竜と王と剣と盾~改訂版

刹那玻璃

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神聖な閉鎖空間から、現実世界へ帰還です。

ようやく落ち着いた面々だったりします。

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 主になる4人の前に勢揃いする後宮騎士団……ちなみに、可愛い六槻むつきにお説教されて、ついでに純白のドラゴンたちにも脅されたルーにエリオットも含む。

 一団の中で最も高い地位を与えられたウェイトが、騎士の礼を呼び掛ける。

「皆! 主君、王太子殿下、アーサー殿下、エドワード殿下、王女殿下に礼!」

 すると、バラバラに思えた面々が一糸乱れぬお辞儀をした。
 しかもその中には、ウェイトの奥方もいて……。

「ファー? ファーはレディだから、その姿ではやめなさい。ね?」
「あ、そうでした。申し訳ございません。殿下」

 愛らしい……美少女顔の夫に負けない年齢未詳の奥方は、優雅にお辞儀をすると微笑む。

「申し訳ありません。殿下。私は、王太子殿下付き副団長を任されました、レイル・マルムスティーン侯爵嫡子ウィリアム・ロズアルドと申します。そして、妻のアルファーナ・リリーと申します」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 エドワードは奥方とウェイトを見て、

「も、もしかして、歯車公爵家の……方ですか?」
「よくご存じで。はい。アルファーナ・リリーは、現当主アルファリス様の長子です」
「……本当に、見つかったと言うのは伺っていましたが、こんなに身近とは思いませんでした……」
「エドワード殿下は、2歳でいらっしゃいましたし……」

苦笑する。
 そして、横を促す。

「私は元々、ロイド公爵グランドールの次男、アリシア・ルイーゼマリア・ランドルフと申します。年はウィリアム卿と同じ年です。アーサー殿下付きの正式な副団長がまだこちらに配属されておりませんので、副団長代理となっております」
「えっと、その顔……」

 アーサーは、美貌の青年? と双子の兄を見る。

「私の母は、先代陛下アヴェラート様の双子の姉、アリシア・ルイーゼマリアと申します。ですので不本意ですが、あの国王陛下の従兄弟となります……」

 そして、最も長身の上品清楚な細身の青年が、

「私は、カズール伯爵ルーン・エイジャクスの兄、エドアルド・フェリオスと申します。私は、エドワード殿下付きとしてお支え致します。よろしくお願い致します」
「僕付き? えっ? お兄さんはいいの? 僕は王位継承権低いし……」
「いえ、その方が……助かります。私はエージャの兄ですが、ご覧の通り両親の血を引いていない養子です。ですが、後継者の少ないカズールの後継者となっておりまして、エージャを傷つけると陰口や嫌がらせを……。でも、エージャを助け支えたいのと、父に憧れ騎士の道を選びました。シエラにし、指南して……ですが、そうすると地位が上がり、益々……その為、王宮騎士団でエージャを支えようと思っておりましたが、それでも……」

泣いてはいないが、本気で地面にのめり込みそうな落ち込み様の青年に、エドワードは、

「だ、大丈夫! 兄さんは悪い人じゃないのは、解ってるから!」
「あ、ありがとうございます。ですが、シエラにルー兄上、エリオットにセイラ、叔母上も……胃が痛い……」
「……」

言葉もなく項垂れる青年に、アルドリーたちは本気で不憫に思うのだった。

 そしてその横の青年に、ぎょっとする。
 ワンレングスの髪で、顔を隠した金髪の長身の青年。
 優雅に頭を下げ、

「私は、カイ・レウェリンと申します。実家の元々の爵位は男爵ですが、実家を8才の時に出て、マガタ公爵家のルドルフ様に後見人となって頂き、騎士の道を目指しました。ウェイト副団長を始め、ほぼ皆さんは騎士団長を経験されているのですが、私は副団長まで。本当にこちらにいていいのか……と思うのですが、フィアの次に後宮騎士団員の栄誉を頂き、現在は後宮で殿下方のお帰りをお待ち申し上げておりました。王太子殿下付きとなっております。若輩者ですがよろしくお願い致します」

えへっと首を傾げた時に、いつのまにかアルドリーたちの後ろにいたヴィクターは、髪の間から覗く顔に愕然とする。

「カイ……こ、こちらに来てくれるかな……?」
「は、はい!」

 騎士だと言うのにゆっくりとふわふわと歩く青年が、ヴィクターの前に立つと、

「か、顔見せてくれるかな?」
「え、ぶ、不細工なので見せちゃ駄目と、副団長に!」
「違うぅぅ! お前の顔は、ある家の後継者問題に!」

ウェイトの声に、しかしカイは、

「それに、瞳が母に似て……」
「そんな訳あるか~! 見せなさい!」

ガシッと掴み髪をあげると、ヴィクターはダァァ……と涙を流す。

「おおじいさま! どうしたの?」

 焦るひ孫たちに示す。

「瞳は濃いけれど……セティーナにうり二つ……この子は私の孫だよ……孫。あぁ、リオンも本当に可愛い孫だけど、この子はカズールの後継者ではないんだ」
「へ?」

 ウェイトはあっけにとられる。

「カイ……アルフォンゾ・レウェリン卿は……」
「フェリスタ公爵家の後継者」
「はい?」

 着いていけない青年に、

「後で話をするから、ちゃんと顔見せて! セティーナにうり二つ~!」
「えっと、えっと、セティーナ様と言うのは……それに顔は……特に瞳は……見せたくなくて……」
「瞳は母方の祖父である、アルフォンゾにうり二つ! 顔は父方の祖母である、私の妻にうり二つ! セティーナに……もう会えないかと思ってた……この顔に……」

