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第一章……ゲームの章
6……sechs(ゼクス)
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ディーデリヒがアストリットと話をしているのを横目に、カシミールはフレデリックを引きずりながら父の執務室の扉を開ける。
「父上!」
苦手な書類作業をしていた父エルンストは、顔色を変えた長男と眉を寄せる次男を見る。
「どうした?」
「父上。フレデリックが、客人の……ディーデリヒの連れてきた動物たちの元に乗り込み、剣や素手で次々に手をかけました!」
「何だって!」
エルンストは隣の領の状況を知っている。
それに困っているディーデリヒのことも……昔は行き来があったが、ディーデリヒの母の死後、ギクシャクしている……。
「何てことをしたんだ! フレデリック! ディーデリヒは客人! 客人の連れてきたペットはちゃんともてなすようにと、昨日あれ程言っただろう?」
「Ein Kaninchen……うさぎとかHuhn……鶏とかいたので、猟の時の足りない為の予備かと」
「言い訳をするな! まず、あそこに立ち入るなと私が命じただろう!」
温厚なエルンストも、ふてぶてしい次男に叱りつける。
「お前はいつもそうだ! 私は知っているんだよ? アストリットに難癖をつけて暴力を振るったね?」
「あいつがいうことを聞かなかったからだ!」
「ふーん……お前の手下に弄ばせようとしたらしいね……」
父親の言葉に怖気付くが、すぐに、
「15にもなって、ここに居座るからだ! 早く嫁に出せばいい!」
「ならば、17にもなってここに居座るお前も同じ。アストリットはエリーザベトとともにこの城を守ってきた。城のことを覚え、勉強をし、自分が結婚する時まで努力していた。男と女の仕事は基本的に違う。お前はアストリットを馬鹿に、自分よりも下に見ている」
エルンストは次男を睨みつける。
「……中央に送る者を決めた。恥さらしでも何でもないが、フレデリック。お前が行きなさい。だが、もう二度とこの地を踏むな。そして、アストリットに近づくな! この愚息が!」
「何で! 普通、兄貴が中央に!」
「何故? 後継者であるカシミールは、私の片腕として……ついでに、隣の領のディーデリヒ殿と親友だ。これからも隣とはうまくやって行きたいからね。誰か。フレデリックに支度をさせなさい」
「はい、私が送り出します」
カシミールが手をあげる。
「父上、多分、ディーデリヒとアストリットが一緒です」
「解った。謝罪してこよう。フレデリック、今生の別れだ」
「何で! 親父は、お袋と同じ顔ってだけで、兄貴やあいつを可愛がる! 贔屓じゃねぇか!」
「顔だけで贔屓をしたつもりはない」
怒鳴り散らす息子が出ていくのを見送り、ため息をついたのだった。
そしてすぐに、
「ディーデリヒに謝罪を……謝って済む問題じゃないけれど……」
歩きながらため息をつく。
「フレデリックは、何故あのように育ったんだ。アストリットは本当にいい子で、カシミールもクセはあるけれど賢い子に育ったのに……分け隔てなく育てたつもりだったのに……」
と遠ざかっていった。
カシミールは数名の侍従と共に、弟の身支度を見守る。
持ち出せるのは身の回りのものと武器と防具のみ。
「支度を終えたかい?」
「これを待っていたんだな? クソ兄貴!」
「クズ弟がよく言うよ。はい。大金だけど、渡しておくよ」
皮袋を投げる。
その中身は瞬が渡されたものと同じテーラー銀貨……しかし、枚数は少なく10枚。
「これだけかよ!」
「ん? これだけでもあげたんだけど、いらないなら返せ」
渋々フレデリックは懐に収める。
「この領を出るまでは監視がつく。出てからは自由だ。でも、このディーツの名を名乗るな! 二度と! 去れ!」
「はっ! 去ってやるさ。そして、中央で権力を握って、兄貴……この家を潰してやるとも!」
「そう簡単にいくものか。すでに隣の領には受け入れるなと書状を送っておいた。隣と繋がっていたのはバレバレだ。他にも受け入れるなとこの辺りだけじゃなく、中央にも使いを送っている。そう簡単にいくと思うなよ」
兄の一言に目を見開く。
にっこりと微笑むと、
「では、去れ。二度と顔を見せるな。連れて行け」
周囲に命じる。
何やら文句をいう声はしたが、無視する。
遠ざかるのを確認し、来ていたメイドに、
「この部屋の家具を倉庫に戻すように。綺麗にし、ディーデリヒの部屋にする。金目の物は宝物庫に戻すが、その他の物は皆で分けるか、余れば村に寄付を。このことはアストリットが詳しい。頼んだぞ」
「はい」
そう言い残し、去っていった。
