2 / 95
第一章……ゲームの章
プロローグ……Prolog(ポローグ)
しおりを挟む
【Geschichte・Spiel】
ドイツ語で、『歴史ゲーム』である。
************
「よっしゃ!」
瞬は、新しく購入したゲームを手にワクワクと帰っていた。
瞬は高校生。
一応まだ15歳である。
制服は極端にミニと言うのは、自分自身が嫌なので、膝が隠れる程度にしている。
それに、然程胸もなく、足もある事情で綺麗ではなく、ありがたいのは大食いでも痩せている新陳代謝のいい体である。
身長は平均身長よりも低い。
ミニマム……最小値という言葉とミニチュアアニマルから、『ミニマル』と呼ばれている。
ゲーム機本体は持っているが、家に帰ってからしようか、今からしようかと悩んでいた。
「……うーん……待てないもんね。あっちにベンチがあるから、そのベンチでしようかな」
くふくふ……
長袖で口元を隠しながらベンチに近づくと座り、真新しい箱を取り出すとゲームの箱の表を見る。
豪奢な装丁に、数人の少年少女、大人に子供もいる。
一応年齢制限があるのだが【R15】、自分は15歳だと何度も店員に言い、学生証まで提示して手に入れたのである。
嬉しさもひとしおだった。
そして、箱を開け中身をチェック、説明書と一冊の本とゲーム本体を確認し、本体を取り出す。
説明書を軽く流し読みし、箱を丁寧にしまうと初回特典のCDや小説などと共に袋に戻した。
ゲーム機に装着し、電源を入れると、画面に文字が現れた。
『このゲームは恋愛にも、そのまま戦い平和に導くこともできる、複雑な選択肢を選びつつ、幾通りものエンディングが選べるゲームです。【Tabletop role-playing game(TRPG)】の要素を利用しています。箱の中に【Buch】、4面、6面、8面、10面、12面の【Würfel】と【Zeichenblatt】があります。この世界の中に地図があり、貴方はそのBuchとゲーム内の指示に従いつつ、貴方の道を切り開いて下さい。』
「ふむふむ……Buch……あぁ、ドイツ語で本か。じゃぁ、一応ドイツ語は簡単な言葉しか知らないけど、日本語であることを祈る! それに、4、6、8、10、12……って、ちょっと待って。見直し、見直し……」
箱を開けると、ホワイト、透明、ピンク、グリーン、ブルーの5種類がそれぞれ2個ずつ、合計10個のサイコロがあり、
「このWürfelっていうのはサイコロね。大事にしとかないといけないんだ。じゃぁ」
膝の上に置いていた昔のレリーフのような立派に見える外観に見える、印刷本を持った。
そして、荷物をまとめ肩掛けバッグに収めると、ゲーム機を握り本を開けた。
……この時、瞬は忘れていた。
【Zeichenblatt】の存在を。
そして後に、とても後悔することになるのだった。
『問う。そなたの名前は』
「えっと……シュンでいいよね」
実は父が息子が生まれたら瞬とつけたかったらしいが、生まれたのが女の子で、残念がった父が同じ漢字で呼び方を変えた。
時々と言うか、ほぼ、『まどか』と呼ばれることはないが、父に貰った名前であり気に入っている。
『ではシュン。そなたは戦いを望むか、平穏を望むか?』
「平穏」
『平穏への道は、戦いよりも困難。それでも望むか?』
「望む……と言うか、戦って何になるの」
瞬は平和主義者である……まぁ一応。
それに、好きな声優さんが出ているのと、恋愛だけでなく、学校や寄宿舎で勉強したりできると言うネット上での情報で、やってみたいと思ったのである。
『……では、シュン。行くがいい。我が世界へ……』
「えっ……眩しい……!」
目を閉じた。
フワッと浮かんだ気がしたが、それはすぐに下に下に落ちて行く。
怖くてゲームと本を抱きしめ、
「えーと、えーと、ドイツ語で止まれは『Stopp』! ……って、止まる訳ないかぁ……」
ただいつかは止まるだろうと瞬は呑気なことを考え、怪我しないことだけを祈るのだった。
「姫さま……姫さま」
声が聞こえ、肩を揺すられる。
「姫さま。起きて下さいまし」
瞬はゆっくり目を開ける。
「ん? ……誰?」
「姫さま? アストリット姫さま?」
じっと自分を見つめるのは、茶色の瞳の女性。
「誰……?」
「まぁ! 私の名前も忘れたのですか? ベアタでございますよ?」
「ベアタ……?」
「左様でございます。それよりも、どうなさいましたの? そのようなお姿でこのようなところに倒れておられて……! それに、このような短い服などいけませんわ」
瞬は瞬きをする。
ベアタという女性は西洋人の顔立ちで、ウエストはそれ程絞っていないが、膨らんだジュップと当時は呼ばれるペチコートに、ガウンを着ている。
その前に、エプロンのようなタブリエをつけている。
上級階級の女性らしい。
「このようなものは処分してしまいましょう」
瞬の荷物や服装を穢らわしいもののように見つめる姿に、一気に意識を戻す。
今の状況は分からない。
でも……。
「待って! 捨てないで!」
「姫さま!」
「着替えはするわ! でも、一つでも捨てたら、許さない!」
瞬は告げる。
「着替えをさせて頂戴。ベアタ」
「解りましたわ。姫さま。では、お部屋に参りましょう」
起き上がり、ベアタに案内されついて行くのだった。
