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旦那さまはいくらでも愛を受け入れる余裕があるようです?〜奥方様の愛は重すぎます!〜
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なんか可愛いんだよなぁ……僕の妻は。
結婚する前は、結婚なんて人生の終着地とか、墓場とか、実家の父さんや義兄さん、妻の義兄上たちが言っていたけど……あっ、ごめんね? そう言ったこと母さんと姉さん、君のご両親と義兄上の奥様にはちゃーんと伝えたから。
どうせ黙ってたってすぐバレるよ?
それよりすぐに吐き出して、御免なさいの方がいいと思うんだ?
君とは結婚前に一年間文通。
その時は一応利き手で書いてたんだけど、結婚直前に仕事中に痛めたから、反対の手で書いてるんだけど、酷いもんだね。
まぁ、痛めた理由が上司だった君の兄上の職場での夫婦喧嘩……それも、王女と結婚してるってのに浮気だって。
まぁ、王女の一目惚れで結婚したんだけど、王女もあの女好きの上司に惚れるなんて、見る目も情報収集もなって無いよね?
うーん……本当は僕が急に結婚することになったのも、元上司の義兄上の浮気が原因の王女の悋気で、刃物を持ち出し、周囲を巻き込むからなんだよね。
まぁ、僕が怪我をして腕が駄目になったのと、国王の愛娘を妻にしてるのに他の女の子に手を出したから、義兄を跡取りに出来ないって義父上が僕を婿養子にしたんだよね。
今、義兄夫妻と浮気相手は、別々に辺境に十年くらい反省に行ってるけど、僕の利き腕をパーにして、もうちょっと稼げると思ってた騎士の職を水の泡にしてくれやがった人たちにはもっとお仕置きしたいよ。
それに、一般の下級貴族の僕が一気に公爵家にだよ?
本当なら男爵家の人間が、公爵家に婿なんてあり得ないんだ。
君もまだ若いし、僕もあと数年勤めるつもりだったし、だから、公爵家の親族の跡取りのいない伯爵家などに養子に入ってから、その家に迎える予定だったんだ。
君に少しの瑕疵をつけたくないのは、ご両親も僕も同じ気持ちだ。
たとえ君が跡を継いでも、僕が支えなきゃいけない。
僕が隙を見せてはいけない。
その為に、今はお茶の時間やちょっとした自由な時間以外は、義父上の元に通わなきゃいけない。
面倒だって思っても、令息だった元上司はそこら辺、全くしてなかったらしい。
そして、次から次に問題を起こすのに頭を悩ませてた義父上は、その二の舞にはさせないと結構厳しい。
僕はその点、義父上や義母上がある程度満足するほどは采配できているみたいだ。
良かった……褒められた時にはほっとしたよ。
でも、義母上は、僕のこの姿の方がお気に入りみたいだけどね。
あぁ……もうちょっと君と恋人同士のデートとか、手を繋いで庭の散歩とか、旅行とか考えてたのに全部なしで、すぐ結婚だよ?
今はごたついてるから、一緒の部屋にいられないってのもむかつくよね。
あ、そうだ!
「坊っちゃま?」
ソファに居心地悪げに座っている幼なじみを見下ろす。
「じゃありませんでしたね、どうされましたか? 旦那さま」
「やめろ! 俺じゃなくてお前がこの家の当主だろう! いつまでそんな格好で遊んでる気だ!」
いかつい乳兄弟は、疲労の色を濃くして訴える。
「いい加減に自分が夫だって言えよ! しかも女装して、自分に嫉妬する奥さまの顔を見て、ニタニタしてるの気持ち悪り……ぐあぁぁ!」
「……制裁!」
ガン!