エルンストはディーデリヒに使いなさいと伝えた訓練場の一角に近づくと、彼と自分の娘が何やら話しているのが見えた。
しかも、端正なディーデリヒの頭には凶暴なはずのGrün Dracheが、アストリットの腕にはBlauDracheが抱かれている。
「ディーデリヒ殿、アストリット!」
「エルンスト様」
「お父様」
二人は振り返る。
二人の前のテーブルには、二羽の息絶えた鶏が置かれている。
「この……フレデリックがしたんだね……申し訳ない!」
ディーデリヒを見、頭を下げる。
「他の君の家族は? 無事かい?」
ディーデリヒは、ちらっとアストリットを見ると答える。
「実は、アスティ……アストリット姫が、BlauDracheのラウと回復の魔法を使って、助けてくれました」
「アストリットが?」
娘を見る。
娘は確か魔法の力を持っていたが、それを使うのを怖がり勉強していなかったはずである。
「あの……お父様。ラウとリューンとお話ができるようになって……助けてあげたいって思ったら、この子たち以外は助かったのです……」
「……でも、本当に……愚息が申し訳ない……私が、甘やかしてしまったのだろう……」
「エルンスト様……ありがとうございます。あの……この、二羽を料理に使って下さい。そのまま埋めても、他の生き物に食べられる……私達のお腹を満たしてこそです」
「だが……」
「下処理をしますね」
ディーデリヒは微笑む。
何とか笑みを浮かべていると言いたげである。
無理な笑みを、心配そうにアストリットは見上げ、
「あの、私が料理を作ります。それと、ディさま、お願いがあるのですが……」
「何だ?」
「お辛いと思いますが、あの、羽根を頂けませんか?」
「飾りに使うのか?」
「いいえ、布団を作ろうかと……本当はGans……ガチョウ……とHausente……アヒル……のがいいと思いますが、二羽の命をありがたいと思って……」
恐る恐るお願いする。
「でも、汚れているが……」
「洗って、乾かすと膨らむので、作ってみようかと。命を捨てるのはこの子たちにも可哀想です。今まで溜めている他の鳥の羽を合わせて作ろうと思います」
「分かった……」
「お父様。昼食の時間が近いですわ。お母様の所に向かわれて下さいませ。私はお手伝いをします」
「頼んだよ。アストリット」
エルンストは気遣わしげに様子を見て、戻っていった。
「では、行きましょうか……ご案内します」
鶏を手にして、さばく場所に移動する。
そこで血抜きをしながらさばいていくのだが、まずは羽をむしり、アストリットの用意した袋に入れていく。
そして、一気に血が回らないように血管を触らないようにさばき、内臓を取り、部位を分けていく。
ディーデリヒは可愛がってきた鶏が肉塊になるのを、寂しげに見ながらも慣れた手つきでさばく。
『ねぇねぇ。ディーデリヒ。リューン食べる』
「駄目。リューンは食べるな」
「晩御飯に作りましょうか……? それに、ディさま、手をよく洗ってくださいね」
「アスティは?」
「羽を清めて膨らませようと思います。ラウちゃんに手伝ってもらおうかと思います。ディナーに行ってください。ラウちゃんよろしくね?」
『がんばゆっ』
えっへん。
胸を張るラウに苦笑する。
「じゃぁ、手を洗って先に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
見送る。
と、入れ違いに台所にカシミールが姿を見せる。
「ディ。アスティもいたね」
「カーシュ」
「ディと行くから、アスティは後でおいで。着替えもね」
「はい」
見送ると、
「ラウちゃん。お手伝いしてくれる?」
『何? アストリット』
「この布の袋の中の毛を清めたいの。洗濯をすると羽が潰れてしまうから、空気を回して膨らませながら綺麗になぁれってしたいの。できないかしら」
『うーん、綺麗になぁれ……うん、分かった』
コクンと頷く。
「じゃぁ、庭で……」
『綺麗になぁれ』
出て行こうとしたアストリットの手の中で、魔法がはじける。
慌てて袋を開けると、血などの匂いが消えたふわふわの毛が現れる。
「……まぁ! 凄いわ。ふわふわだし、綺麗になってる。匂いもしないわ。ありがとう。ラウちゃん。お利口ね」
『お利口』
綺麗な羽が潰れないように、大切に部屋に持って帰ったアストリットはドレスを着替え、そして思いついたように、
「はい、ラウちゃん。青いからピンクのリボンが似合うと思うの」
首にリボンを結ぶ。
『りぼん?』
「えぇ、私の髪にもよく結ぶのよ。今日はお揃いね」
示すと、アストリットと自分のリボンを確認し、
『一緒。嬉しい』
「私もよ。そうだ。リューンちゃんにも赤がいいかしら? それとも淡いクリーム色……」
『ディーデリヒと一緒?』
