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文芸部に入部する。
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火曜日から一緒に通っていたものの、木曜日になり五月は莉愛に、気後れするように問いかける。
「あ、あの……り、莉愛ちゃんは、何の部活に入っているの?」
「文芸部と弓道部よ。弓道は元々家の両親がやっていて、やらされている感じだったけれど、結構、精神的にも落ち着くし、集中力が増したり、作法もあるから気が抜けないわ。その張り詰めた空気が好きね」
「じゃぁ、文芸部は?」
「文芸部の先生が有名な研究者なのよ。ほら、平安時代の」
「あ、『源氏物語』とか?」
と、問いかける。
「よりも『紫式部日記』『枕草子』『蜻蛉日記蜻蛉日記』『和泉式部日記』とか。赤染衛門の『栄花物語』などもそうらしいわよ。当時の女性の生活とか、研究しているのね。『蜻蛉日記』は……」
「藤原道綱母藤原道綱母。道綱は、道長の異母兄だったと思うけれど……」
「よく知ってるわね。そこまで勉強しないわよ、普通」
「受験勉強と言うよりも読書が好きだったから。『源氏物語』よりも『今昔物語集』が面白かったわ」
五月は少し躊躇いつつ、
「あの……莉愛ちゃん。きゅ、弓道部は無理だと思うから……文芸部に入っても大丈夫かな? そんなに文章力もないし、でも、り、莉愛ちゃんがいてくれたら、安心だと思うから……」
「五月ちゃん……」
頬を赤くして、五月が前を向く。
「こ、怖がってても過去だもん。の、乗り越えたいの。頑張る」
「凄いね。五月ちゃんは」
「そんなことないもん……まだ、怖いから。でも、高校に入ってまだ少しだもん……3年間楽しいと嬉しいなと思って選んだの。悲しくないといいなと思うの。だから、莉愛ちゃん。仲良くしてくれる?」
背負ったリュックから手を外し、恐る恐る手を差し出す。
長い前髪の奥の……眼鏡の奥の瞳は不安げに揺れている。
莉愛は手を取り、指を絡めた。
「何を今更。五月ちゃんは私の友人よ。仲良くしてね? それに、何かあったらすぐに言ってね?」
「あ、うん……迷惑になったりしないかな?」
「もう……迷惑なんかないわよ。五月ちゃん行こう。職員室にも寄らなきゃ」
「あ、うん!」
二人は手を握り、学校に向かっていったのだった。
「あ、あの……り、莉愛ちゃんは、何の部活に入っているの?」
「文芸部と弓道部よ。弓道は元々家の両親がやっていて、やらされている感じだったけれど、結構、精神的にも落ち着くし、集中力が増したり、作法もあるから気が抜けないわ。その張り詰めた空気が好きね」
「じゃぁ、文芸部は?」
「文芸部の先生が有名な研究者なのよ。ほら、平安時代の」
「あ、『源氏物語』とか?」
と、問いかける。
「よりも『紫式部日記』『枕草子』『蜻蛉日記蜻蛉日記』『和泉式部日記』とか。赤染衛門の『栄花物語』などもそうらしいわよ。当時の女性の生活とか、研究しているのね。『蜻蛉日記』は……」
「藤原道綱母藤原道綱母。道綱は、道長の異母兄だったと思うけれど……」
「よく知ってるわね。そこまで勉強しないわよ、普通」
「受験勉強と言うよりも読書が好きだったから。『源氏物語』よりも『今昔物語集』が面白かったわ」
五月は少し躊躇いつつ、
「あの……莉愛ちゃん。きゅ、弓道部は無理だと思うから……文芸部に入っても大丈夫かな? そんなに文章力もないし、でも、り、莉愛ちゃんがいてくれたら、安心だと思うから……」
「五月ちゃん……」
頬を赤くして、五月が前を向く。
「こ、怖がってても過去だもん。の、乗り越えたいの。頑張る」
「凄いね。五月ちゃんは」
「そんなことないもん……まだ、怖いから。でも、高校に入ってまだ少しだもん……3年間楽しいと嬉しいなと思って選んだの。悲しくないといいなと思うの。だから、莉愛ちゃん。仲良くしてくれる?」
背負ったリュックから手を外し、恐る恐る手を差し出す。
長い前髪の奥の……眼鏡の奥の瞳は不安げに揺れている。
莉愛は手を取り、指を絡めた。
「何を今更。五月ちゃんは私の友人よ。仲良くしてね? それに、何かあったらすぐに言ってね?」
「あ、うん……迷惑になったりしないかな?」
「もう……迷惑なんかないわよ。五月ちゃん行こう。職員室にも寄らなきゃ」
「あ、うん!」
二人は手を握り、学校に向かっていったのだった。
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