14 / 50
あづさゆみ
第十四話 正鵠を射る(3)
しおりを挟む
「白樺!くそっ。何てことを……」
床に崩れ落ちていく白樺の元に霞と楓が駆け寄る。伊吹が刀を仕舞い、白樺に突き刺さった矢を抜こうとした。
「これぐらいの傷なら急いで手当すれば命に支障はないはず!急いで医者に診せれば……」
「無駄よ」
霞は白樺を見下ろしながら吐き捨てるように言った。
「今までのことを考えると恐らく、矢じりには致死量の毒が塗られているはず……。今夜、楓様を仕留めるつもりだったんだから……」
霞はぎゅっと唇を噛み締めると、床に倒れ込む白樺の着物を掴んだ。
「教えて!貴方を唆したのは誰なの?話すまで死なせないから!」
「それは……無理だ……が死ぬ」
白樺の声は途切れ途切れになり、息も荒くなってくる。目の焦点が合わず、苦し気な表情を浮かべていた。予想以上に毒の回りが早い。
焦った霞は無駄だと分かっていながら声を張り上げた。
「せめて名前だけでも教えなさいよ!私の……私の家族の仇なの!」
「霞様、止めてくれ。白樺が苦しんでる……」
楓は後ろから霞の両腕を掴み、自分の元に引き寄せた。何とか白樺から体を引き離す。伊吹は白樺の体を支えながら「大丈夫か?しっかりしろ!」と声を掛け続けていた。
「そんな……。真相に近づける絶好の機会だったのに……化け物のしっぽを掴めるところだったのに!」
霞は振り返りざま、楓を睨み上げた。その後で思わず息を止める。
楓の整った顔つきが悔しさと悲しさに染まっていたからだ。霞の体を引き留めている手が微かに震えているのに気が付く。
霞はそこで初めて白樺が楓にとって大切な友であったことを思い出した。
「もしかして白樺を疑ってるのか?」
白樺のことを聞きだした時、楓はそう言って顔を曇らせていた。
それほど白樺のことを信頼していたのだろう。それが裏切られた上に、霞に強く追及されている姿を目にして傷つかないはずがない。
霞は人の心を慮ることのできなかった己の行動を恥じる。
「……ごめんなさい」
霞が力なく謝ると、楓は霞を押さえていた手を離す。
「か……えで」
白樺が途切れ途切れに楓の名を呼ぶ。楓は白樺の側に近づいて最期の言葉を聞き取ろうとする。
「わるか……ったな」
そう言って白樺がうめき声を上げた後、動きを止める。楓は白樺の言葉を聞いて、一瞬目を見開くとそのまま顔を伏せた。
「おいっ!しっかりしろ!おい!」
伊吹が白樺の体を揺すったが、その目が再び開くことは無かった。霞は最悪な光景を目の前にし、唇を噛み締めていた。
(化け物を追い詰めたつもりだったのにいつの間にか追い詰められてたなんて……!私はまた……助けられなかった)
霞は宮中に潜む化け物が想像以上の手強さ、得体の知れなさに初めて恐怖を抱く。いつもなら敵の大きな駒を前にして胸躍らせる霞だったが、今はそんな気持ちになれなかった。
『一番注意しなければならないのは「勝った」と思った時だ。その時が一番油断していて思わぬ一手に対応できなくなる』
そんな榊の言葉が聞こえたような気がして、霞は亡き父に怒られた心地になった。
(私、負けたのね。『化け物』に……)
強く唇を噛み締めていたせいで口内を切ったのだろう。
敗北は苦い血の味がした。
「神聖な紫星殿で穢れがあったらしいわよ」
「何でも弓将様がご自害なされたとか……」
「陰陽師たちが日々お祓いをしているらしいけど。嫌ね……気味が悪い」
翌日、早速女房達が白樺の死について噂していた。
人の死に関わった者は、死の穢れを祓うために謹慎しなければならない。
陽ノ国の宮中では死や血などを汚らわしい物だと考えていた。そのため死者と対面した者は穢れを落とすために部屋に籠り、神仏に祈りを捧げて過ごさなければならないという習わしがある。穢れがうつると考えられ、人との交流も憚られた。
こうして霞達は十四日ほど暇を言い渡されたのだ。
宮中での混乱を避けるため、白樺が楓を殺そうとしていたことは公にされていない。昨夜の事の次第《しだい》は楓が帝に伝えたはずだ。
霞の気持ちは焦っていた。部屋に籠っている時間などない。
喪に服すための黒い袿は床に捨てられ、野行幸の時に身に着けていた狩衣姿をしている。
(早く、早く牡丹様に会わねば!次の一手のために……!)
