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―やっぱり僕は―
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「――はい、お待ちどうさま。」
そう言われて運ばれてきたのは美味しそうなオムライスとナポリタンだった。
「わぁ…めっちゃ美味しそう。瀬川先輩!早く食べましょう。」
「そうだね。俺も腹減ったから早く食べたい。」
「「いただきます」」
2人は声を揃えてそう言った後、各々の頼んだご飯を食べ始めた。
僕が頼んだのはオムライスだ。しっかりと焼かれた黄色い卵生地の中には具沢山のチキンライスが入っており、上にはケチャップがかかっている。ケチャップも手作りだそうだ。
見るからに美味しそうなオムライスを頬張る春樹を見る瀬川の目は優しかった。
「…?どうしました先輩?あ、オムライス食べますか?美味しいですよ、ほら、あーん」
そう言って春樹はスプーンで掬ったオムライスを瀬川に差し出す。
「良いの?あんなに美味しそうに食べてたのに。…あははっ笑そんなに良いなら貰うよ。ありがと。」
瀬川は少し戸惑ったが意を決したみたいだ。伸ばしている春樹の手を握り自分の口を近づけた。
「んーまい。美味しいなこれ!次来たら頼もうかな。」
瀬川は春樹の目を見つめながらそう話しを続けている。
途端に僕は真っ赤になってしまった。手握られて近距離で目合わせるなんて握手会でも行ってる気分だよ。
これはやばい、本当にダメだ。
耳どころか手まで赤くなっている春樹の反応を楽しむかのように、瀬川は春樹の手のひらを自分の親指の腹でスリっと撫でた。
「…っ」
さらに顔を赤くする春樹を見て思わず笑がこぼれる。
瀬川先輩の事が好き、なのかも。
それが頭の中に過ぎった瞬間、心の奥に閉まっていた感情が一気に溢れ出てきた。
自覚してしまったその恋路は険しく、難しいことは春樹には十分わかっている。
色んな感情が入り交じるそれは、心に光をも与えるが、同時に影も差す。
「……ずるいです。」
春樹がやっと言葉にできたのはそれだけだった。
「どうした?こっちのも食べるか?」
「…、瀬川先輩のナポリタンちょっと僕にもください。」
「良いよ良いよ。食いたいだけ食いな?」
瀬川先輩は本当にずるいので残ってるナポリタンを全部食べてやろうと思ったが、オムライスが大きかったのもあって一口でやめた。
「あれ。そんくらいで良いの?」
「良いんです。てかそれ先輩のだし。それに僕デザート食べたいんですよ。」
「あぁ、確かに。早めに頼んどくか。さっき言ってたので良いんだろ?」
僕はコクリと頷く。それを見た先輩は席を立ち、カウンターへ向かった。
そう言われて運ばれてきたのは美味しそうなオムライスとナポリタンだった。
「わぁ…めっちゃ美味しそう。瀬川先輩!早く食べましょう。」
「そうだね。俺も腹減ったから早く食べたい。」
「「いただきます」」
2人は声を揃えてそう言った後、各々の頼んだご飯を食べ始めた。
僕が頼んだのはオムライスだ。しっかりと焼かれた黄色い卵生地の中には具沢山のチキンライスが入っており、上にはケチャップがかかっている。ケチャップも手作りだそうだ。
見るからに美味しそうなオムライスを頬張る春樹を見る瀬川の目は優しかった。
「…?どうしました先輩?あ、オムライス食べますか?美味しいですよ、ほら、あーん」
そう言って春樹はスプーンで掬ったオムライスを瀬川に差し出す。
「良いの?あんなに美味しそうに食べてたのに。…あははっ笑そんなに良いなら貰うよ。ありがと。」
瀬川は少し戸惑ったが意を決したみたいだ。伸ばしている春樹の手を握り自分の口を近づけた。
「んーまい。美味しいなこれ!次来たら頼もうかな。」
瀬川は春樹の目を見つめながらそう話しを続けている。
途端に僕は真っ赤になってしまった。手握られて近距離で目合わせるなんて握手会でも行ってる気分だよ。
これはやばい、本当にダメだ。
耳どころか手まで赤くなっている春樹の反応を楽しむかのように、瀬川は春樹の手のひらを自分の親指の腹でスリっと撫でた。
「…っ」
さらに顔を赤くする春樹を見て思わず笑がこぼれる。
瀬川先輩の事が好き、なのかも。
それが頭の中に過ぎった瞬間、心の奥に閉まっていた感情が一気に溢れ出てきた。
自覚してしまったその恋路は険しく、難しいことは春樹には十分わかっている。
色んな感情が入り交じるそれは、心に光をも与えるが、同時に影も差す。
「……ずるいです。」
春樹がやっと言葉にできたのはそれだけだった。
「どうした?こっちのも食べるか?」
「…、瀬川先輩のナポリタンちょっと僕にもください。」
「良いよ良いよ。食いたいだけ食いな?」
瀬川先輩は本当にずるいので残ってるナポリタンを全部食べてやろうと思ったが、オムライスが大きかったのもあって一口でやめた。
「あれ。そんくらいで良いの?」
「良いんです。てかそれ先輩のだし。それに僕デザート食べたいんですよ。」
「あぁ、確かに。早めに頼んどくか。さっき言ってたので良いんだろ?」
僕はコクリと頷く。それを見た先輩は席を立ち、カウンターへ向かった。
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