竜と王と剣と盾~改訂版

刹那玻璃

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始まりのご挨拶から……ぼっこぼこです(笑)

フィアちゃんはこれでもロマンチストです(可愛いものが大好き)。

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 アーサーとフィアに手を繋いで貰った六槻むつきは、嬉しそうに二人を見る。

「あーちゃんとおてて繋ぐのひさしぶりなの。それにフィアちゃんと! 嬉しいの!」

 きゃっきゃとはしゃぐ六槻に、フィアはアーサーを見る。

「アーサー殿下は……」
「アーサーでも蒼記あおきでもいいよ? フィア兄さん。呼び捨てで。僕は幸矢こうやの双子の弟ってだけだし」
「は? 王位継承権って、二人共同等だよ? アーサー」

 フィアの言葉に、

「僕、第二王子だよ? しかも最近まで非嫡出子だったし、セイラさんは正式な皇后じゃないでしょ?」
「もうなってると言うか、シュティーン兄様のお父さんのルード伯父様が、手続き済ませてるし……それに、その目の色もってるだけでも、継承権得られるんだよ?」
「は? 蒼いだけじゃない。彗……エドワードだって……」

フィアは首をすくめる。

「珍しいんだよ? 姉様も蒼持ち。王位継承権が生じる人間が、破格的に多いのは奇跡とも言われてるんだから。さーやちゃんも片目は蒼だもんね」
「蒼……? 幸矢は黒だよ?」
「違うよ」

 後ろから声がする。
 アーサーにとっては伯父、エドワードにとっては祖父のヴィクトローレである。

「アルドリーは、生まれつき蒼い瞳と蒼い髪で生まれた。生まれもって蒼の色を保持していた王は、今までに6人しかいない」
「え? う~ん……幸矢と彗は歴史系得意だけど、僕苦手」
「あーちゃん、理数系得意だもんね?」

 六槻はにこにこと笑う。

「むーちゃん、知ってるよ? んと、初代アルドリー王にその息子のアルドリー2世。時代が下って、アマディウィズ陛下が25代陛下。その息子のアールター陛下に27代アレクサンダー陛下、28代王のアーサー陛下……でしょ?」
「偉いねぇ? シエラ……お父さんに習ったの?」

 ヴィクトローレの問いに、二人は首を振る。

「幸矢が教えてくれたよ? 夢に見るんだって。あ、そう言えば、シルゥじいとヴィク伯父上も見たって言ってた」
「夢?」

 キョトンとする3人に、アーサーは、

「夢……っていうよりも、何か、自分の血を遡っている感じ? 幸矢と手を繋いで寝ると、共有できるから言えるんだけど、つまり……幸矢は先祖を、受け継いだ血を遡るように本人の目を借りて、その時代を見ることができるみたい。ものすごい情報量が、流れ込むから酔っちゃって途中で降りるけど、幸矢は夢の中でずっと先祖の見ている世界……起こること、周囲の人々を見るんだ。だから、とんでもない情報を発見、暴露したりして、シエラ父さん、愕然とするんだけど……」
「愕然?」
「うん、25代陛下の奥さん……じいさまのお姉さんだった」

3人は硬直する。
 すぐに目を輝かせたのは、歴史に詳しいフィアである。

「えぇ? ちょっと待って! アマディウィズ陛下の皇后って、エクティフィン皇后でしょう? 風の鳥の?」
「だって、幸矢は見たんだって。陛下の目を通じて、六花りっかおばあ様を。父親の名前に双子の兄の清良きよらお祖父様のこととか、親友で、清良お祖父様の婚約者の清歌せいかおばあ様の事も。当時のカズール伯爵に、マルムスティーン侯爵も見たって。で、すぐに気配に気づいて、誰何すいかするジェニル卿にもう少しで引き剥がされそうになって……ラインハルト卿が止めたって。陛下が平然としているのだから、安全だって。でも名前を名乗って欲しい。この姫はグランディアの人で守らねばならない方だって。だから、幸矢は自分の名前とじい様の名前、じい様が六花おばあ様の弟で、自分はグランディアとシェールドの血を引いているって、そうしたら、向こうも絶句してたって」

