もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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ラハシアの部屋

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「ラハシアさんのお部屋はこっちです。私たちの部屋はみんな一階なのです」
「……えっ? 地下にもお部屋があるとか言っていましたよね?」
「地下は3分の2が書庫で、残りは倉庫なんです。そして二階は半分がお店で、半分はアルスさんの研究室と自由空間ですね。まだ空き部屋も多いのです。で、ラハシアさんの部屋はここになります」

 アルスとソフィアはもう少し読書をするといっていたので別れ、ヴァーロがチャチャを抱き上げ、ついてきている。
 ラハシアは妹を抱いているが、本当によくはしゃぎ遊び、食べたのでしばらく起きる様子はない。
 琴葉が扉を開けると、少し淡いクリーム色の壁紙に導かれるように入ると唖然とした。
 広い部屋である。
 寮の部屋が二つは十分入る部屋の中には、大きめのベッドがあり、その奥の窓際にはソファとテーブル。
 そしてクローゼットと小さい本棚、入り口横には絨毯が敷かれ、低いテーブルとクッションがある。

「あ、あの……これは?」
「フィーアちゃんの遊び場です。一応二階の自由空間でも誰かがいれば遊べるとは思うのですが、もしかしたらラハシアさんも気にしていたらと思ったので……実は私、小さい時、一度親戚の家に預けられていて、そこで居心地が悪くて……引きこもっていたんです。後でものすごく怒られちゃったんですけどね。子供がわがまま言わんでどうするって。でもその時は来ちゃってごめんなさいとか思ってて……」

 首をすくめたものの、琴葉は、

「なので、気軽に声かけてくださいね。このお部屋はラハシアさんとフィーアちゃんの部屋です。自由に過ごしてください。そして、あのクローゼットは低い位置に吊るされているのはフィーアちゃんの服で、上がラハシアさんの服、靴は下です。タオルなども入れています。少しゆっくりしてくださいね。後で浴室などを案内します」
「あのっ! こんなにいいお部屋ですが、家賃とかは……」
「いりませんよ。その代わりと言ってはですが、お店のお手伝いをお願いするのと、交代で洗濯と掃除をお願いします」
「ですが……」
「お金は少しでも残しておいて、ラハシアさんとフィーアちゃんの将来のために貯金しましょう! それがいいと思いますよ」

 ニコニコ笑う。

「あ、今は大きなベッド一つにしていますが、もし、別々がいいようでしたら、もう一つ用意できますから、気軽におっしゃってくださいね。それと服ですが、サイズが合わないとかは言ってくださいね。特に靴は靴擦れとか水ぶくれとかありますから」
「……ありがとうございます! 嬉しいです」
「よかったです。あ、パジャマや下着はこちらですよ。そして部屋ばきと言って、居住空間用のスリッパもあります。このブーツは外出用で、お店ではこの軽い靴を使ってくださいね」

 あれこれと世話好きの血が溢れたのか色々と準備していたらしく、出し終えると、

「あ、私がいると落ち着かないかもです。2時間ほどしたら様子を見に来ますね」

と言って出て行ったのだった。



 ラハシアは、妹をベッドに寝かせると、頭を抱えた。

「あぁぁ! 琴葉さんは本当にズレていらっしゃる! こんなにいいお部屋をいただいて、食事やおやつはどこの貴族だっていうくらい高価なもので……服も質が良くて、お風呂にも入れて……こんな生活続けたら、フィーアはちゃんと育つのだろうか……」
「まぁ、そう思ってる君がいるなら大丈夫じゃない? アルスもちょっと心配してたけど、なんならボクの知り合いの貴族の家のメイドに紹介できるだろうしって。それに、まだちっちゃいんだし遊ばせたら?」
「ひえぇぇ! ヴァーロさま!」

 ギルドのトップランクの貢献者……ちなみに高ランクの採集依頼や、要人警備、そして暴れるドラゴンを一撃でダウンさせ屈服させる技量で、ダントツの収入を誇っている。
 最初はどんなガタイの強面かと思いきや10歳未満の少年の姿のヴァーロが次々に依頼を成し遂げるたびに尊敬と敬意、畏怖もあったのだが……。
 今日のヴァーロは琴葉にべったりで、後をついて周り、我儘を言いつつフィーアとおやつ頂戴合戦……。

「まぁ、ラハシアは琴葉と仲良くね。まぁ、料理を一緒にしたり、本を読んだりしてごらんよ。将来に役に立つかもよ」

 じゃぁ、ボクは読書タイム!

と言いながらチャチャを抱いて部屋を出て行ったのだった。
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