文机に並べられた、菖蒲からの励ましの文にも目をくれず出かける準備を整えていた。
白樺が息を引き取った後、霞はその後の足取りをよく覚えていない。医者や他の人を呼び、紫星殿が騒然とした記憶はある。
覚束ない足で自分の局に戻り、そのまま現実から逃れるように眠りに就いたのだ。
(とてもじゃないけど……。楓様にはお伝えできないわね。きっと親友を失った悲しみに暮れているはず)
霞は昨夜の楓の沈んだ顔を思い出し、少しだけ気分が重くなった。霞は頭を左右に振ると己の両頬を叩いて気持ちを奮い立たせる。
(気持ちを割り切らないと、化け物となんて戦えないわ。私一人だって……情報収集ぐらい容易いことよ。今までだって一人でやってきたじゃない)
霞の局の襖がすらりと開く。馬の準備をさせていた使用人だと思った霞は床に捨てた黒い小袿を拾い上げながら文句を言った。
「ちょっと、開ける前に声ぐらい掛け……」
霞は顔を上げて驚いた。
目の前にいたのは黒い装束に身を包んだ楓だったのだ。伏せがちな目と憂いを帯びた表情に右目についている泣きぼくろがより一層、魅力を引き立たせる。
不思議な色気を漂わせている楓は女官達が見れば大盛り上がりするほどの美しさだったが、霞にとっては心苦しいものだった。目の下にうっすらとクマが見えて昨夜は眠れなかったことが分かる。
白樺のことがあるので霞はできれば顔をあわせたくなかった。楓が後ろ手に閉めた襖の隙間から伊吹の姿が一瞬だけ見える。まだ楓の命が狙われている可能性があるので伊吹の警護は続けられているのだろう。
「牡丹様のところへ向かうつもりか?」
霞は自分の行動が読まれていたことと楓の普段よりも低い声に驚いた。表向きの柔らかい雰囲気でもなく、霞達だけに見せる砕けた雰囲気とも違う。霞は楓の威圧感に負けじと言葉を続けた。
「そのつもりですが……。白樺様が亡くなった今、化け物の素性を知る牡丹様の身も危険だと考えました。お話が聞けるうちにお会いしなければ……」
「駄目だ。行かせられない」
楓の鋭い視線に霞の目が大きく見開かれる。
「何故です?一刻も早く牡丹様にお会いせねば……」
「今動くのは危険だからだ」
「それは……承知の上です。分かったらそこを退いて……」
襖の前に立ちふさがる楓に霞は手を払う仕草をするが楓が動く気配はない。
「昨夜のことで分かったはずだ。俺達は……人智を越えた何か……本物の化け物を相手にしてる。だから、霞様には化け物探しを諦めて頂きたいのです」
「な……!何を仰っているのですか……」
「昨夜のことで化け物も霞様の正体に気が付いたはずです。警護の者をお付けしますのでどうか、今後化け物のことは私にお任せください」
楓の他人行儀な口調に霞は震えた。相手と距離を置こうとする時に出る楓の癖だ。
(今回私が負けたから役立たず判定されたのね……。それに、弱っている白樺様への横暴な態度……。想像はしていたけど見限られるのも当然ね)
霞はふっと小さく息を吐く。だが、楓に協力関係を打ち切られて諦めるような霞ではなかった。それほどまでに霞の復讐の炎は強い。
「……分かりました。協力関係を解消するのは構いません。ですが、家族の仇討ちは私の悲願。一人でもやり遂げるつもりです」
霞は強く言い放つと、廊下へ向かうために楓の側を横切ろうとした。その時だった。霞の視界が真っ黒になり、温かな何かに包まれる。
(何……?)
霞は一瞬、何が起きたのか分からなかった。遅れて自分が楓に抱きしめられるようにして行く先を阻まれているのに気が付く。
「行かせない」
楓の掠れ声が頭上から降って来る。それと同時に霞の背中に回された腕に力が入り楓の胸元に押し付けられた。そのせいで視界はずっと楓の装束の色、黒色になる。
(一体何のつもり?)