大泣きする曾祖父に、

「お、おおじいさま……一時、兄さんたち貸し出すから、思う存分……どうぞ!」

と、アルドリーは二人を差し出したのだった。



「えっと、続きですが……」
「私はエリオットと申します。このルー兄、上の従兄弟となります。よろしくお願い致します。一応アーサー殿下付きです」
「ちょっと待って!」

 アーサーは訴える。

「何で、幸矢こうやは一応頭脳系やまともに納得域でも、僕には顔だけ!」
「私には解りません。騎士団長の命令です」
「確か、アルドリー殿下はそうそうなさいませんが、アーサー殿下は王妃様に似てやんちゃでガキ大将だから、だそうです。ガキ大将同士で仲良くしろとのことでした」

 二人の言葉にがっかりする。

「つまんないの」
「後で!」

 兄に窘められると、

「初めてお目に掛かります。ウィリアム卿の妹で、このエリオットの妻、ウィンディアと申します。私はセイラ様やルゥ姉様とも親しく、王女殿下付きとして勤めを果たす所存です」
「あ、あの……そのお腹……」

ぽっこり膨らんだお腹をさすり、

「3人目ですの。この……この亭主が借金ばかり! 問題ばかり! 夫の両親は、本当に私に申し訳ないといつもいつも泣かれて、その姿に、この男をいつろうかと……」
「いや、子供3人目で、仲良くて……」

 おろおろするアルドリーの目の前で、大胆にも両太もものスリットから抜き出した、数本の細身のナイフに呆気に取られる。

「違いますわ! この男が借金を作って、同じ騎士団で同期だった私の家に転がり込んで、私に酒を飲ませて……ラファエルが生まれたのですわ! しかもこの男、子供ができたから結婚誓約書にサインを! その上、ラファエルが生まれても名前をつけず! 借金まみれ! 私が働いても働いても! 子育てしつつ努力しても、お金一つ入れもしない! 子育てにも参加しない! それなのに、次々と問題ばかり!」
「離婚すれば……」
「したくても、このバカの同意も取れず! その上……」

 ウィンディアは、フニャッとする。

「本当に義父母にはよくして頂いて……今日も一時退院したばかりだと言うのに、ラファエルにガブリエルを見て下さって……離婚してもいいと言って下さるのですが、お二人が、このバカによって又、倒れられたりすると……」

 ぼろぼろと泣くウィンディアに、隣のフィアが、

「姉様! 泣いちゃダメ。折角の綺麗な姿に、ラファエルが喜んだんでしょう? 『ラファも騎士になる! お母さんの為に頑張る!』って」
「そうなんです……まだ3つの長男は、本当に……賢い子で……自慢の息子ですの。1才の娘の面倒を見て……む、息子の為に……子供の為に……」
「が、頑張らなくても! ウィンディア姉さんが、仕事に来る時は! その二人も連れてきていいからね!」

アルドリーの一言に、

「本当ですか?」
「うん! 大丈夫!」
「ありがとうございます! 臨月前まで職務を全うし、この子が生まれて落ち着いてから、再び職務に復帰しますわ! よろしくお願い致します!」
「妹をよろしくお願い致します!」

ニコッと笑った顔は、ウェイトの妹にしては地味だが整った顔。

「あの、向こうでご挨拶しました! 副団長!」

 横のフィアが手をあげる。

「では、殿下方、団長は後で参ります。そして、アーサー殿下、エドワード殿下、王女殿下付きの副団長は、現在の職務を切り上げ次第、そして他に、騎士団での雑務終了後任に付く者がおりますが、ブリジット?」
「は、はい!」

 後ろに隠れるようにしていた、一人の少女がおずおずと出てくる。

「お、王女殿下付きの騎士としてせ、正式に叙勲を受けました! わ、私はブリジットと申します! ロイド公爵グランドールの娘です。騎士の館を出て、まだ一年にも満たない若輩者ですが、真摯に王女殿下に仕え、自分を磨きたいと思っております。よろしくお願い致します」
「えっ?この……お姉さん、幾つ?」

 見事なダークシルバーの、どう見ても愛らしい同年代の少女に、

「は、はい! 今年の末に17になります!」
「お、同い年!」

アーサーはまじまじと見つめる。

 深いグリーンの瞳は理知的、でも自分に自信がないのか戸惑った様子……その上……。
 兄王太子よりも健康的で、適度に日焼けした少年の頬がうっすら赤く、そして、

「あ、あの、ブリジット卿……」
「り、リジーと呼んで下さいませ」
「あ、うん、じゃ、じゃぁ……えっと、リジー……い、妹を、よ、よろしく、ね? そ、それに、僕たちも……」
「はい! お守り致します!」

その一言に、ガーン! のアーサーは、

「ぼ、僕も、い、一応剣と術はさ、最低限、教わっているから」
「そうなんですか! じゃぁ、是非、私は未熟なので、教えて下さいませ! 私は、本当に騎士として……」
「う、うん! 訓練……訓練、しようね! 絶対だよ!」
「先輩方とも、一緒に!」

必死のリジーによって痛恨の一撃を食らったアーサーは、

「う、うん……頑張る……」

と呟くしかなかったのだった。
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