ドイツ語で、『歴史ゲーム』である。
************
「よっしゃ!」
瞬は、新しく購入したゲームを手にワクワクと帰っていた。
瞬は高校生。
一応まだ15歳である。
制服は極端にミニと言うのは、自分自身が嫌なので、膝が隠れる程度にしている。
それに、然程胸もなく、足もある事情で綺麗ではなく、ありがたいのは大食いでも痩せている新陳代謝のいい体である。
身長は平均身長よりも低い。
ミニマム……最小値という言葉とミニチュアアニマルから、『ミニマル』と呼ばれている。
ゲーム機本体は持っているが、家に帰ってからしようか、今からしようかと悩んでいた。
「……うーん……待てないもんね。あっちにベンチがあるから、そのベンチでしようかな」
くふくふ……
長袖で口元を隠しながらベンチに近づくと座り、真新しい箱を取り出すとゲームの箱の表を見る。
豪奢な装丁に、数人の少年少女、大人に子供もいる。
一応年齢制限があるのだが【R15】、自分は15歳だと何度も店員に言い、学生証まで提示して手に入れたのである。
嬉しさもひとしおだった。
そして、箱を開け中身をチェック、説明書と一冊の本とゲーム本体を確認し、本体を取り出す。
説明書を軽く流し読みし、箱を丁寧にしまうと初回特典のCDや小説などと共に袋に戻した。
ゲーム機に装着し、電源を入れると、画面に文字が現れた。
『このゲームは恋愛にも、そのまま戦い平和に導くこともできる、複雑な選択肢を選びつつ、幾通りものエンディングが選べるゲームです。【Tabletop role-playing game(TRPG)】の要素を利用しています。箱の中に【Buch】、4面、6面、8面、10面、12面の【Würfel】と【Zeichenblatt】があります。この世界の中に地図があり、貴方はそのBuchとゲーム内の指示に従いつつ、貴方の道を切り開いて下さい。』
「ふむふむ……Buch……あぁ、ドイツ語で本か。じゃぁ、一応ドイツ語は簡単な言葉しか知らないけど、日本語であることを祈る! それに、4、6、8、10、12……って、ちょっと待って。見直し、見直し……」
箱を開けると、ホワイト、透明、ピンク、グリーン、ブルーの5種類がそれぞれ2個ずつ、合計10個のサイコロがあり、
「このWürfelっていうのはサイコロね。大事にしとかないといけないんだ。じゃぁ」
膝の上に置いていた昔のレリーフのような立派に見える外観に見える、印刷本を持った。
そして、荷物をまとめ肩掛けバッグに収めると、ゲーム機を握り本を開けた。
……この時、瞬は忘れていた。
【Zeichenblatt】の存在を。
そして後に、とても後悔することになるのだった。
『問う。そなたの名前は』
「えっと……シュンでいいよね」
実は父が息子が生まれたら瞬とつけたかったらしいが、生まれたのが女の子で、残念がった父が同じ漢字で呼び方を変えた。
時々と言うか、ほぼ、『まどか』と呼ばれることはないが、父に貰った名前であり気に入っている。
『ではシュン。そなたは戦いを望むか、平穏を望むか?』
「平穏」
『平穏への道は、戦いよりも困難。それでも望むか?』
「望む……と言うか、戦って何になるの」
瞬は平和主義者である……まぁ一応。
それに、好きな声優さんが出ているのと、恋愛だけでなく、学校や寄宿舎で勉強したりできると言うネット上での情報で、やってみたいと思ったのである。
『……では、シュン。行くがいい。我が世界へ……』
「えっ……眩しい……!」
目を閉じた。
フワッと浮かんだ気がしたが、それはすぐに下に下に落ちて行く。
怖くてゲームと本を抱きしめ、
「えーと、えーと、ドイツ語で止まれは『Stopp』! ……って、止まる訳ないかぁ……」
ただいつかは止まるだろうと瞬は呑気なことを考え、怪我しないことだけを祈るのだった。
「姫さま……姫さま」
声が聞こえ、肩を揺すられる。
「姫さま。起きて下さいまし」
瞬はゆっくり目を開ける。
「ん? ……誰?」
「姫さま? アストリット姫さま?」
じっと自分を見つめるのは、茶色の瞳の女性。
「誰……?」
「まぁ! 私の名前も忘れたのですか? ベアタでございますよ?」
「ベアタ……?」
「左様でございます。それよりも、どうなさいましたの? そのようなお姿でこのようなところに倒れておられて……! それに、このような短い服などいけませんわ」
瞬は瞬きをする。
ベアタという女性は西洋人の顔立ちで、ウエストはそれ程絞っていないが、膨らんだジュップと当時は呼ばれるペチコートに、ガウンを着ている。
その前に、エプロンのようなタブリエをつけている。
上級階級の女性らしい。
「このようなものは処分してしまいましょう」
瞬の荷物や服装を穢らわしいもののように見つめる姿に、一気に意識を戻す。
今の状況は分からない。
でも……。
「待って! 捨てないで!」
「姫さま!」
「着替えはするわ! でも、一つでも捨てたら、許さない!」
瞬は告げる。
「着替えをさせて頂戴。ベアタ」
「解りましたわ。姫さま。では、お部屋に参りましょう」
起き上がり、ベアタに案内されついて行くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる