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新しい部屋
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「新しい部屋がある……」
「新しい部屋?」
「さっきまでこの扉なかったし……こっちの部屋は僕の部屋で、あの一番奥が琴葉とチャチャの部屋だよ。この部屋……もしかして、アルスたちの部屋かも……」
ドアを開け、中の広い空間を覗き込みつつ困惑する二人に、琴葉は、
「えっと……この家は……進化する家です!」
半分やけである。
本当のことがはっきりわかっていないが、丸め込めたらいいのだ!
桜智に怒られたら、テディベアを作るのである!
「一応、私が優秀ではなく、私のマジックバッグについている精霊の桜智さんが大変優秀で、桜智さんの貢献度によって色々変わるのです。桜智さんが、家とも同化しているようで、前にヴァーロくんがうちに来る時も家が進化したので、アルスさんやソフィアさんも桜智さんやこの家に認められたんだと思います。えっと、何にもないですよね?」
3人で中に入り、クローゼットだけで何もない部屋を見回すと、ふと思いついて、ちょっとバッグの中を確認する。
そういえば、前にこんなにどうして入っているんだと思っていた家具があった。
キングサイズのベッドに、少々豪華すぎる絨毯……これは、桜智の荷物の中にあった。
アンティークっぽい外国の幾何学模様というか、伝統的な模様が織り込まれた絨毯。
絶対数百万円単位がするだろうという高級なそれである。
そして猫脚の物書き机と椅子、ソファにテーブル、他に棚や本棚……。
並べていくと、
「こんな感じでいいでしょうか? 布団や毛布、シーツに枕は上です。そして、クローゼットにはあるだけ放出しておきますね?」
「えっ? なんだ? どういうことだ?」
焦るアルスの腰にぽんっと手を置く。
「この部屋、アルスとソフィアで使いなっていってるみたい。それと服も、色々持ち込んだから、この家で楽に過ごせっていうことみたいだよ」
「えっと……いいのか? お金が……」
【あぁぁ! ウダウダいうんじゃないわよ! 大の男が! 何なら力仕事しますくらい言いやがれっての!】
バッグから顔を出した桜智(大)ドールが、右手を振り回す。
【アタシが反対したって! 琴葉がOK出したんだから、この家を追い出せないわよ! あ、アタシは桜智! 一応、琴葉の精霊みたいなもの! よろしくね!】
「……えぇぇ! コレが精霊?」
【付喪神ってグランディアでは言われてるわよ! 物に命が宿るの。アタシは一応このバッグの精霊ね。でも何かわかんないけど、琴葉の言葉によればこの家もアタシと繋がってるみたいね! よろしく。多分、琴葉が忙しい時はアタシがアンタの先生になるからね!】
「うわぁ……」
【一応、アンタと奥さんの服だけど……奥さんのは琴葉の服と変わらないサイズだからいいけど……アンタの服ってサイズ……】
アルスにトコトコ近づくと、くるくる周りを歩きつつ考え込む。
「えーとなかったら、いいです」
【許すか~! 汚いカッコとだらしないのほど許せないのよ! おいで! 琴葉! アタシの封印ボックス出しなさい! そんで、琴葉だけでてくのよ! その缶抱えてむさぼり食うバカドラ! 逃げんな!】
「誰がバカ~? ひどいよ!」
【お黙り! 可愛こぶって、琴葉に着替えを手伝わせるなんて、アンタは幾つだよ! このジジイ!】
どやしつつ琴葉を部屋から出す。
【外の奥さんにあったかいお茶出すのよ? 何ならスープでもいいわ。で、アンタもお茶のんでゆっくりしなさい、いいわね?】
「はい」
見送った後扉を閉めた桜智は、振り返り、腕を組んでゆっくり獲物に近づいていったのだった。
「新しい部屋?」
「さっきまでこの扉なかったし……こっちの部屋は僕の部屋で、あの一番奥が琴葉とチャチャの部屋だよ。この部屋……もしかして、アルスたちの部屋かも……」
ドアを開け、中の広い空間を覗き込みつつ困惑する二人に、琴葉は、
「えっと……この家は……進化する家です!」
半分やけである。
本当のことがはっきりわかっていないが、丸め込めたらいいのだ!
桜智に怒られたら、テディベアを作るのである!
「一応、私が優秀ではなく、私のマジックバッグについている精霊の桜智さんが大変優秀で、桜智さんの貢献度によって色々変わるのです。桜智さんが、家とも同化しているようで、前にヴァーロくんがうちに来る時も家が進化したので、アルスさんやソフィアさんも桜智さんやこの家に認められたんだと思います。えっと、何にもないですよね?」
3人で中に入り、クローゼットだけで何もない部屋を見回すと、ふと思いついて、ちょっとバッグの中を確認する。
そういえば、前にこんなにどうして入っているんだと思っていた家具があった。
キングサイズのベッドに、少々豪華すぎる絨毯……これは、桜智の荷物の中にあった。
アンティークっぽい外国の幾何学模様というか、伝統的な模様が織り込まれた絨毯。
絶対数百万円単位がするだろうという高級なそれである。
そして猫脚の物書き机と椅子、ソファにテーブル、他に棚や本棚……。
並べていくと、
「こんな感じでいいでしょうか? 布団や毛布、シーツに枕は上です。そして、クローゼットにはあるだけ放出しておきますね?」
「えっ? なんだ? どういうことだ?」
焦るアルスの腰にぽんっと手を置く。
「この部屋、アルスとソフィアで使いなっていってるみたい。それと服も、色々持ち込んだから、この家で楽に過ごせっていうことみたいだよ」
「えっと……いいのか? お金が……」
【あぁぁ! ウダウダいうんじゃないわよ! 大の男が! 何なら力仕事しますくらい言いやがれっての!】
バッグから顔を出した桜智(大)ドールが、右手を振り回す。
【アタシが反対したって! 琴葉がOK出したんだから、この家を追い出せないわよ! あ、アタシは桜智! 一応、琴葉の精霊みたいなもの! よろしくね!】
「……えぇぇ! コレが精霊?」
【付喪神ってグランディアでは言われてるわよ! 物に命が宿るの。アタシは一応このバッグの精霊ね。でも何かわかんないけど、琴葉の言葉によればこの家もアタシと繋がってるみたいね! よろしく。多分、琴葉が忙しい時はアタシがアンタの先生になるからね!】
「うわぁ……」
【一応、アンタと奥さんの服だけど……奥さんのは琴葉の服と変わらないサイズだからいいけど……アンタの服ってサイズ……】
アルスにトコトコ近づくと、くるくる周りを歩きつつ考え込む。
「えーとなかったら、いいです」
【許すか~! 汚いカッコとだらしないのほど許せないのよ! おいで! 琴葉! アタシの封印ボックス出しなさい! そんで、琴葉だけでてくのよ! その缶抱えてむさぼり食うバカドラ! 逃げんな!】
「誰がバカ~? ひどいよ!」
【お黙り! 可愛こぶって、琴葉に着替えを手伝わせるなんて、アンタは幾つだよ! このジジイ!】
どやしつつ琴葉を部屋から出す。
【外の奥さんにあったかいお茶出すのよ? 何ならスープでもいいわ。で、アンタもお茶のんでゆっくりしなさい、いいわね?】
「はい」
見送った後扉を閉めた桜智は、振り返り、腕を組んでゆっくり獲物に近づいていったのだった。
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