霞は何とか顔を動かし、楓の表情を読み取ろうとするが楓の腕に締め付けられて見えない。少し腕を強く押したりしてみるのだがびくともしなかった。
(……どうしたものかしら)
霞はこの腕から逃れる術を思考しながら暫く居心地悪そうに楓の腕の中に収まっていた。
床に崩れ落ちていく白樺の元に霞と楓が駆け寄る。伊吹が刀を仕舞い、白樺に突き刺さった矢を抜こうとした。
「これぐらいの傷なら急いで手当すれば命に支障はないはず!急いで医者に診せれば……」
「無駄よ」
霞は白樺を見下ろしながら吐き捨てるように言った。
「今までのことを考えると恐らく、矢じりには致死量の毒が塗られているはず……。今夜、楓様を仕留めるつもりだったんだから……」
霞はぎゅっと唇を噛み締めると、床に倒れ込む白樺の着物を掴んだ。
「教えて!貴方を唆したのは誰なの?話すまで死なせないから!」
「それは……無理だ……が死ぬ」
白樺の声は途切れ途切れになり、息も荒くなってくる。目の焦点が合わず、苦し気な表情を浮かべていた。予想以上に毒の回りが早い。
焦った霞は無駄だと分かっていながら声を張り上げた。
「せめて名前だけでも教えなさいよ!私の……私の家族の仇なの!」
「霞様、止めてくれ。白樺が苦しんでる……」
楓は後ろから霞の両腕を掴み、自分の元に引き寄せた。何とか白樺から体を引き離す。伊吹は白樺の体を支えながら「大丈夫か?しっかりしろ!」と声を掛け続けていた。
「そんな……。真相に近づける絶好の機会だったのに……化け物のしっぽを掴めるところだったのに!」
霞は振り返りざま、楓を睨み上げた。その後で思わず息を止める。
楓の整った顔つきが悔しさと悲しさに染まっていたからだ。霞の体を引き留めている手が微かに震えているのに気が付く。
霞はそこで初めて白樺が楓にとって大切な友であったことを思い出した。
「もしかして白樺を疑ってるのか?」
白樺のことを聞きだした時、楓はそう言って顔を曇らせていた。
それほど白樺のことを信頼していたのだろう。それが裏切られた上に、霞に強く追及されている姿を目にして傷つかないはずがない。
霞は人の心を慮ることのできなかった己の行動を恥じる。
「……ごめんなさい」
霞が力なく謝ると、楓は霞を押さえていた手を離す。
「か……えで」
白樺が途切れ途切れに楓の名を呼ぶ。楓は白樺の側に近づいて最期の言葉を聞き取ろうとする。
「わるか……ったな」
そう言って白樺がうめき声を上げた後、動きを止める。楓は白樺の言葉を聞いて、一瞬目を見開くとそのまま顔を伏せた。
「おいっ!しっかりしろ!おい!」
伊吹が白樺の体を揺すったが、その目が再び開くことは無かった。霞は最悪な光景を目の前にし、唇を噛み締めていた。
(化け物を追い詰めたつもりだったのにいつの間にか追い詰められてたなんて……!私はまた……助けられなかった)
霞は宮中に潜む化け物が想像以上の手強さ、得体の知れなさに初めて恐怖を抱く。いつもなら敵の大きな駒を前にして胸躍らせる霞だったが、今はそんな気持ちになれなかった。
『一番注意しなければならないのは「勝った」と思った時だ。その時が一番油断していて思わぬ一手に対応できなくなる』
そんな榊の言葉が聞こえたような気がして、霞は亡き父に怒られた心地になった。
(私、負けたのね。『化け物』に……)
強く唇を噛み締めていたせいで口内を切ったのだろう。
敗北は苦い血の味がした。
「神聖な紫星殿で穢れがあったらしいわよ」
「何でも弓将様がご自害なされたとか……」
「陰陽師たちが日々お祓いをしているらしいけど。嫌ね……気味が悪い」
翌日、早速女房達が白樺の死について噂していた。
人の死に関わった者は、死の穢れを祓うために謹慎しなければならない。
陽ノ国の宮中では死や血などを汚らわしい物だと考えていた。そのため死者と対面した者は穢れを落とすために部屋に籠り、神仏に祈りを捧げて過ごさなければならないという習わしがある。穢れがうつると考えられ、人との交流も憚られた。
こうして霞達は十四日ほど暇を言い渡されたのだ。
宮中での混乱を避けるため、白樺が楓を殺そうとしていたことは公にされていない。昨夜の事の次第《しだい》は楓が帝に伝えたはずだ。
霞の気持ちは焦っていた。部屋に籠っている時間などない。
喪に服すための黒い袿は床に捨てられ、野行幸の時に身に着けていた狩衣姿をしている。
(早く、早く牡丹様に会わねば!次の一手のために……!)
