もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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ギルドに行く

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 琴葉はヴァーロと並んで歩いていた。
 チャチャも最初は興味深そうに歩いていたが、すぐに疲れたらしく、

 きゅあぁぁ……

とヴァーロに訴えて、抱っこしてもらっていた。
 今日のチャチャはウサギの着ぐるみである。

「ヴァーロくん、チャチャ抱っこしたままで大丈夫?」
「大丈夫だよ。ボク強いし!」
「それはわかってるよ。でも、剣はポンチョの下だよ?」
「あぁ、大丈夫。ボクあちこちに武器隠してるし、素手でも戦えるから」
「へぇ……強いんだね、羨ましい。私は、ナイフで筆記用具削ったり、包丁で料理したりする程度で、武器は扱えないし、運動神経も……いい方じゃないからなぁ」

 首をすくめる。
 自慢じゃないが、走って逃げるのも遅いはずである。
 元々内向的だから、と思うが、そんなに運動神経は自信がある方ではない。

 今日は肩掛けバッグとリュックと、ヴァーロ用の程凝っていないウエストポーチを持って来ている。
 他には、一番使用頻度の多そうなトートバッグも色柄や、持ち手の長さ、サイズを変え、大量に入れている。
 買い物に使えそうなものから、生地を帆布などを用いて頑丈なものもある。

「でも、置いてもらえるかな……」
「大丈夫でしょう。それに、アルス用に渡してたバッグってあれすごいね? 薄いバッグなのに、開いたら10個ぐらいポケットがあって、あのまとまらないアルスの荷物が整理できてたよ。すごいよ」
「あれも、私が学校に通っていた時に、小物とか仕分けできなかったので、前に見つけた小さいポーチをつけたりして作ったものがあって、それを思い出してリメイクしてみました」
「あれ、絶対アルスとブリランテのメンバー以外には公表しない方がいいよ。父やじいさまなら欲しがるかな?」

 ヴァーロは周りを歩く人にぶつからないように琴葉を庇う。
 琴葉は小柄な方の自称148cmである。
 先日のバーバラは15歳くらいの外見と言ったものの、身長はすらっと長身で琴葉より頭一つ以上高い160cm超え。
 そして線の細いソフィアも、琴葉より少し高い150cm。
 ヴァーロも見た目年齢7歳くらいなので姉弟のような見た目である。
 そしてこの国は男性の平均身長が175以上はあり、アルスは200近かった。

「ちょっと悔しいなぁ……ボクと琴葉歩いてても、見た目お姉さんと弟だもん……」
「あはは! でも、私はヴァーロくんがどんな姿だって大好きだよ」
「もうちょっと大きくなって、琴葉やチャチャを守れるようになれたらなぁ……」
「守ってくれてるよ。ねぇ? チャチャ?」

 鼻を鳴らし、そうだと言わんばかりのチャチャに、ヴァーロは微笑む。

「うん、気長に待つよ。あ、ギルドはここ」

 指で示す。
 がっしりとした石積みの建物で、扉は木製だが何故か切り付けられた跡や、何かが当たった跡がいくつもついている。
 取っての部分はなく、押して入るようだ。
 ヴァーロが手で開けてくれる。

「これ結構重いから気をつけて。はい、琴葉。どうぞ」

 ヴァーロに先導され、中に入った。
 中は広く……西部劇の酒場をイメージしていたが、前世の役所っぽい感じで、拍子抜けする。
 入り口にはスタッフが一人カウンターに立っていて、にっこり笑う。

「あぁ、ヴァーロさま。お帰りですか? 緊急にフェルディさまから採集の依頼が入っていますよ?」

 制服ではなさそうだがさっぱりとしたベストと動きやすそうな上下の女性がヴァーロに話しかける。

「えぇぇ? 何を? 面倒臭いものかなぁ?」
「えと、子守竜の子育て後の羽毛と生え変わったドラゴンの牙、ドラゴンの卵殻ですかね」
「卵殻? 牙? 前に知り合ったブラックドラゴンの毛は大量にあるけど……ドラゴンの牙に卵殻……あれって子守竜や親が飲み込むか噛み砕いて子供にミルクみたいにして飲ませちゃうんだよね……本当厄介なもの頼んでくるなぁ、じいさまは」

 むむぅ……渋い顔をする。
 その横で琴葉はバッグを覗き込む。

「あのぉ……チャチャの乳歯が抜けたのと、卵の殻みたいなものはありますが……いる? ヴァーロくん」
「えぇぇ! あるの?」
「えぇ。チャチャ。ヴァーロくんにあげていい?」

 キュアァァ!

 いいよ? と言いたげに尻尾を振るチャチャに、ヴァーロは、

「ありがとう! 本当に本当に助かります! 正規の取引価格をお支払いします!」
「それは……チャチャ? お金いる?」

問いかけると、首を傾げ、ふと思いついたように、

 キュキュキュ!

と首を振る。

「えーと多分、いらないって言ってるみたい。ヴァーロくんにあげるだって」
「えぇぇ! まぁ、まずはじいさまにそれを渡しちゃうか……。ごめんね。多分じいさまこの地下にいると思うから……琴葉とチャチャはこの奥の応接室でいてね? すぐ戻るから。えっと、卵殻と牙は……」
「はい。これです」

 卵殻と牙を入れている袋を取り出し、ヴァーロに渡すと、ヴァーロはチャチャを琴葉に手渡し、受付の女性に琴葉たちを頼み早足で地下への階段を降りていく。

「コトハさまですね。どうぞこちらに」

 女性は7部丈のパンツの下は長めのブーツで歩いている。
 ついていくと、扉を開け、中に案内してくれる。

「どうぞ。そちらのソファにお座りくださいませ。こちらは大変安全です。諜報間諜も侵入できません。どんな商談でも内密な話も大丈夫ですので、もし大事なお話をしなければならないときは、私かこのピアスをつけている人間にお声をおかけください。もし、いないときは私の名前……ラハシアに用があるとおっしゃってくださいませ」
「ありがとうございます。ラハシアさん」

 微笑んだラハシアは軽く会釈をして部屋を出ていった。
 チャチャをソファに下ろし、その隣に座ると、ホッとする。
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