もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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アルスとの密談?

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【で、アルスって何を調べてるの? バカドラの方は、どうなったのかしら? って、動くな!】

「コラコラ……」

 多分熱と暑さでうなされている兄が動くのを手で叩こうとするのを止めるためにアルスは桜智を抱き上げる。
 そして、自分の前の背もたれ付きの椅子に座らせる。

「こっちの方が座り心地いいだろうと思う」

【そうね。ありがとう】

 ちょこんっと座りつつ、髪を軽く整えた桜智は、アルスを見る。

【で、その冊子はアルスの言うグランディアの文字よね? どこかで見つけたの?】

「親族の遺品。過去の苦い経験を繰り返さないように、遺している遺物で、元々解読したいと思っていたのと、これを書いた人の周囲がドラゴンに縁のある人で、もしかしたら兄貴の病気のことについて書いてるかもとふと思いついたんだ」

 冊子を横に置きつつ、訳文も丁寧にページを閉じる。

「一応言っておくとじいさまの母親。グランディアの人だったらしい。だったらしいというのは、姿はグランディアの人ぽくなかった。真っ白な髪に瞳は真紅。小柄で儚げな人だったらしい」

【……アルビノっていうのかしらね? 生まれつき色素を持たず生まれた人のこと。身体も丈夫じゃないと聞くわ】

「……そうだな。連れ去られてすぐ逃げ出して保護されたから、その後は静養しつつ過ごしていたようだ。ドラゴンの多いここから西の地域に昔のカズール当主に守られて住んでいた。好奇心が旺盛で気になったことはとことんまで追求して、納得するまでやめなかったと当時の伯爵の手記にはあった。あまりにも危険だからやめろと後で結婚した曽祖父が叱りつけていたとか……例えば、昼寝中のドラゴンの背中から滑り降りることはできるかとか……空を飛ぶドラゴンの背から飛び降りたいとか……」

【危険極まりないことをしたがるお嬢様だったのね……】

 どこにロープなしバンジージャンプのようなことをしたがるのか……。

 顔を引き攣らせる桜智に、アルスは、

「閉じ込められて育ったそうだ。周囲から気味が悪いとか言われていたらしい。双子の兄がいて、父親と母親は普通に育てようとしていたのに、祖父が牢屋に閉じ込めて、後で来た人買いに売り渡したという。色々な時を……知っているが、そういうのを聞くと虚しくなる。俺は娘がいた父親だが、その親の心を思うと苦しい。特に母親は胸を痛めただろう……」

【本当にね……胸糞悪いわ】

「……で、閉じ込められて育ったから、何もかもが面白く楽しいと日記に書いているとこの方を知っているおばあさまが言っていて……確かリッカという名前だそうだ」

【リッカ?】

桜智は首を傾げる。

「あぁ、数字の六に花と書くそうだ」

【あぁ、雪の別名ね】

「雪?」

【雪の結晶を見たことないかしら? 6枚の花びらを持つ花のように見えるから六花りっかというのよ】

 アルスは後で書いておこうと思った。
 そして、美しく儚い名を持つ曽祖母の遺した日記を今は軽くざっとしか無理だが、時間ができ、文字も完全に理解できた時にじっくりよんでみたいと思ったのだった。
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