文机に並べられた、菖蒲からの励ましの文にも目をくれず出かける準備を整えていた。
白樺が息を引き取った後、霞はその後の足取りをよく覚えていない。医者や他の人を呼び、紫星殿が騒然とした記憶はある。
覚束ない足で自分の局に戻り、そのまま現実から逃れるように眠りに就いたのだ。
(とてもじゃないけど……。楓様にはお伝えできないわね。きっと親友を失った悲しみに暮れているはず)
霞は昨夜の楓の沈んだ顔を思い出し、少しだけ気分が重くなった。霞は頭を左右に振ると己の両頬を叩いて気持ちを奮い立たせる。
(気持ちを割り切らないと、化け物となんて戦えないわ。私一人だって……情報収集ぐらい容易いことよ。今までだって一人でやってきたじゃない)
霞の局の襖がすらりと開く。馬の準備をさせていた使用人だと思った霞は床に捨てた黒い小袿を拾い上げながら文句を言った。
「ちょっと、開ける前に声ぐらい掛け……」
霞は顔を上げて驚いた。
目の前にいたのは黒い装束に身を包んだ楓だったのだ。伏せがちな目と憂いを帯びた表情に右目についている泣きぼくろがより一層、魅力を引き立たせる。
不思議な色気を漂わせている楓は女官達が見れば大盛り上がりするほどの美しさだったが、霞にとっては心苦しいものだった。目の下にうっすらとクマが見えて昨夜は眠れなかったことが分かる。
白樺のことがあるので霞はできれば顔をあわせたくなかった。楓が後ろ手に閉めた襖の隙間から伊吹の姿が一瞬だけ見える。まだ楓の命が狙われている可能性があるので伊吹の警護は続けられているのだろう。
「牡丹様のところへ向かうつもりか?」
霞は自分の行動が読まれていたことと楓の普段よりも低い声に驚いた。表向きの柔らかい雰囲気でもなく、霞達だけに見せる砕けた雰囲気とも違う。霞は楓の威圧感に負けじと言葉を続けた。
「そのつもりですが……。白樺様が亡くなった今、化け物の素性を知る牡丹様の身も危険だと考えました。お話が聞けるうちにお会いしなければ……」
「駄目だ。行かせられない」
楓の鋭い視線に霞の目が大きく見開かれる。
「何故です?一刻も早く牡丹様にお会いせねば……」
「今動くのは危険だからだ」
「それは……承知の上です。分かったらそこを退いて……」
襖の前に立ちふさがる楓に霞は手を払う仕草をするが楓が動く気配はない。
「昨夜のことで分かったはずだ。俺達は……人智を越えた何か……本物の化け物を相手にしてる。だから、霞様には化け物探しを諦めて頂きたいのです」
「な……!何を仰っているのですか……」
「昨夜のことで化け物も霞様の正体に気が付いたはずです。警護の者をお付けしますのでどうか、今後化け物のことは私にお任せください」
楓の他人行儀な口調に霞は震えた。相手と距離を置こうとする時に出る楓の癖だ。
(今回私が負けたから役立たず判定されたのね……。それに、弱っている白樺様への横暴な態度……。想像はしていたけど見限られるのも当然ね)
霞はふっと小さく息を吐く。だが、楓に協力関係を打ち切られて諦めるような霞ではなかった。それほどまでに霞の復讐の炎は強い。
「……分かりました。協力関係を解消するのは構いません。ですが、家族の仇討ちは私の悲願。一人でもやり遂げるつもりです」
霞は強く言い放つと、廊下へ向かうために楓の側を横切ろうとした。その時だった。霞の視界が真っ黒になり、温かな何かに包まれる。
(何……?)
霞は一瞬、何が起きたのか分からなかった。遅れて自分が楓に抱きしめられるようにして行く先を阻まれているのに気が付く。
「行かせない」
楓の掠れ声が頭上から降って来る。それと同時に霞の背中に回された腕に力が入り楓の胸元に押し付けられた。そのせいで視界はずっと楓の装束の色、黒色になる。
(一体何のつもり?)
霞は何とか顔を動かし、楓の表情を読み取ろうとするが楓の腕に締め付けられて見えない。少し腕を強く押したりしてみるのだがびくともしなかった。
(……どうしたものかしら)
霞はこの腕から逃れる術を思考しながら暫く居心地悪そうに楓の腕の中に収まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜
菰野るり
キャラ文芸
皇帝陛下はお年頃。
まわりは縁談を持ってくるが、どんな美人にもなびかない。
なんでも、3年前に一度だけ出逢った忘れられない女性がいるのだとか。手がかりはなし。そんな中、皇太后は自ら街に出て息子の嫁探しをすることに!
この物語の皇太后の名は雲泪(ユンレイ)、皇帝の名は堯舜(ヤオシュン)です。つまり【後宮物語〜身代わり宮女は皇帝陛下に溺愛されます⁉︎〜】の続編です。しかし、こちらから読んでも楽しめます‼︎どちらから読んでも違う感覚で楽しめる⁉︎こちらはポジティブなラブコメです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる