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少しずつ縮まる距離
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一週間、五月は学校に来ることはなかった。
体調を崩しているらしい。
そして学校の方は、度々素行について注意したり、校則違反、夜間に徘徊し補導などが多かった佐鳴あゆみを退学。
一緒にいて逃げた二人も、一定期間停学処分となった。
本人は手をあげていないと言い張ったが、莉愛や数人の生徒が五月を取り囲み、嫌がらせをしていたのをしっかりと見ていたし、今までの行動も考慮してその結果となった。
「あの、先生。持田さんに連絡事項を伝えなくてもいいですか?」
莉愛は担任に問いかける。
「電話で連絡はするのだけれど、おばあさまが本人が起き上がることが出来なくて、どうしても出られないのだそうよ。困ったわ……」
「あの、私が配られた用紙などを持って行っても大丈夫でしょうか?」
「お願いできるかしら?でも、若林さんは部活動が忙しいでしょう?」
「いえ。大丈夫です」
用紙を預かり、住所を聞くと、スマホで地図アプリを操作し向かう。
住宅街のなかの落ち着いたたたずまいの家の門にある、ベルのボタンを押した。
しばらくして声が聞こえる。
『はい、どちら様でしょう?』
「あ、申し訳ございません。私は、持田さんの同じクラスの若林莉愛と申します。学級委員で、学校で配布された宿題などの用紙を届けに参りました」
『あら、本当にありがとうございます。でも、五月は調子が……』
「あ、先生に聞いております。ご家族の方にお渡しするだけで結構です」
『じゃぁ、どうぞお入り下さいな』
「失礼致します」
門を開けて入っていく。
玄関は開かれ、上品な女性が微笑む。
「わざわざありがとう。若林さんだったかしら?」
「はい。持田さんのおばあさまですね。若林莉愛です」
「どうぞ」
「いえ、持田さんが休めないといけませんし……あの、この用紙と……それと、実は担任の先生に言われていたのですが、進学や内申書などの関係もあり、部活動に入っておくといいそうです。幽霊部員でも構わないと、先日、持田さんには伝えたのですが……」
「まぁ……でも、あの子は人見知りだから……」
用紙を受け取った五月の祖母は、言いにくそうになる。
「あの、実は私は二つの部活を掛け持ちしているのですが、その一つの文芸部にと提案していたのです。元気になってからで構いませんので、考えて欲しいなと思いまして……あの、ベラベラとすみません。持田さんに元気になって来られるようならと伝えて下さいませんか?何でしたら、私と一緒に……と」
「ありがとう。五月に伝えておきますね」
「では、失礼致します。本当にありがとうございました」
莉愛は頭を下げると帰っていった。
「いい子ね。五月のお友達、良かったわ」
五月の祖母はホッとしたように呟いたのだった。
次の週の月曜日から、五月は学校に通うようになった。
その翌日から莉愛は、五月の家に迎えに行くようになったのだった。
体調を崩しているらしい。
そして学校の方は、度々素行について注意したり、校則違反、夜間に徘徊し補導などが多かった佐鳴あゆみを退学。
一緒にいて逃げた二人も、一定期間停学処分となった。
本人は手をあげていないと言い張ったが、莉愛や数人の生徒が五月を取り囲み、嫌がらせをしていたのをしっかりと見ていたし、今までの行動も考慮してその結果となった。
「あの、先生。持田さんに連絡事項を伝えなくてもいいですか?」
莉愛は担任に問いかける。
「電話で連絡はするのだけれど、おばあさまが本人が起き上がることが出来なくて、どうしても出られないのだそうよ。困ったわ……」
「あの、私が配られた用紙などを持って行っても大丈夫でしょうか?」
「お願いできるかしら?でも、若林さんは部活動が忙しいでしょう?」
「いえ。大丈夫です」
用紙を預かり、住所を聞くと、スマホで地図アプリを操作し向かう。
住宅街のなかの落ち着いたたたずまいの家の門にある、ベルのボタンを押した。
しばらくして声が聞こえる。
『はい、どちら様でしょう?』
「あ、申し訳ございません。私は、持田さんの同じクラスの若林莉愛と申します。学級委員で、学校で配布された宿題などの用紙を届けに参りました」
『あら、本当にありがとうございます。でも、五月は調子が……』
「あ、先生に聞いております。ご家族の方にお渡しするだけで結構です」
『じゃぁ、どうぞお入り下さいな』
「失礼致します」
門を開けて入っていく。
玄関は開かれ、上品な女性が微笑む。
「わざわざありがとう。若林さんだったかしら?」
「はい。持田さんのおばあさまですね。若林莉愛です」
「どうぞ」
「いえ、持田さんが休めないといけませんし……あの、この用紙と……それと、実は担任の先生に言われていたのですが、進学や内申書などの関係もあり、部活動に入っておくといいそうです。幽霊部員でも構わないと、先日、持田さんには伝えたのですが……」
「まぁ……でも、あの子は人見知りだから……」
用紙を受け取った五月の祖母は、言いにくそうになる。
「あの、実は私は二つの部活を掛け持ちしているのですが、その一つの文芸部にと提案していたのです。元気になってからで構いませんので、考えて欲しいなと思いまして……あの、ベラベラとすみません。持田さんに元気になって来られるようならと伝えて下さいませんか?何でしたら、私と一緒に……と」
「ありがとう。五月に伝えておきますね」
「では、失礼致します。本当にありがとうございました」
莉愛は頭を下げると帰っていった。
「いい子ね。五月のお友達、良かったわ」
五月の祖母はホッとしたように呟いたのだった。
次の週の月曜日から、五月は学校に通うようになった。
その翌日から莉愛は、五月の家に迎えに行くようになったのだった。
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