もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

文字の大きさ
78 / 102

チャチャの指摘

しおりを挟む
「うーん……ずるいよね」

『にゃにが?』

 ぷんぷんと頬を膨らませつつ、チャチャを抱いてソファに移動するヴァーロ。
 ソファでもキッチンがよく見えるところに座り、琴葉を見る。

「あんなに綺麗なのに……」

『ままはあげないよ~』

「ん? あれ? 桜智じゃない? チャチャ?」

『しょだよ~?』

 ヴァーロの膝の上で長い尻尾を振りながら答える。

「……えっ? 話せるの?」

『ねえねと、ゔぁーろじーちゃんだけ~』

「誰がジジイ!」

『ちゃちゃ、あかちゃん。ゔぁーろ、じーちゃん!』

 言いながらカプッと歯がほとんどない口でヴァーロの指を噛む。

『しょれとも、【ちゅがい】をほんのーでみちゅけて、ぼーしょうちゅうのししゅんきだんし~?』

 首を傾げつつかなりヤバい発言をする赤ん坊ドラゴン。

「桜智に聞いたの! その本能だの、思春期だのって発言は!」

『にゃいしょ~!』

 ニヤリ、とまるでチェシャ猫のように笑うチャチャを睨みつける。

「あのねぇ、チャチャ。そんな赤ん坊の頃から変な言葉覚えなくていいんです。寝て遊び、素直に可愛く成長しなさい」

『あたちはえいしゃいきょういくうけて~、ままのしょばにいりゅの~』

「あのさぁ、一応君、瞳は赤だけどホワイトドラゴンじゃない? いつかは親元に戻るでしょ?」

『あたちのままは、まま。ヴァーロはじゃまもにょ。てっていてきに、はいじょしゅりゅの~!』

「排除するな~!」

【チャチャ。よく言ったわ! 徹底的にしてやりなさい】

 いつの間にか近づいていた桜智がチャチャを褒める。

『あい、ねえね!』

 ヴァーロは歯噛みして悔しがる。
 なんだかんだ言って、同族の赤ん坊を可愛がってきたのにこんな仕打ちとは。
 でも、八つ当たりしたところで、いじめ虐待と言われるのがオチ……。
 頬を膨らませつつ、ふと思いついたかのように、

「あ、そうだ。なんか、前にドラゴン族の子育て見てたらこんなのしてた……」

と言いながらチャチャを風の術を使ってふわっと浮かび上がらせる。

「多分、ドラゴン族は精霊魔法を使うんだと思うんだけど、ボクはそっちはあまり詳しくないからね。チャチャ頑張れ~空中で自分で歩こうね~」

 ヴァーロは多分風で起こした倒れた円柱の中にチャチャを入れている。
 ハムスターが走るものだと思えばいい。
 適度な速度でチャチャが歩けば、円柱が回る……が、チャチャはその中でコロンコロン転がっている。

『にゃぁぁ~』

「がーんば!」

『じーちゃんのいじわりゅー!』

「これくらいで文句言わないんだよ~。ボクなんか母に歩けないんならって川に突っ込まれ、飛べないならって崖に投げ込まれたんだからね~これくらい可愛いよ」

 ヴァーロは【番】という言葉にちょっともやっとしたものの、ちょっとチャチャと遊ぼうと思ったのだった。
 しかしすぐ、アルスに首根っこを掴まれ、

「兄貴! ちっちゃいチャチャをいじめるなんて、何やってんだ? コトハにブレスレットを返されそうになったくらいで八つ当たりはダメだぞ」

と叱られたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。 そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。 「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」 前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。 二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。 辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...