手にしていたトレイを武器に、ストレス発散に乳兄弟のこいつと遊ぶのもそろそろ飽きてきたなぁ……。
でも、可愛いんだよなぁ……うちの妻。
本人は気が強いと思っているみたいだけど、気位の高い王女に比べたら獲物を追うヒョウとおもちゃに集中する子猫みたいなもの。
そもそもあのフワフワした金色の髪と、空色の青いまん丸お目目で手足は細く長く、体つきも華奢、僕だってそんなに騎士らしい体つきとは程遠いけれど、12cmのヒールを履いても僕の肩くらいって小さいよね?
時々庭のベンチで、絵本や僕の姉が勧めたと言う、少女向けの恋愛小説を頬を赤くして愛読してたり、時々お茶には必ず可愛いお菓子を手作りして持ってくるし……幼なじみは食べないけど、後でちゃんと僕が全部食べてるよ。
毎日選ぶドレスのセンスもいいんだ。
まだまだこれから咲き誇るだろう薔薇の蕾のような彼女が、今までは未婚者として下ろしたままかハーフアップにしていた髪を全部あげるようになったからか、白いうなじが本当に色っぽい。
後れ毛とかもそそるよね。
あ、変態じゃないよ?
妻をとてつもなく愛している夫なんだよ、僕は。
「あぁぁ……デートしたい。抱っこしてベタベタしたい……なんで暑苦しいお前といなくちゃいけないんだよ」
「知るかよ! それより、その格好なんとかしろよ!」
「ふんっ! 似合うだろう?」
「似合いすぎてて逆にキモいわ!」
「見るな!」
バン!
もう一度トレイで殴りつける。
頭を押さえてうめく奴を冷たい目で見下ろす。
あぁ、妻とデートしたい……。
トントン……
ノックの音が響き、
「旦那さま?」
顔を覗かせる妻は、今日は淡いピンクのデイドレス。
本当にお人形さんのように可愛い。
それに、急に式だけ挙げることになったのだが、式の時には司祭の前に腕を組んで並んだのに僕が夫だって気がついてないのだろうか?
まぁ、いいか。
おいおい伝えたらいいんだし。
今はこの距離が心地いい……乳兄弟は大変だと思うけどね。
「いい迷惑だ!」
……聞こえないよ?
結婚する前は、結婚なんて人生の終着地とか、墓場とか、実家の父さんや義兄さん、妻の義兄上たちが言っていたけど……あっ、ごめんね? そう言ったこと母さんと姉さん、君のご両親と義兄上の奥様にはちゃーんと伝えたから。
どうせ黙ってたってすぐバレるよ?
それよりすぐに吐き出して、御免なさいの方がいいと思うんだ?
君とは結婚前に一年間文通。
その時は一応利き手で書いてたんだけど、結婚直前に仕事中に痛めたから、反対の手で書いてるんだけど、酷いもんだね。
まぁ、痛めた理由が上司だった君の兄上の職場での夫婦喧嘩……それも、王女と結婚してるってのに浮気だって。
まぁ、王女の一目惚れで結婚したんだけど、王女もあの女好きの上司に惚れるなんて、見る目も情報収集もなって無いよね?
うーん……本当は僕が急に結婚することになったのも、元上司の義兄上の浮気が原因の王女の悋気で、刃物を持ち出し、周囲を巻き込むからなんだよね。
まぁ、僕が怪我をして腕が駄目になったのと、国王の愛娘を妻にしてるのに他の女の子に手を出したから、義兄を跡取りに出来ないって義父上が僕を婿養子にしたんだよね。
今、義兄夫妻と浮気相手は、別々に辺境に十年くらい反省に行ってるけど、僕の利き腕をパーにして、もうちょっと稼げると思ってた騎士の職を水の泡にしてくれやがった人たちにはもっとお仕置きしたいよ。
それに、一般の下級貴族の僕が一気に公爵家にだよ?
