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これからよろしくね
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事件から一週間が経った。
あのあとライデンたちにそれまでの流れを説明した。そして人につくられた精霊のことも。するとライデンはすぐにパルとハイトを聖樹ミッテにむかわせて、黒幕を地下神殿から助け出し、捕まえた。
黒幕がまほうを使えなくしたのには、理由があった。かつて近所の人が使ったまほうのせいで、黒幕の両親や妹がなくなったらしい。その事件のせいで黒幕はまほうを憎むようになった。そして何年も前に、当時住んでいた家から人に作られた精霊のことが書かれた日記を手に入れ、まほうを使えなくしようとしたそうだ。
「それからその精霊だけれど、これからどうするかは王さまたちが決めるから、それまではヴィント、きみがいっしょにいてあげて」
そう言われ、ヴィントは人につくられた精霊といっしょにすごした。ネズミを捕まえるのも休みになり、いっしょに遊んだりした。
その日、部屋から出て行っていたライデンが帰ってくると、うれしそうに報告した。
「みんな、その精霊のことだけれどヴィント以外に力を貸さないなら、ここにいていいって言われたよ」
一番喜んだのは意外にもウニだった。
「よかったわね」
人につくられた精霊はうれしそうにうなずいた。
「なんでウニがそんなに喜んでんだよ?」
フォイアの問いにウニは「あら」と言葉を続けた。
「女同士のひみつよ、ねー?」
ウニと人につくられた精霊は同じ方向に首をかたむけた。フォイアは納得していないようだった。
「と、いうわけでその子にも名前がいると思うんだけれど」
ライデンが言った。
「たしかに名前がないのは不便ですね」
「ねえ、ヴィント。名前つけてあげたらどうかしら?」
「え、ぼく?」
ヴィントはとまどった。人につくられた精霊は目を輝かせていた。
「うーんそうだなあ……。それじゃあエーデルってどうかな?」
人につくられた精霊、エーデルはうなずいた。
「よろしくね、エーデル」
「よろしくおねがいします」
「よろしくな」
「よろしくねえ」
エーデルは四ひきの鼻の頭をなでた。
「エーデル。これからもよろしくね」
ヴィントがそうあいさつすると、エーデルはヴィントにだきついた。
それからヴィントがこの世を去るまでの十五年間、エーデルはヴィントから片時もはなれなかった。そしてヴィントが永遠の眠りにつくといつの間にか姿を消していたそうだ。
あのあとライデンたちにそれまでの流れを説明した。そして人につくられた精霊のことも。するとライデンはすぐにパルとハイトを聖樹ミッテにむかわせて、黒幕を地下神殿から助け出し、捕まえた。
黒幕がまほうを使えなくしたのには、理由があった。かつて近所の人が使ったまほうのせいで、黒幕の両親や妹がなくなったらしい。その事件のせいで黒幕はまほうを憎むようになった。そして何年も前に、当時住んでいた家から人に作られた精霊のことが書かれた日記を手に入れ、まほうを使えなくしようとしたそうだ。
「それからその精霊だけれど、これからどうするかは王さまたちが決めるから、それまではヴィント、きみがいっしょにいてあげて」
そう言われ、ヴィントは人につくられた精霊といっしょにすごした。ネズミを捕まえるのも休みになり、いっしょに遊んだりした。
その日、部屋から出て行っていたライデンが帰ってくると、うれしそうに報告した。
「みんな、その精霊のことだけれどヴィント以外に力を貸さないなら、ここにいていいって言われたよ」
一番喜んだのは意外にもウニだった。
「よかったわね」
人につくられた精霊はうれしそうにうなずいた。
「なんでウニがそんなに喜んでんだよ?」
フォイアの問いにウニは「あら」と言葉を続けた。
「女同士のひみつよ、ねー?」
ウニと人につくられた精霊は同じ方向に首をかたむけた。フォイアは納得していないようだった。
「と、いうわけでその子にも名前がいると思うんだけれど」
ライデンが言った。
「たしかに名前がないのは不便ですね」
「ねえ、ヴィント。名前つけてあげたらどうかしら?」
「え、ぼく?」
ヴィントはとまどった。人につくられた精霊は目を輝かせていた。
「うーんそうだなあ……。それじゃあエーデルってどうかな?」
人につくられた精霊、エーデルはうなずいた。
「よろしくね、エーデル」
「よろしくおねがいします」
「よろしくな」
「よろしくねえ」
エーデルは四ひきの鼻の頭をなでた。
「エーデル。これからもよろしくね」
ヴィントがそうあいさつすると、エーデルはヴィントにだきついた。
それからヴィントがこの世を去るまでの十五年間、エーデルはヴィントから片時もはなれなかった。そしてヴィントが永遠の眠りにつくといつの間にか姿を消していたそうだ。
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