてた手抜き料理ですが……簡単スープパスタです。作り置きの刻み野菜のコンソメスープに、短く折って茹でたパスタを混ぜました。お肉はベーコンです。本当に短く折っているので、フォークは使わずスプーンでどうぞ」
「……これで手抜き?」
「はい、元々の基本スープを大量に作って、いくつか分けてます。一つにはゴロゴロのじゃがいもとか人参、お肉を入れたりして、それも二つに分けて、一つはシチュー、もう一つはスパイス入りです。次の鍋はスープにしようと思ってて、そのスープも別の野菜を入れてとか、このスープパスタのスープは余った野菜やチップスを作った時に出た皮を刻んで、煮込んだものです。結構美味しいでしょう?」
「美味しい!」
バーバラは目を輝かせる。
「すごい! こんなに美味しい料理ってないわ! それにこれって小麦粉で作ったものよね? 麺! 長いのをこんなふうにして食べられるなんて! うちの下の子の食事にも出せそう! お願い! レシピ教えてくれない?」
「あ、自己流というか大体になっちゃうんですが……」
「いいの。ありがとう!」
喜ぶバーバラの横で、ジョシュが、
「こんなに美味しいお菓子や料理つくるんだったら、ここで、喫茶店兼雑貨屋すればいいのに」
と爆弾を投下したのだった。
ヴァーロは、甘いアイスティを飲みほす。
琴葉はさっぱりとしたミントティとちょっと赤みの強いハイビスカスローズヒップティのティーバックを準備するものの、ジョシュが不思議そうな顔をする。
ちなみにジョシュとアルファードにはストレートティを出しており、甘いお菓子……今度はプチケーキと前に作ったカボチャ、さつまいも、じゃがいもの焼きチップスを提供している。
「街で屋台というか場所を借りた場合、出店料金は安価なものを販売する時は、20分の1ルード(約5,000円)。でも、高額なものを販売する時は、売れた額の1割。これは場所を貸してくれている料金と警備をする人間のバイト代になる。早めに準備と片付けを手早くするのと簡単な掃除が必要。でも毎回同じ場所を貸してくれる訳じゃないし、飲食店の横に店を出すこともあるから、注意」
「そうなんですね……」
「それに結構な人混みだし、女性と見た目少年のヴァーロの二人で出店はお勧めできませんね」
ジョシュが話す。
「ジョシュは一応心配性だからね。バーバラとメリッサも出したがらないからね。末っ子のナタリーも領地のお屋敷でしょ?」
「メリッサも術暴走が最近まであったので……ナタリーはまだ2歳ですからね。コスタリカ邸には術を封じる魔石で作った空間があるので、安心なんですよ……それより、さっきの話を繰り返しますが、お勧めしませんよ」
「そうだねぇ……アルファードもおんなじ?」
「そうですね。市場は結構人が多くて、慣れない人が紛れ込んだらちょっとね……」
アルファードは言いながらカボチャチップスをひと口齧り、はっとする。
「……えっ? これは?」
「カボチャのお菓子です。オーブンで焼いて、水分を飛ばしていますので、甘みが強いと思います。油で揚げ焼きもできるのですが、そうするとカロリー……いえ、食べ過ぎると栄養過多になると思って……」
「えっ? これ、カボチャ?」
「はい。他に、人参、ごぼう、さつまいも、じゃがいも、レンコン、ゴーヤーですね。トマトやピーマン、ナスも試したいと思っているのですが、嫌がるんですよね……」
琴葉は言いながらチラッとヴァーロを見る。
「嫌いだもん! 本当はゴーヤーも嫌い……でも一枚でも食べたら、さつまいもチップスの甘いのくれるから」
「胃袋掴まれてるよ、ヴァーロ」
「だって美味しいんだもん。それに昨日はスパゲッティ食べたよ」
「スパゲッティ?」
「麺料理ですね。パスタの麺が一番安くて、燃料費も安いんです。それに、安いお店に行って買い溜めしていたので……」
琴葉が決まり悪げに呟く。
本当はお米の方が好きなのだが、米は近所のスーパーでは高かった。
安いものを選ぶと、粒にばらつきがあったりして美味しくない。
そんな時に、用事で出かけた先にあった店舗用の大容量販売のスーパーには大容量の乾麺が売っていた。
うどんや素麺もあったのだが、素麺は茹で時間が短くていいのだが、時間が経つともさついて食べにくい。
うどんは美味しいが、茹で時間が長く、夏は蒸し暑い。
値段もちょっと割高で、安価なパスタがあった時にまとめ買いしてあれこれ味を変えて楽しんでいたのだ。
ちなみに大容量スーパーでは8キロ2000円弱だったが、別店舗の特売で1キロ178円だったのを、10袋購入していたのである。
昨日はペペロンチーノやクリームパスタ、スープパスタ、ミートソースパスタも考えたが、お子様のヴァーロにはシーチキン缶の半分と醤油、隠し味にマヨネーズとで簡単パスタを作ったら好評だった。
シーチキンは、オイルも別料理に使えるのでかなり節約だったりする。
「えっと……ちょっと作りましょうか? すぐにできると思います」
一回奥に入っていくと時間があまりかからず、いい匂いがしてくる。
その匂いに釣られるように、バーバラやメリッサ、フェリシアも目を覚ましている。
しばらくしてワゴンに鍋とスープ皿、スプーンなどが乗せられ押して戻る。
「あ、目が覚めたんですね? ちょっとですがスープパスタを作りました。どうぞ」
器に注いでいき、渡す。
「私が良くしてた手抜き料理ですが……簡単スープパスタです。作り置きの刻み野菜のコンソメスープに、短く折って茹でたパスタを混ぜました。お肉はベーコンです。本当に短く折っているので、フォークは使わずスプーンでどうぞ」
「……これで手抜き?」
「はい、元々の基本スープを大量に作って、いくつか分けてます。一つにはゴロゴロのじゃがいもとか人参、お肉を入れたりして、それも二つに分けて、一つはシチュー、もう一つはスパイス入りです。次の鍋はスープにしようと思ってて、そのスープも別の野菜を入れてとか、このスープパスタのスープは余った野菜やチップスを作った時に出た皮を刻んで、煮込んだものです。結構美味しいでしょう?」
「美味しい!」
バーバラは目を輝かせる。
「すごい! こんなに美味しい料理ってないわ! それにこれって小麦粉で作ったものよね? 麺! 長いのをこんなふうにして食べられるなんて! うちの下の子の食事にも出せそう! お願い! レシピ教えてくれない?」
「あ、自己流というか大体になっちゃうんですが……」
「いいの。ありがとう!」
喜ぶバーバラの横で、ジョシュが、
「こんなに美味しいお菓子や料理つくるんだったら、ここで、喫茶店兼雑貨屋すればいいのに」
と爆弾を投下したのだった。
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