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-第15夜- お手並み拝見
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「穢らわしい。私の身体に触れないで」
私は目の前の彼を睨み付ける。
「おっと、怖いなぁ。そんな目で見ないでくれよ。これでも僕は君のファンなんだ」
「ファン?」
「あぁ、そうだ。僕は君にとてつもない興味を抱いている。だから見せて欲しいんだ。君のその強さをね」
「?」
そう言って彼は私を更に地下へと案内し、闘技場のような空間へと連れて来た。他の人狼も共にその場へと来て、各々が観席へと着いている。
「一体、何を始めるつもり?」
「簡単な事さ。サテライト。君には僕の強い仲間と数名戦ってもらいたい。君がどれ程の強さを有しているのか、この目で確認したくてね」
「断ったら?」
「そうだねー、そしたら、彼女をこの場で嬲り殺そうかな」
「彼女?」
彼は部下に顎で指示を出し、私の前にそれを持って来させた。大きな鳥籠に入れられ若い少女。彼女は血の染みたボロボロの白いワンピースを着て、両手首を上にロープで縛られていた。
「その人は?」
「君も分かる筈だ。サテライト。ここに来る前に君にこの場の情報提供をしてくれた若い男がいなかったかね?」
「若い男?」
(あぁ、あの時の……反教会同盟か)
彼の言っていた意味が少し理解出来た気がする。つまりは最初から全て仕組まれていた事だったのだと。
「その少女は彼の妹さんか何かですか?」
「あぁ、そうだ。彼女を人質に、あの青年にこの場所を伝えるように仕向けた。君が街のあちこちで聞き込みを行なっているのは知っていたからな」
「そういう事か」
「だが君は予定よりも来るのが遅かった。もっと早く来ると思っていたのだが……」
「路地裏の飲み屋の街に着いてから迷ってしまってな。どうすればいいか分からなくてナンパして来た男と飲み屋で時間を潰していた。そちらが出迎えてくれたおかげでなんとかここまで来れたが……」
「そうかい。まぁいい、何がともあれ君はここに来てくれたんだ。それだけで僕は嬉しいよ。それで、どうする?君はこの誘いに乗るかね?サテライト」
少し間を置いてから私は答える。
「乗るしかないでしょ。聖職者なんだから……」
「そうだ。君は聖職者だ。だから、彼女を見殺しなんて出来ない。分かっていたさ」
「……前置きが長くなり過ぎた。早速始めましょう?命のやり取りを」
「あぁ、そうだな」
私は一人先に闘技場へと出た。周りを囲む高低差のある観客席には下衆いな種属が私を舐め回すような目で見ていて非常に気持ちが悪い。そして、貴族風の格好をした人狼は先ほどと同じように玉座へと座り、脚を組みながら、左手でその顔を支えていた。彼の左隣には鳥籠に入れられた囚われの少女が……。
彼は言う。
「では早速始めようじゃないか。ルールは簡単だ。これから現れるは僕の部下3名。いずれも選りすぐりの存在だ。一筋縄で行かなぬであろう。サテライト。君にはその3名と戦ってもらって勝って頂きたい。要するにそ奴らを殺すと言う事だ」
「なるほど。質問をしても?」
「あぁ、幾つでも構わない。好きなだけしてくれ」
「そうか。それではさせて頂こう。その3体とは1体ずつ戦うのか?それとも3体同時か?或いは2、1で分けるのか?」
「ふむ、良い質問だ。実はなんだが、明確な決まりは無くてな。故に君が望むようにしてくれ」
「指定をしてもいいと?」
「あぁ、そうだ」
「そうか。では初戦は1VS1を望もう」
「分かった。ドーム!出て来い!」
ドームと呼ばれた存在。勿論、人狼だ。四隅にある大きな扉。そのうちの1つ。10時方向より開かれし扉からドームと呼ばれる存在は出て来た。大きな身体の人狼だ。既に姿は狼で黄土色の皮膚を同色の体毛が覆っていた。大きい。2、3メートル程ぐらいあるであろうか。この種類を見るのは久しぶりだ。
「ほーう、お前が噂の人狼狩り。赤ずきんかぁ~。こりゃあ、楽しめそうだがぁ~思ってたよりもチビだなぁ~こいつはぁ~」