本当なら男爵家の人間が、公爵家に婿なんてあり得ないんだ。
君もまだ若いし、僕もあと数年勤めるつもりだったし、だから、公爵家の親族の跡取りのいない伯爵家などに養子に入ってから、その家に迎える予定だったんだ。
君に少しの瑕疵をつけたくないのは、ご両親も僕も同じ気持ちだ。
たとえ君が跡を継いでも、僕が支えなきゃいけない。
僕が隙を見せてはいけない。
その為に、今はお茶の時間やちょっとした自由な時間以外は、義父上の元に通わなきゃいけない。
面倒だって思っても、令息だった元上司はそこら辺、全くしてなかったらしい。
そして、次から次に問題を起こすのに頭を悩ませてた義父上は、その二の舞にはさせないと結構厳しい。
僕はその点、義父上や義母上がある程度満足するほどは采配できているみたいだ。
良かった……褒められた時にはほっとしたよ。
でも、義母上は、僕のこの姿の方がお気に入りみたいだけどね。
あぁ……もうちょっと君と恋人同士のデートとか、手を繋いで庭の散歩とか、旅行とか考えてたのに全部なしで、すぐ結婚だよ?
今はごたついてるから、一緒の部屋にいられないってのもむかつくよね。
あ、そうだ!
「坊っちゃま?」
ソファに居心地悪げに座っている幼なじみを見下ろす。
「じゃありませんでしたね、どうされましたか? 旦那さま」
「やめろ! 俺じゃなくてお前がこの家の当主だろう! いつまでそんな格好で遊んでる気だ!」
いかつい乳兄弟は、疲労の色を濃くして訴える。
「いい加減に自分が夫だって言えよ! しかも女装して、自分に嫉妬する奥さまの顔を見て、ニタニタしてるの気持ち悪り……ぐあぁぁ!」
「……制裁!」
ガン!
手にしていたトレイを武器に、ストレス発散に乳兄弟のこいつと遊ぶのもそろそろ飽きてきたなぁ……。
でも、可愛いんだよなぁ……うちの妻。
本人は気が強いと思っているみたいだけど、気位の高い王女に比べたら獲物を追うヒョウとおもちゃに集中する子猫みたいなもの。
そもそもあのフワフワした金色の髪と、空色の青いまん丸お目目で手足は細く長く、体つきも華奢、僕だってそんなに騎士らしい体つきとは程遠いけれど、12cmのヒールを履いても僕の肩くらいって小さいよね?
時々庭のベンチで、絵本や僕の姉が勧めたと言う、少女向けの恋愛小説を頬を赤くして愛読してたり、時々お茶には必ず可愛いお菓子を手作りして持ってくるし……幼なじみは食べないけど、後でちゃんと僕が全部食べてるよ。
毎日選ぶドレスのセンスもいいんだ。
まだまだこれから咲き誇るだろう薔薇の蕾のような彼女が、今までは未婚者として下ろしたままかハーフアップにしていた髪を全部あげるようになったからか、白いうなじが本当に色っぽい。
後れ毛とかもそそるよね。
あ、変態じゃないよ?
妻をとてつもなく愛している夫なんだよ、僕は。
「あぁぁ……デートしたい。抱っこしてベタベタしたい……なんで暑苦しいお前といなくちゃいけないんだよ」
「知るかよ! それより、その格好なんとかしろよ!」
「ふんっ! 似合うだろう?」
「似合いすぎてて逆にキモいわ!」
「見るな!」
バン!
もう一度トレイで殴りつける。
頭を押さえてうめく奴を冷たい目で見下ろす。
あぁ、妻とデートしたい……。
トントン……
ノックの音が響き、
「旦那さま?」
顔を覗かせる妻は、今日は淡いピンクのデイドレス。
本当にお人形さんのように可愛い。
それに、急に式だけ挙げることになったのだが、式の時には司祭の前に腕を組んで並んだのに僕が夫だって気がついてないのだろうか?
まぁ、いいか。
おいおい伝えたらいいんだし。
今はこの距離が心地いい……乳兄弟は大変だと思うけどね。
「いい迷惑だ!」
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