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階段で遊ぼう!
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「おいちぃ!」
具沢山のスープがお昼に用意された。
これから住む二人を含めた、この家のみんなで集まって食べる。
フィーアはポンチョを脱ぎ、代わりにスモックという袖付きの服を着せてもらう。
「これは私のすんでいた地域で小さい子が汚してもいい服として上に着せているの。これを着てどんなに汚しても、『おぉ! よく汚したねぇ!』って言うくらいよ」
袖の手首の部分と首周りも伸び縮みするようになっている。
そして、
「はい! フィーアちゃんのスプーンだよ。フォークもお揃いがあるからね」
「わーちゃん!」
「そうだね~。ヴァーロくんの顔みたいだね」
ワンコの絵のついたスプーンを握らせるとキャッキャとはしゃぐ。
アルスとソフィアが横でニコニコと見守り、琴葉は鍋のそばでアルスの器を受け取っている。
「……えっ? このスープは……」
「えっと、具沢山のだよ。シンプルなスープだけど、夜はこれに長毛牛のミルクなんかを使うシチューにするんだって。ボクはよくわかんないんだけど、きっと美味しいよね! フィーアのあのホットミルクは、コトハも時間停止のバッグ持ってるから、ミルクが大量に出る時に大量購入してるみたいだよ」
ヴァーロも大きな口を開けて頬張っている。
ヴァーロは見た目は華奢な少年だが、もうすでに三杯目である。
「ラハシアも食べなよ。一応そっちのパンもミルクを練り込んでるんだって」
「は、はい。いただきます」
一口口に入れると、その美味しさに目を見開く。
「お、美味しいです! これは、ゴロゴロ野菜ですか?」
「そう。カボチャと芋と、にんじんとブロッコリーとカリフラワーって言ってた。にんじんはクッキーの型抜きで抜いてるんだって。だから花柄に三角とかハートとかあるみたい」
「あ、本当ですね」
「ボクもここにきてから野菜食べられるようになったよ」
「こんなに具沢山の料理って私の小さい頃くらいです。ご馳走なのですね」
パンをちぎり、食べながら答えると、琴葉がキョトンと首を傾げる。
「えっ? ご馳走は夜ごはんですよ? ハンバーグとシチューとコロッケとスパゲッティにしようかなぁって。お昼のデザートはプリンです。夜も楽しみにしててね」
「えっ? ご馳走……」
「えと、このお昼のスープはシチューのミルクを入れる前なんです。これでも十分おいしいのですが、これがもっと美味しくなるので、楽しみにしてくださいね! 中のお肉は干し肉じゃなくて、ベーコンなのですよ。干し肉はお肉がカチコチになっちゃって、煮込むと味が全部出て逆に味が楽しめないので、ベーコンにしてます。ソーセージもいいですよね。他に鶏肉も私は好きです」
「えぇぇ! これ以上に豪華なのですか?」
琴葉はニコニコ笑う。
「本当はパンにジャムをと思っていたのですが、つけますか」
「ジャム!」
最近限定品としてギルド直売店に置かれていた超高級品である。
一つお試しで購入し、家族へのお土産に持って帰った同僚が、家族にまた買って欲しいと頼まれたらしい。
しかし、小さい瓶一つで5銅貨もするのと、買いに行ってもすぐに売り切れるらしく嘆いていた。
「はい。これも私がつくったものです。えっと、トマトとカボチャ、甘芋、りんご、みかん、レモン、ミックスベリーが今ありますね」
カゴの中に幾つも瓶があり、瓶をひとつひとつ出して説明してくれる。
「えっと、甘いのがいいなら甘芋とりんごですかね。少し酸っぱいのがレモン、ベリーは甘酸っぱいです。トマトは砂糖を入れているので少しサラッとしていて甘いですよ」
「すごい……」
「あ、これも作るのお手伝いしてくださいね!」
「ふぃーも!」
ちょうだいとねだるフィーアに、琴葉は一番甘くて気に入りそうな芋のジャムを乗せた小さいパンを口に近づける。
「はーい。どうぞ」
「……おいちっ!」
「ラハシアさんはどれがいいですか?」
「えっと……い、一緒ので……」
「はい! これは、時々麦粉を練ったものに包んで焼いたり蒸したりして食べるんですよ。ここでお菓子として出すことにしています。美味しいですよ」
パンを恐る恐る口に入れると、パン自体も甘くふわふわしているのに、上のジャムもとろけるように甘い。
「……美味しい……」
「よかったです」
かなりお腹いっぱいになったのだが、休憩後部屋にという話をしていたところ、フィーアが、
「あしょぶ!」
と子供用の椅子を下ろしてもらった後とたとたと走り出した。
慌てて追いかけると、手をつきながら階段を登り始めた。
「フィーア! ダメよ」
「あ、そうだわ。フィーアちゃん。じゃんけんして遊びましょうか?」
「じゃんけん?」
「えぇ。手を握ったのがグー、指を2本がチョキ。手を広げて出すとパーね。グーは石で、チョキはハサミ。パーは紙よ。それで、石はハサミより強い。ハサミは紙より強い、紙は石より強いの」
自分の手をその形にして説明する。
「じゃんけんぽんって言うから、ぽんの時に、どれかを出してね? 勝ったら、えっと……自分の名前の数だけ階段を登ろう! 登り切ったら、お姉ちゃんからプレゼントです!」
