もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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お出かけ

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 半月ほどの間に、琴葉の周囲は落ち着き、アルスは図鑑を訳しつつ、琴葉の持って来ていた乾燥ハーブを一つ一つ試す。
 そのまま口にするだけでなく、煮出したり、もしくは蒸気を浴びるなどできる限り試す。
 そして、自分の集めたハーブと見比べ、そして自分の持っていた古い本に書き込む。
 それだけでなく、プランターと土を購入し、庭で育て始める。
 特にミントは直植えすると一気に増えてしまう。
 カモミールも増えるが、根の張り具合が違うのと、使用頻度の多さから、畑を作って植えた。
 ちなみに、ミントは交配するとかなり増えてしまうので、あちこち別々に離して置いている。
 アップルミント、スペアミント、ペパーミント、ウォーターミント、そして薄荷ハッカを選んだ。
 薄荷は日本のミントの一種だ。
 他にはラベンダーとイタリアンパセリ、コリアンダー、レモングラス、バジルと基本的なハーブを選んだ。
 一緒に、青紫蘇と赤紫蘇も植えたのは、一番身近なハーブだからかもしれない。
 毎日アルスと琴葉、ソフィアとヴァーロが交代で水をやり、様子を確認する。
 現在順調に生育中だ。

 そして、先日植えたスプラウトは、順調に伸びて先日収穫。
 サラダに使われた。
 自分が作ったものを収穫して喜んでいたものの、一日で食べきってしまったことにショックを受けたヴァーロの涙目が可愛かった。

 今日も、昼食にバジルのスパゲッティを食べ、レモングラスのハーブティーを飲んだアルスは味がどうだったかを持っていた紙に細かい文字で書き込んでいた。メモも乱雑にしまっていてはわからなくなるのではないか?

「あの、アルスさん、ノートに書き込んだらどうでしょう?」
「いや……本当はそうしたいんだが、ノートに書くと、途中で追加で書くことができた時に、挟むこともできないだろう? まぁ、これも整理整頓面倒ではあるのだが……」
「あ、じゃぁ、こう言うのはどうでしょう」

 出すのは、小さめのメモの束。

「これは付箋と言って、書いて貼り付けるメモです。それにインデックス……というか、紙の隅にこの紙にはこのハーブについて書いてるとわかるようにしておけば、探す手間が省けます。あ、それよりルーズリーフのほうがいいですかね?」

 続けて琴葉が出すのは、しっかりとした穴の空いた紙をまとめる表装……ルーズリーフバインダー。
 紙の束もしっかり出している。

「これは中を入れ替えられますし、必要無くなったら中のものをとって処分できます。ノートだと、入れ替えはできませんが、これなら、書き込み用紙が足りない時は足せますし、イライラしませんよ」
「いいのか?」
「えぇ。このためのものですし、もし、書き込み終わったら、全部出して、それに簡易の表紙をつけて本棚に置きましょうか」

 言いながらルーズリーフを簡易的にまとめる輪っか……リングを置く。

「助かるよ……それに、この貼って剥がせるフセンという紙とか、便利だな……」
「私のいた地域は、何故か文房具が進化してました」
「進化か、言い方が面白いな。ありがとう、コトハ」

 笑うと、また仕事に戻る。

 アルスは勉強熱心だ。
 自分の身体を使って薬を試すなんて、前世の中国の神話時代の神農のようだ。
 まぁ毒キノコとかはないし、食べ合わせさえ注意していれば大丈夫かな……と思いつつ、チャチャと一緒に自分について歩くヴァーロに笑いかける。

「ヴァーロくん。お腹すいた?」
「ううん、大丈夫! それよりチャチャとお散歩行こうよ! ね?」
「そうだね。あ、ギルドに置かせてもらえる作品持って行こうかな」
「うん! 護衛は任せて!」
「ちょっと待ってて。ポンチョ着てくるね」

 バッグと外出用のポンチョを取りに戻る。
 靴はショートブーツ。
 スカートはシックな臙脂色にエプロンドレス、上のシャツは長袖だが、薄かったので一枚セーターを着ている。

【アタシはここにいるわよ。一応繋がってるから何かあったら呼びなさい】

 桜智は手を振り、

【アホドラ。琴葉とチャチャ頼むわよ】

「アホドラって言うなっての!」

ガウガウ文句を言うヴァーロをいなし、桜智は一人編み物をしていたソフィアの横に座ったのだった。
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