 だろうなぁ……とヴィクトローレは遠い目をする。
 しかしフィアは、

「他には? 他には?」
「ん? 2代目のアルドリー2世は女性。そして、3代目から歴史書に出る王の名は全てでたらめで、アマディウィズ陛下の治世。ずっと、代々のカズールとマルムスティーンが守り続けたんだって。長命ってことだよね?」
「えぇぇぇ……? 有り得るの? それ、王家の歴史の隠されしものだよね?」

驚きつつも、話を促す。

「う~ん……そんなの望んでないんじゃない? だってさぁ、僕だったら絶対に嫌だよ? 存在っているって認めて貰えるのって嬉しくない? だってさぁ…僕、セイラさんにも彗にも聞いたけど、僕の存在は一応国に非嫡出子とは言え公表されてたけど、幸矢ってどうなるのさ。生まれつき体も弱い、そして本人の意思とは無関係に精霊が暴走して、力が暴れ狂い、本人に跳ね返って……それを防ぐ為とは言え、彗が生まれるまでは結界の中にずっと眠らされてたんでしょ? 幸矢と僕が生まれたの水晶月……ここで言う4の月で、彗が生まれたの迷い月……11の月。7月もそれってあり得ないでしょ? 認識されないってことは否定されるって事だよね? それ程辛いことないでしょ?」
「でも、暴走して、傷つく方が……」

 シルゥの声に、

「違うよ。怒ってるのは、あの人! 着いてくんな、ど阿呆! バカ親父!」

アーサーは六槻をフィアに預けると、突進し、茂みに隠れていた実父を引きずり出す。

「あんたがもっとしっかりしてれば、僕はいいけど、幸矢やセイラさん、さーやが苦しむことはなかったんだ! 夫なら、父親なら、もっと考えろよ! このバカ親父!」
「だって……セイラが、嫌いだって言うから……」
「あんたを好きだって、言う訳ないだろ!」

 父親を投げ、怒鳴る。

「好きになって欲しいなら、それなりのことしろよ! 出来ないなら、セイラさんを諦めろ! 僕たちを作るな! 幸矢を縛るな!」
「縛ってない!」
「嘘つけ! 幸矢の甘いもの嫌いに、野菜が食べられないのはあんたのせいだろ! 肉も好きじゃない! 偏食にしたのはあんただろ!」

 アーサーの言葉に、

「えぇぇぇ? アル、偏食? 昔食べてたよね?」

守役のシルゥの声に振り返る。

「この親父が飲み物、食べ物、お菓子に、水にまで薬を入れてたんだって。いも類とかカボチャ系までは何とかなるけど、葉物野菜全般ダメ。刺激物も全般ダメ。お菓子も見ただけで拒絶反応。もう、甘いものも食べると失神」

 顔をひきつらせる3人に、

「だって……触ったことないし……、それに良く熱出すから、薬簡単に入れられるかなって……」
「ど阿呆!」

シルゥとヴィクトローレは義弟を蹴りつける。

「子供に何したんだよ! 虐待じゃないか! それって!」
「そうだ! 何を考えてるの! 信じられない!」
「だって、知らないから……」
「言い訳ダメ!」

 ぺんっとアレクの頭を叩いたのは六槻。

「ごめんなさいするの! にーちゃが一番一番辛いの! おじちゃん、言いわけは言いわけと違うのよ? ちゃんと謝って、説明するの! しないと、とーちゃとみやびちゃんと、セーラちゃんとあーちゃんと、しゅーちゃんとせーちゃんにボッコボコ!」
「……げっ?」

 可愛い美少女が『ボッコボコ』?

 その言葉にアーサー以外の3人は、呆然とする。
 可愛い姪が……従妹が……。
 ダーッ……と涙を流すのはフィア。

「あぁぁ……六槻ちゃんがぁぁ! 僕の小鳥ちゃんが……ボッコボコ! 聞きたくなかった! ヒドイ……父様!」
「OK! 即強制連行してくるよ! 代わりに兄様連れてくる!」

 シルゥはアレクを縛ると、手を振る。

「先いっててね? 後で追いかけるから!」
「はーい! ……じゃぁ、いこうか?」

 平然とと言うよりも、切り替え上手な上に頭の回転の早いフィアに、アーサーは感心し、亡き祖父がアルドリーの直々の騎士にと望んだだけはあると思ったのだった。
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