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-第11夜- 真実は伝える為にある
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その男は人の姿でも暫く私の刃とやり合えていた。だがその状態から勝機を見い出せなかったのか月光を浴びて獣へと姿を変えたのだ。
「やっと本気になりましたか?」
「随分と余裕を見せるな聖職者。教会本部から送り込まれたと聞き、少し警戒をしていたがあまり脅威ではなかったみたいだな」
「そうですか」
「女子供一人相手に負ける俺じゃねぇ。夜の人狼の強さをすぐに思いしらせてやる」
いつか、何処かで聞いたフレーズを彼は口にした。
「仮に私に勝てたとして、それから?教会本部はいつまで経っても帰還してこない私を不審に思い、更なる数の聖職者を送り込むと思うけど?」
対して彼は「夜の俺の相手じゃねぇ」と豪語した。
「そう、なら楽しませてね?狼…さん」
結果として私はこの男、人狼を倒せた。
夜の人狼は確かに強いが……たった一体では私には敵わなかったという事だ。
「……仲間の事、訊くの忘れてしまった。戦いに集中し過ぎたか」
目前にうつ伏せに倒れる彼を見下ろしながら私はそう一人で呟いた。
村に潜む人狼を無事討伐した私は役場の人とグレモリー村長を呼び確認をしてもらった。
その中で唯一、村長のグレモリーだけが顔色を変えてこの場からすぐに去って行った。それを疑問に思った私は少しして彼の元へと伺った。
「こんばんは」
「な、何をしに……来たんだ」
「先程、現場を見た時の貴方様子が気になりまして」
「……」
「あの人狼に見覚えを?」
「さぁな」
訪れた沈黙の中で、暖炉の火がバチバチと音を立てながら燃えている。
「座ってもいいですか?」
「好きにしろ」
空いていた椅子に座った私に彼はお茶を煎れてくれた。
お茶を頂こうとした時、不意にグレモリー村長の寂しそうな顔が視界に入って来た。
「……あの男。カリアはわしの娘、シェイリの婚約者でな」
「え?」
村長は数十分に渡り、ゆっくりとその真実を教えてくれた。自身が脅されていたとはいえ、人狼の犯行による遺体の処理を密かにしていた事も認めたのだ。
「それで、貴方はどうしたいと?」
「……それが分からないんじゃ、娘になんと言えば良いかも」
するとこのタイミングで2階から彼の娘であるシェイリが降りて来た。
「お父さん?カリアの姿が見えないんだけど?何処に……?」
私と彼女の目が合った。
「えーっと、どちら……様?」
最初に訪れた時には彼女はいなかった為、紹介が出来なかった。
「私は……」
と、言い掛けた時に村長が私を紹介してくれた。
「彼女はサテライト=ヴィル・アストレアさんだ。教会本部から来て下さった聖職者だ」
彼にそう言われ、彼女はコクリと軽く会釈をした。
「村を騒がしている人狼を調査していたそうなんだが、先程、その人狼を……」
「その事についてですが、シェイリさん。私から貴女にお話が」
「なっ、」
グレモリーは話の最後の方に人狼の正体だけは娘には伝えないでくれと言ってきた。母を早くに亡くし、兄弟もいず、友人も少ない娘にこれ以上の悲しい思いを、寂しく辛い思いをして欲しくない。これが村長の主張であった。だが私は……。
真実は誰かに伝える為にあるべきだと考えている。例え、それがどんな結末を産もうと残酷な事であろうと。
「……シェイリさん。役場の方へ」
この先の展開は貴方の想像に任せるとしよう。
遺体の正体を知った彼女がどうなったかを……。
「やっと本気になりましたか?」
「随分と余裕を見せるな聖職者。教会本部から送り込まれたと聞き、少し警戒をしていたがあまり脅威ではなかったみたいだな」
「そうですか」
「女子供一人相手に負ける俺じゃねぇ。夜の人狼の強さをすぐに思いしらせてやる」
いつか、何処かで聞いたフレーズを彼は口にした。
「仮に私に勝てたとして、それから?教会本部はいつまで経っても帰還してこない私を不審に思い、更なる数の聖職者を送り込むと思うけど?」
対して彼は「夜の俺の相手じゃねぇ」と豪語した。
「そう、なら楽しませてね?狼…さん」
結果として私はこの男、人狼を倒せた。
夜の人狼は確かに強いが……たった一体では私には敵わなかったという事だ。
「……仲間の事、訊くの忘れてしまった。戦いに集中し過ぎたか」
目前にうつ伏せに倒れる彼を見下ろしながら私はそう一人で呟いた。
村に潜む人狼を無事討伐した私は役場の人とグレモリー村長を呼び確認をしてもらった。
その中で唯一、村長のグレモリーだけが顔色を変えてこの場からすぐに去って行った。それを疑問に思った私は少しして彼の元へと伺った。
「こんばんは」
「な、何をしに……来たんだ」
「先程、現場を見た時の貴方様子が気になりまして」
「……」
「あの人狼に見覚えを?」
「さぁな」
訪れた沈黙の中で、暖炉の火がバチバチと音を立てながら燃えている。
「座ってもいいですか?」
「好きにしろ」
空いていた椅子に座った私に彼はお茶を煎れてくれた。
お茶を頂こうとした時、不意にグレモリー村長の寂しそうな顔が視界に入って来た。
「……あの男。カリアはわしの娘、シェイリの婚約者でな」
「え?」
村長は数十分に渡り、ゆっくりとその真実を教えてくれた。自身が脅されていたとはいえ、人狼の犯行による遺体の処理を密かにしていた事も認めたのだ。
「それで、貴方はどうしたいと?」
「……それが分からないんじゃ、娘になんと言えば良いかも」
するとこのタイミングで2階から彼の娘であるシェイリが降りて来た。
「お父さん?カリアの姿が見えないんだけど?何処に……?」
私と彼女の目が合った。
「えーっと、どちら……様?」
最初に訪れた時には彼女はいなかった為、紹介が出来なかった。
「私は……」
と、言い掛けた時に村長が私を紹介してくれた。
「彼女はサテライト=ヴィル・アストレアさんだ。教会本部から来て下さった聖職者だ」
彼にそう言われ、彼女はコクリと軽く会釈をした。
「村を騒がしている人狼を調査していたそうなんだが、先程、その人狼を……」
「その事についてですが、シェイリさん。私から貴女にお話が」
「なっ、」
グレモリーは話の最後の方に人狼の正体だけは娘には伝えないでくれと言ってきた。母を早くに亡くし、兄弟もいず、友人も少ない娘にこれ以上の悲しい思いを、寂しく辛い思いをして欲しくない。これが村長の主張であった。だが私は……。
真実は誰かに伝える為にあるべきだと考えている。例え、それがどんな結末を産もうと残酷な事であろうと。
「……シェイリさん。役場の方へ」
この先の展開は貴方の想像に任せるとしよう。
遺体の正体を知った彼女がどうなったかを……。
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