婚約者を陥れ処刑した王子が、自らの言葉によって永遠をループすることになる物語

刹那玻璃

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第10章

バロンは本当は、歴史の研究者になりたかったのです。

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 バロンは考える。

 聖華紋せいかもんは白百合……でも、それは現在の王家の紋章。
 しかし、もしかしたら過去の紋章は百合ではなく、月下美人だったのかもしれない。
 それに……。

 前に読んだ発掘調査会の本を思い出す。

 そこでの百合は純白ではなく、薄いものの黄色かピンク。
 ピンクの百合の花言葉は『虚栄心』、黄色の百合は『偽り』。
 純白は『純潔』だが、色が違うなら意味が違う。

 記憶して後で調べようと思った。

 そして、罠のチェックをしようとしたメイたちをとどめ、バロンは壁や床、天井を念入りにチェックする。
 月下美人の中に一輪、何故か黄色味を帯びた百合を見つけ、それを押す。
 すると、グラグラと足元が揺れ、慌ててジャンプする。

「な、何があったの?」

 メイに抱きついていたマゼンタに、

「(壁の模様の中に、違う花があったから押したんだ)」
「違う花?」
「(月下美人の花言葉は『はかない美』『儚い恋』『あでやかな美人』なんだ。その中に、ここ……黄色に見えるでしょ? 百合。黄色の百合は『偽り』)」
「い、偽り?」
「(色によって違うんだよ。だから、見つけて押してみた……うん。出てきたね)」

バロンが飛んで逃げた地面には、地下に続く階段が現れたのだった。

「ヤッタァ!」
「行くぞ!」
「突進するな!」

 メイが兄とユールを蹴りつける。

「本当に迷惑しかかけないんだから! 兄さんとユールのせいで全然進まないじゃないの! 一回帰る? 私、兄さんやユールと一緒はもうやだ!」

 怒り狂うメイは、兄達をボコボコにすると、怒りが治らなかったのかボールのように蹴りつけた。
 すると、ゴロゴロと二人は階段を転げ落ちていった。

 その音に、冷静になったメイは、バロンとマゼンタを振り返る。

「ねぇ……ヤバい……かな?」

 青ざめた親友に、マゼンタはニヤッと笑い、

「あの程度で死なないわよ。それに、本来、イザーク兄さんの教えてくれた正しい道をぶっ潰したのは、二人なんだから、もっとやればいいのよ!」
「(あ、あのね。僕、調べたいことがあるから、この通路壊さないでね。お願い!)」

 バロンは双子の妹に頼む。

「まぁ、馬鹿に階段を綺麗にしてもらったと思って進みましょうか。行きましょう」

 マゼンタはメイの肩を叩き、手を繋いで歩き出したのだった。
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