「そうねぇ……ディさまは緑かしら……赤だときついわね……色違いにしましょう」
お揃いの刺繍入りの色違いを準備し、兄には濃いブルーのリボンを選ぶと、部屋を出て行ったのだった。
「父上!」
苦手な書類作業をしていた父エルンストは、顔色を変えた長男と眉を寄せる次男を見る。
「どうした?」
「父上。フレデリックが、客人の……ディーデリヒの連れてきた動物たちの元に乗り込み、剣や素手で次々に手をかけました!」
「何だって!」
エルンストは隣の領の状況を知っている。
それに困っているディーデリヒのことも……昔は行き来があったが、ディーデリヒの母の死後、ギクシャクしている……。
「何てことをしたんだ! フレデリック! ディーデリヒは客人! 客人の連れてきたペットはちゃんともてなすようにと、昨日あれ程言っただろう?」
「Ein Kaninchen……うさぎとかHuhn……鶏とかいたので、猟の時の足りない為の予備かと」
「言い訳をするな! まず、あそこに立ち入るなと私が命じただろう!」
温厚なエルンストも、ふてぶてしい次男に叱りつける。
「お前はいつもそうだ! 私は知っているんだよ? アストリットに難癖をつけて暴力を振るったね?」
「あいつがいうことを聞かなかったからだ!」
「ふーん……お前の手下に弄ばせようとしたらしいね……」
父親の言葉に怖気付くが、すぐに、
「15にもなって、ここに居座るからだ! 早く嫁に出せばいい!」
「ならば、17にもなってここに居座るお前も同じ。アストリットはエリーザベトとともにこの城を守ってきた。城のことを覚え、勉強をし、自分が結婚する時まで努力していた。男と女の仕事は基本的に違う。お前はアストリットを馬鹿に、自分よりも下に見ている」
エルンストは次男を睨みつける。
「……中央に送る者を決めた。恥さらしでも何でもないが、フレデリック。お前が行きなさい。だが、もう二度とこの地を踏むな。そして、アストリットに近づくな! この愚息が!」
「何で! 普通、兄貴が中央に!」
「何故? 後継者であるカシミールは、私の片腕として……ついでに、隣の領のディーデリヒ殿と親友だ。これからも隣とはうまくやって行きたいからね。誰か。フレデリックに支度をさせなさい」
「はい、私が送り出します」
カシミールが手をあげる。
「父上、多分、ディーデリヒとアストリットが一緒です」
「解った。謝罪してこよう。フレデリック、今生の別れだ」
「何で! 親父は、お袋と同じ顔ってだけで、兄貴やあいつを可愛がる! 贔屓じゃねぇか!」
「顔だけで贔屓をしたつもりはない」
怒鳴り散らす息子が出ていくのを見送り、ため息をついたのだった。
そしてすぐに、
「ディーデリヒに謝罪を……謝って済む問題じゃないけれど……」
歩きながらため息をつく。
「フレデリックは、何故あのように育ったんだ。アストリットは本当にいい子で、カシミールもクセはあるけれど賢い子に育ったのに……分け隔てなく育てたつもりだったのに……」
と遠ざかっていった。
カシミールは数名の侍従と共に、弟の身支度を見守る。
持ち出せるのは身の回りのものと武器と防具のみ。
「支度を終えたかい?」
「これを待っていたんだな? クソ兄貴!」
「クズ弟がよく言うよ。はい。大金だけど、渡しておくよ」
皮袋を投げる。
その中身は瞬が渡されたものと同じテーラー銀貨……しかし、枚数は少なく10枚。
「これだけかよ!」
「ん? これだけでもあげたんだけど、いらないなら返せ」
渋々フレデリックは懐に収める。
「この領を出るまでは監視がつく。出てからは自由だ。でも、このディーツの名を名乗るな! 二度と! 去れ!」
「はっ! 去ってやるさ。そして、中央で権力を握って、兄貴……この家を潰してやるとも!」
「そう簡単にいくものか。すでに隣の領には受け入れるなと書状を送っておいた。隣と繋がっていたのはバレバレだ。他にも受け入れるなとこの辺りだけじゃなく、中央にも使いを送っている。そう簡単にいくと思うなよ」
兄の一言に目を見開く。
にっこりと微笑むと、
「では、去れ。二度と顔を見せるな。連れて行け」
周囲に命じる。
何やら文句をいう声はしたが、無視する。
遠ざかるのを確認し、来ていたメイドに、
「この部屋の家具を倉庫に戻すように。綺麗にし、ディーデリヒの部屋にする。金目の物は宝物庫に戻すが、その他の物は皆で分けるか、余れば村に寄付を。このことはアストリットが詳しい。頼んだぞ」
「はい」
そう言い残し、去っていった。
エルンストはディーデリヒに使いなさいと伝えた訓練場の一角に近づくと、彼と自分の娘が何やら話しているのが見えた。
しかも、端正なディーデリヒの頭には凶暴なはずのGrün Dracheが、アストリットの腕にはBlauDracheが抱かれている。
「ディーデリヒ殿、アストリット!」
