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チャチャの指摘
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「うーん……ずるいよね」
『にゃにが?』
ぷんぷんと頬を膨らませつつ、チャチャを抱いてソファに移動するヴァーロ。
ソファでもキッチンがよく見えるところに座り、琴葉を見る。
「あんなに綺麗なのに……」
『ままはあげないよ~』
「ん? あれ? 桜智じゃない? チャチャ?」
『しょだよ~?』
ヴァーロの膝の上で長い尻尾を振りながら答える。
「……えっ? 話せるの?」
『ねえねと、ゔぁーろじーちゃんだけ~』
「誰がジジイ!」
『ちゃちゃ、あかちゃん。ゔぁーろ、じーちゃん!』
言いながらカプッと歯がほとんどない口でヴァーロの指を噛む。
『しょれとも、【番】をほんのーでみちゅけて、ぼーしょうちゅうのししゅんきだんし~?』
首を傾げつつかなりヤバい発言をする赤ん坊ドラゴン。
「桜智に聞いたの! その本能だの、思春期だのって発言は!」
『にゃいしょ~!』
ニヤリ、とまるでチェシャ猫のように笑うチャチャを睨みつける。
「あのねぇ、チャチャ。そんな赤ん坊の頃から変な言葉覚えなくていいんです。寝て遊び、素直に可愛く成長しなさい」
『あたちはえいしゃいきょういくうけて~、ままのしょばにいりゅの~』
「あのさぁ、一応君、瞳は赤だけどホワイトドラゴンじゃない? いつかは親元に戻るでしょ?」
『あたちのままは、まま。ヴァーロはじゃまもにょ。てっていてきに、はいじょしゅりゅの~!』
「排除するな~!」
【チャチャ。よく言ったわ! 徹底的にしてやりなさい】
いつの間にか近づいていた桜智がチャチャを褒める。
『あい、ねえね!』
ヴァーロは歯噛みして悔しがる。
なんだかんだ言って、同族の赤ん坊を可愛がってきたのにこんな仕打ちとは。
でも、八つ当たりしたところで、いじめ虐待と言われるのがオチ……。
頬を膨らませつつ、ふと思いついたかのように、
「あ、そうだ。なんか、前にドラゴン族の子育て見てたらこんなのしてた……」
と言いながらチャチャを風の術を使ってふわっと浮かび上がらせる。
「多分、ドラゴン族は精霊魔法を使うんだと思うんだけど、ボクはそっちはあまり詳しくないからね。チャチャ頑張れ~空中で自分で歩こうね~」
ヴァーロは多分風で起こした倒れた円柱の中にチャチャを入れている。
ハムスターが走るものだと思えばいい。
適度な速度でチャチャが歩けば、円柱が回る……が、チャチャはその中でコロンコロン転がっている。
『にゃぁぁ~』
「がーんば!」
『じーちゃんのいじわりゅー!』
「これくらいで文句言わないんだよ~。ボクなんか母に歩けないんならって川に突っ込まれ、飛べないならって崖に投げ込まれたんだからね~これくらい可愛いよ」
ヴァーロは【番】という言葉にちょっともやっとしたものの、ちょっとチャチャと遊ぼうと思ったのだった。
しかしすぐ、アルスに首根っこを掴まれ、
「兄貴! ちっちゃいチャチャをいじめるなんて、何やってんだ? コトハにブレスレットを返されそうになったくらいで八つ当たりはダメだぞ」
と叱られたのだった。
『にゃにが?』
ぷんぷんと頬を膨らませつつ、チャチャを抱いてソファに移動するヴァーロ。
ソファでもキッチンがよく見えるところに座り、琴葉を見る。
「あんなに綺麗なのに……」
『ままはあげないよ~』
「ん? あれ? 桜智じゃない? チャチャ?」
『しょだよ~?』
ヴァーロの膝の上で長い尻尾を振りながら答える。
「……えっ? 話せるの?」
『ねえねと、ゔぁーろじーちゃんだけ~』
「誰がジジイ!」
『ちゃちゃ、あかちゃん。ゔぁーろ、じーちゃん!』
言いながらカプッと歯がほとんどない口でヴァーロの指を噛む。
『しょれとも、【番】をほんのーでみちゅけて、ぼーしょうちゅうのししゅんきだんし~?』
首を傾げつつかなりヤバい発言をする赤ん坊ドラゴン。
「桜智に聞いたの! その本能だの、思春期だのって発言は!」
『にゃいしょ~!』
ニヤリ、とまるでチェシャ猫のように笑うチャチャを睨みつける。
「あのねぇ、チャチャ。そんな赤ん坊の頃から変な言葉覚えなくていいんです。寝て遊び、素直に可愛く成長しなさい」
『あたちはえいしゃいきょういくうけて~、ままのしょばにいりゅの~』
「あのさぁ、一応君、瞳は赤だけどホワイトドラゴンじゃない? いつかは親元に戻るでしょ?」
『あたちのままは、まま。ヴァーロはじゃまもにょ。てっていてきに、はいじょしゅりゅの~!』
「排除するな~!」
【チャチャ。よく言ったわ! 徹底的にしてやりなさい】
いつの間にか近づいていた桜智がチャチャを褒める。
『あい、ねえね!』
ヴァーロは歯噛みして悔しがる。
なんだかんだ言って、同族の赤ん坊を可愛がってきたのにこんな仕打ちとは。
でも、八つ当たりしたところで、いじめ虐待と言われるのがオチ……。
頬を膨らませつつ、ふと思いついたかのように、
「あ、そうだ。なんか、前にドラゴン族の子育て見てたらこんなのしてた……」
と言いながらチャチャを風の術を使ってふわっと浮かび上がらせる。
「多分、ドラゴン族は精霊魔法を使うんだと思うんだけど、ボクはそっちはあまり詳しくないからね。チャチャ頑張れ~空中で自分で歩こうね~」
ヴァーロは多分風で起こした倒れた円柱の中にチャチャを入れている。
ハムスターが走るものだと思えばいい。
適度な速度でチャチャが歩けば、円柱が回る……が、チャチャはその中でコロンコロン転がっている。
『にゃぁぁ~』
「がーんば!」
『じーちゃんのいじわりゅー!』
「これくらいで文句言わないんだよ~。ボクなんか母に歩けないんならって川に突っ込まれ、飛べないならって崖に投げ込まれたんだからね~これくらい可愛いよ」
ヴァーロは【番】という言葉にちょっともやっとしたものの、ちょっとチャチャと遊ぼうと思ったのだった。
しかしすぐ、アルスに首根っこを掴まれ、
「兄貴! ちっちゃいチャチャをいじめるなんて、何やってんだ? コトハにブレスレットを返されそうになったくらいで八つ当たりはダメだぞ」
と叱られたのだった。
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