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看病中
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絨毯の敷いてある床に布団と毛布が乱雑に置かれ、その中で、苦しげに眠るヴァーロ。
ヴァーロはガウンを着ていたのだが、暑がって脱いでしまい、仕方なく毛布を多めにかけている。
暑がろうが、裸を見られるよりマシだとアルスは思った。
ちなみにアルスはソファに座りつつ、カルテに書き込みをし、そして自分のマジックバッグの中の妻にも見せたことのない書物を出した。
書物というのは正しくない、これは日記だ。
流麗で達筆な文字はグランディアの文字。
でも琴葉の本にはほとんどない太いペン文字……。
一度気になって、本の中の一つにあった『小倉百人一首』という本のカラー絵を示し、よく似た文字について聞くと、
「あ、これは、筆で書かれた文字です。動物の毛をまとめて、軸に取り付け墨……インクに含ませるのです。こちらの文字は左上から横にと書くのですが、この文字は右上から下に書きます」
「うーん……この文字は崩れているな……こういう文字は読めるようになるのかな」
「崩し文字の本はありますよ。それに一応悪筆じゃなければきっと読めます」
「悪筆……」
「クセの強い文字を書く人もいるってことです」
言いながら微笑んだ。
本当に妹のようで娘のようで可愛いなぁと、素直に思う。
「例えば、私の癖は漢字を大きく書いて、その後ろのひらがなは小さく書くんです。まぁ、画数の多い漢字も多いのでそのせいでもありますけど、ほかに、文字を書く時、右を少し上げるように書いています。でも、他の人の文字だと右が下がってるのとか、一つ一つ止め、はね、払い、を丁寧にされている文字とか、他は、急いで書いちゃったのかこんな文字も……」
「ん? これは……」
「知り合いの悪筆です。前半は読める文字ですが、眠いのを我慢して書いていたのか、途中で何を書いていたのか本人にも読めないそうですよ」
琴葉が笑う。
ちなみに桜智の文字だったらしい。
後で、黒髪のドールが、
【何でアルスにアタシの文字を見せたのよ~! 琴葉!】
と怒っていた。
ヴァーロはガウンを着ていたのだが、暑がって脱いでしまい、仕方なく毛布を多めにかけている。
暑がろうが、裸を見られるよりマシだとアルスは思った。
ちなみにアルスはソファに座りつつ、カルテに書き込みをし、そして自分のマジックバッグの中の妻にも見せたことのない書物を出した。
書物というのは正しくない、これは日記だ。
流麗で達筆な文字はグランディアの文字。
でも琴葉の本にはほとんどない太いペン文字……。
一度気になって、本の中の一つにあった『小倉百人一首』という本のカラー絵を示し、よく似た文字について聞くと、
「あ、これは、筆で書かれた文字です。動物の毛をまとめて、軸に取り付け墨……インクに含ませるのです。こちらの文字は左上から横にと書くのですが、この文字は右上から下に書きます」
「うーん……この文字は崩れているな……こういう文字は読めるようになるのかな」
「崩し文字の本はありますよ。それに一応悪筆じゃなければきっと読めます」
「悪筆……」
「クセの強い文字を書く人もいるってことです」
言いながら微笑んだ。
本当に妹のようで娘のようで可愛いなぁと、素直に思う。
「例えば、私の癖は漢字を大きく書いて、その後ろのひらがなは小さく書くんです。まぁ、画数の多い漢字も多いのでそのせいでもありますけど、ほかに、文字を書く時、右を少し上げるように書いています。でも、他の人の文字だと右が下がってるのとか、一つ一つ止め、はね、払い、を丁寧にされている文字とか、他は、急いで書いちゃったのかこんな文字も……」
「ん? これは……」
「知り合いの悪筆です。前半は読める文字ですが、眠いのを我慢して書いていたのか、途中で何を書いていたのか本人にも読めないそうですよ」
琴葉が笑う。
ちなみに桜智の文字だったらしい。
後で、黒髪のドールが、
【何でアルスにアタシの文字を見せたのよ~! 琴葉!】
と怒っていた。
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