「わぁい!」
バンザイと両手を上げる。
「じゃぁ、じゃーんけーんぽん!」
具沢山のスープがお昼に用意された。
これから住む二人を含めた、この家のみんなで集まって食べる。
フィーアはポンチョを脱ぎ、代わりにスモックという袖付きの服を着せてもらう。
「これは私のすんでいた地域で小さい子が汚してもいい服として上に着せているの。これを着てどんなに汚しても、『おぉ! よく汚したねぇ!』って言うくらいよ」
袖の手首の部分と首周りも伸び縮みするようになっている。
そして、
「はい! フィーアちゃんのスプーンだよ。フォークもお揃いがあるからね」
「わーちゃん!」
「そうだね~。ヴァーロくんの顔みたいだね」
ワンコの絵のついたスプーンを握らせるとキャッキャとはしゃぐ。
アルスとソフィアが横でニコニコと見守り、琴葉は鍋のそばでアルスの器を受け取っている。
「……えっ? このスープは……」
「えっと、具沢山のだよ。シンプルなスープだけど、夜はこれに長毛牛のミルクなんかを使うシチューにするんだって。ボクはよくわかんないんだけど、きっと美味しいよね! フィーアのあのホットミルクは、コトハも時間停止のバッグ持ってるから、ミルクが大量に出る時に大量購入してるみたいだよ」
ヴァーロも大きな口を開けて頬張っている。
ヴァーロは見た目は華奢な少年だが、もうすでに三杯目である。
「ラハシアも食べなよ。一応そっちのパンもミルクを練り込んでるんだって」
「は、はい。いただきます」
一口口に入れると、その美味しさに目を見開く。
「お、美味しいです! これは、ゴロゴロ野菜ですか?」
「そう。カボチャと芋と、にんじんとブロッコリーとカリフラワーって言ってた。にんじんはクッキーの型抜きで抜いてるんだって。だから花柄に三角とかハートとかあるみたい」
「あ、本当ですね」
「ボクもここにきてから野菜食べられるようになったよ」
「こんなに具沢山の料理って私の小さい頃くらいです。ご馳走なのですね」
パンをちぎり、食べながら答えると、琴葉がキョトンと首を傾げる。
「えっ? ご馳走は夜ごはんですよ? ハンバーグとシチューとコロッケとスパゲッティにしようかなぁって。お昼のデザートはプリンです。夜も楽しみにしててね」
「えっ? ご馳走……」
「えと、このお昼のスープはシチューのミルクを入れる前なんです。これでも十分おいしいのですが、これがもっと美味しくなるので、楽しみにしてくださいね! 中のお肉は干し肉じゃなくて、ベーコンなのですよ。干し肉はお肉がカチコチになっちゃって、煮込むと味が全部出て逆に味が楽しめないので、ベーコンにしてます。ソーセージもいいですよね。他に鶏肉も私は好きです」
「えぇぇ! これ以上に豪華なのですか?」
琴葉はニコニコ笑う。
「本当はパンにジャムをと思っていたのですが、つけますか」
「ジャム!」
最近限定品としてギルド直売店に置かれていた超高級品である。
一つお試しで購入し、家族へのお土産に持って帰った同僚が、家族にまた買って欲しいと頼まれたらしい。
しかし、小さい瓶一つで5銅貨もするのと、買いに行ってもすぐに売り切れるらしく嘆いていた。
「はい。これも私がつくったものです。えっと、トマトとカボチャ、甘芋、りんご、みかん、レモン、ミックスベリーが今ありますね」
カゴの中に幾つも瓶があり、瓶をひとつひとつ出して説明してくれる。
「えっと、甘いのがいいなら甘芋とりんごですかね。少し酸っぱいのがレモン、ベリーは甘酸っぱいです。トマトは砂糖を入れているので少しサラッとしていて甘いですよ」
「すごい……」
「あ、これも作るのお手伝いしてくださいね!」
「ふぃーも!」
ちょうだいとねだるフィーアに、琴葉は一番甘くて気に入りそうな芋のジャムを乗せた小さいパンを口に近づける。
「はーい。どうぞ」
「……おいちっ!」
「ラハシアさんはどれがいいですか?」
「えっと……い、一緒ので……」
「はい! これは、時々麦粉を練ったものに包んで焼いたり蒸したりして食べるんですよ。ここでお菓子として出すことにしています。美味しいですよ」
パンを恐る恐る口に入れると、パン自体も甘くふわふわしているのに、上のジャムもとろけるように甘い。
「……美味しい……」
「よかったです」
かなりお腹いっぱいになったのだが、休憩後部屋にという話をしていたところ、フィーアが、
「あしょぶ!」
と子供用の椅子を下ろしてもらった後とたとたと走り出した。
慌てて追いかけると、手をつきながら階段を登り始めた。
「フィーア! ダメよ」
「あ、そうだわ。フィーアちゃん。じゃんけんして遊びましょうか?」
「じゃんけん?」
「えぇ。手を握ったのがグー、指を2本がチョキ。手を広げて出すとパーね。グーは石で、チョキはハサミ。パーは紙よ。それで、石はハサミより強い。ハサミは紙より強い、紙は石より強いの」
自分の手をその形にして説明する。
「じゃんけんぽんって言うから、ぽんの時に、どれかを出してね? 勝ったら、えっと……自分の名前の数だけ階段を登ろう! 登り切ったら、お姉ちゃんからプレゼントです!」
「わぁい!」
バンザイと両手を上げる。
「じゃぁ、じゃーんけーんぽん!」
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