なんでこんなとこに?

刹那玻璃

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緑の精霊王と紅の狼

切羽詰まって、無理矢理に

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 ちなみに、一日徹夜って言ってたけど、あたしは2日徹夜しました。
 エレナは夜更かししないように普段より早寝、そして遅起きしてもらったわ。
 遅起きっていうのは、朝真っ暗な時にいつものように目が覚めるエレナを、もう一度眠らせるようにしたの。
 あたしも、最初の2日は徹夜して、その後はぐっすり眠ることにした。
 肌より、慣れない馬車に酔うと辛いものね。



 当日、あたしは先に起きて顔を洗って仕立てた服を着た。
 靴は、あたしもエレナももらったサイズが大きすぎたから、思い切って、つま先には詰め物した上にカカトを踏むことにした。
 あたしですらバクバクしてるこの靴、どんなに大きい足してるのかしら……。
 髪飾りに似たような色の可愛いものにしたけれど、エレナ、大丈夫かしら?
 一応履いたら土踏まずの部分の下から丈夫なリボンを甲の上に回して一回クロスさせて、足首に回して結ばないとね。



「エレナ、起きて?」
「おはよう……ティア」

 あくびをしてるエレナは子犬みたい。
 可愛いわ……でも。
 あたしは、目をこするエレナを慌てて止めた。

「エレナ? 化粧品くれなかったんだから、そのままの顔じゃないといけないの。目が赤くなったら困るでしょ?」
「あ、そうだったね……おはよう」

 ぼーっとしながら、幼児のようにムニムニ呟いている寝ぐせだらけの髪を撫でる。

「ほら、顔を洗って。着替えないと」
「うん……」

 あたしはこの部屋に置いてある割れたくすみのある鏡を覗き、確認しながら髪をきっちり編み込み、まとめてリボン飾りをつけた。
 あたしは赤い髪だから、白に近いブルーのリボン飾りだ。
 エレナは淡い金色だから、濃いブルー。
 この国には珍しい真珠の飾りを思い切って解いて、エレナの飾りにつけておいた。
 手袋もシミがあったけど、それを隠すように刺繍もしたし、その分可愛くなったと思うわ。

 その間に作っておいたコルセット風の下着を自分で着てもらった。
 コルセットってぎゅうぎゅうにいろんなところを締め付けるらしいけど、あたしもエレナもいらないの。
 逆に胸とかお尻に肉が必要だわ。
 あ、エレナはその前に身長が欲しいらしいわ。
 でも、もう伸びないんじゃないかしら……。

 エレナの服装を整え、髪を結び、靴じゃないサンダルを履かせた。
 馬車に乗っている間にリボンは結びましょう。
 いいものがなかったのと、時間がなかったのが残念ね。

「いきましょう」
「うん」
「後ろを見ないようにね? それに汚れないように気をつけて」

 俯いて唇を尖らせるエレナの頭を撫でながら、

「昨日練習した、スカートをつまむ手、気をつけてね」

と声をかけた。
 口出ししすぎかなと思うけれど、エレナはある意味箱入りで、育った環境が酷すぎた。
 付け焼き刃でも、あたしの見て覚えた女性の仕草を叩き込んでおこうと思ったのも多分間違いじゃないと思う。
 その成果が出ますように……。
 食堂の横を抜け、馬車のあるという裏口を目指した。
 もう帰ってこない……いらないもの、ボロボロの古着を置き去りにして、振り向きもしないで出て行った。
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