「エルンスト様」
「お父様」
二人は振り返る。
二人の前のテーブルには、二羽の息絶えた鶏が置かれている。
「この……フレデリックがしたんだね……申し訳ない!」
ディーデリヒを見、頭を下げる。
「他の君の家族は? 無事かい?」
ディーデリヒは、ちらっとアストリットを見ると答える。
「実は、アスティ……アストリット姫が、BlauDracheのラウと回復の魔法を使って、助けてくれました」
「アストリットが?」
娘を見る。
娘は確か魔法の力を持っていたが、それを使うのを怖がり勉強していなかったはずである。
「あの……お父様。ラウとリューンとお話ができるようになって……助けてあげたいって思ったら、この子たち以外は助かったのです……」
「……でも、本当に……愚息が申し訳ない……私が、甘やかしてしまったのだろう……」
「エルンスト様……ありがとうございます。あの……この、二羽を料理に使って下さい。そのまま埋めても、他の生き物に食べられる……私達のお腹を満たしてこそです」
「だが……」
「下処理をしますね」
ディーデリヒは微笑む。
何とか笑みを浮かべていると言いたげである。
無理な笑みを、心配そうにアストリットは見上げ、
「あの、私が料理を作ります。それと、ディさま、お願いがあるのですが……」
「何だ?」
「お辛いと思いますが、あの、羽根を頂けませんか?」
「飾りに使うのか?」
「いいえ、布団を作ろうかと……本当はGans……ガチョウ……とHausente……アヒル……のがいいと思いますが、二羽の命をありがたいと思って……」
恐る恐るお願いする。
「でも、汚れているが……」
「洗って、乾かすと膨らむので、作ってみようかと。命を捨てるのはこの子たちにも可哀想です。今まで溜めている他の鳥の羽を合わせて作ろうと思います」
「分かった……」
「お父様。昼食の時間が近いですわ。お母様の所に向かわれて下さいませ。私はお手伝いをします」
「頼んだよ。アストリット」
エルンストは気遣わしげに様子を見て、戻っていった。
「では、行きましょうか……ご案内します」
鶏を手にして、さばく場所に移動する。
そこで血抜きをしながらさばいていくのだが、まずは羽をむしり、アストリットの用意した袋に入れていく。
そして、一気に血が回らないように血管を触らないようにさばき、内臓を取り、部位を分けていく。
ディーデリヒは可愛がってきた鶏が肉塊になるのを、寂しげに見ながらも慣れた手つきでさばく。
『ねぇねぇ。ディーデリヒ。リューン食べる』
「駄目。リューンは食べるな」
「晩御飯に作りましょうか……? それに、ディさま、手をよく洗ってくださいね」
「アスティは?」
「羽を清めて膨らませようと思います。ラウちゃんに手伝ってもらおうかと思います。ディナーに行ってください。ラウちゃんよろしくね?」
『がんばゆっ』
えっへん。
胸を張るラウに苦笑する。
「じゃぁ、手を洗って先に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
見送る。
と、入れ違いに台所にカシミールが姿を見せる。
「ディ。アスティもいたね」
「カーシュ」
「ディと行くから、アスティは後でおいで。着替えもね」
「はい」
見送ると、
「ラウちゃん。お手伝いしてくれる?」
『何? アストリット』
「この布の袋の中の毛を清めたいの。洗濯をすると羽が潰れてしまうから、空気を回して膨らませながら綺麗になぁれってしたいの。できないかしら」
『うーん、綺麗になぁれ……うん、分かった』
コクンと頷く。
「じゃぁ、庭で……」
『綺麗になぁれ』
出て行こうとしたアストリットの手の中で、魔法がはじける。
慌てて袋を開けると、血などの匂いが消えたふわふわの毛が現れる。
「……まぁ! 凄いわ。ふわふわだし、綺麗になってる。匂いもしないわ。ありがとう。ラウちゃん。お利口ね」
『お利口』
綺麗な羽が潰れないように、大切に部屋に持って帰ったアストリットはドレスを着替え、そして思いついたように、
「はい、ラウちゃん。青いからピンクのリボンが似合うと思うの」
首にリボンを結ぶ。
『りぼん?』
「えぇ、私の髪にもよく結ぶのよ。今日はお揃いね」
示すと、アストリットと自分のリボンを確認し、
『一緒。嬉しい』
「私もよ。そうだ。リューンちゃんにも赤がいいかしら? それとも淡いクリーム色……」
『ディーデリヒと一緒?』
「そうねぇ……ディさまは緑かしら……赤だときついわね……色違いにしましょう」
お揃いの刺繍入りの色違いを準備し、兄には濃いブルーのリボンを選ぶと、部屋を出て行ったのだった。
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