「あんたは図体だけじゃなくて、態度も大きいわね。落胆させないでよ?」
「ふん、小さい癖に威勢だけはいいな」
互いに煽り合いをしていると貴族風の人狼が「そこまでそこまで」と言い。「それじゃあ、闘いを始めて貰おうかな」と続けた。
先に仕掛けて来たのはこの図体だ。先手必勝と思ったのか知らないがその大きな体で想像も出来ない速さで攻撃をして来た。だが……。
「遅いかな……」
「何ぃ!?」
私は身軽にそれらの攻撃を全て躱し、後ろへステップを踏む。大柄の敵の攻撃を見切ってきた所で私は反撃を始める。力任せに放たれたその一撃、彼の拳がステージの床に大きな穴を空けた時には既に私は敵の大きな腕に乗っていた。そして、そのまま腕の上を走り、ドームの首を力強い一撃で右の観客席の方へと飛ばした。
「……終わっちゃった。思ったより、手応え無かったかな」
観客席に座る狼達はまさか私が勝つとは思っていなかったのか発狂にも似た激情の声を上げていた。そして勿論、貴族風の彼もそうだった。
「そ、想像以上の強さだったよ……赤ずきん。いや、サテライト」
「……残りの2体、同時に相手する。さっさと出して」
「ほぉ?随分と余裕だな?」
「さっきので大体の強さが分かったから。さ、早く」
「そうかそうか。君がそういうなら良しとしよう。但し、強いぞ?ドームよりもかなり、ね」
玉座の彼と会話が終わると、待機していた2体の人狼がボコボコの穴が空いているステージへと上がって来た。
「私が2人に代わり、紹介申し上げよう。そちらの細身のハットを被った男性はナイフ使いのグリ。そして、その隣の彼。4本腕の人狼は見るのは珍しいと思うが、彼はオーデットだ。4本の腕で獲物を確実に仕留め、その大きな牙で喰ひ殺す。ま、こんな所だ」
玉座の彼に私は礼を言った。
「紹介どうも。それじゃあ、早速始めちゃっていい?」
「あぁ、お好きに始めてくれ」
彼の言葉と共に4本のナイフと腕が飛んで来た。両手の刃で即座にナイフを落とすが、反応が遅れ、その一撃を受けてしまった。後方へと吹っ飛ばされる私は空中で体勢を立て直し、身軽にバク転をして着実する。
「やるじゃん。流石は赤ずきんだね。僕のナイフを全て弾き落とすとは」
「ねーちゃんの強さは本物だ。だが噂程では無いな」
随分好き放題言う彼らに私は制裁を与える。狙いをナイフ使いに絞った私はエルシオンでステージを一気に駆け抜け間合いを詰める。横槍をして来た4本腕の攻撃を軽やかに躱し、双方の刃がナイフ使いの旨を貫いた。一気に刃を抜いた私は胸部からポタポタと血を垂らしながら前へ倒れる彼を余所目に4本腕へと駆け進む。この間、観客席の人狼の雄叫びの煩さに耳がおかしくなると思ったよ。
「よくも……よくもぉ~グリをぉぉぉぉぉお!グリの仇をぉぉぉぉお!!!」と威勢良く吠える4本腕のオーデットも圧倒いう間に2本の腕を失い、驚いているうちに私にトドメを刺され死に絶えた。
ステージに転がる2体の人狼。それは間違い無く、先程まで命あった存在だ。だが今となってはそれはもう過去の存在となっていた。
「こ、これは……」
声を漏らす貴族風の人狼。彼は遂にその玉座から立ち上がると「素晴らしい、素晴らしいよ赤ずきん!いや、サテライト」とパチパチと盛大な拍手を送ってくれた。その異様な光景に怒りや悔しさを訴えていた観客席の狼は静まり返る。
「どういう事…かしら?」
「いやはや、そのまんまさサテライト。君は素晴らしいよ。本当に。想像通り、いや想像以上に強く美しく、そして華やかだ。そんな君に私は惚れ惚れするよ」
「……そう。ありがと。でも生憎、狼に愛される趣味は無いから」
「ふん、そうか。そうだよな。そりゃそうだ。でも非常に…非常に残念だよサテライト。そうだ」
「何?」
玉座の前から歩き始めるとレッドカーペットに敷かれた短い階段をゆっくりと降りて、彼は再び、私に近付いて来る。ボロボロとなったステージへ上がると彼は言った。
「これは良ければ…の話なんだが。是非、この私と一戦交えて頂けないだろうか?サテライト=ヴィル・アストレア」
「なん……だと?」
思い掛けない言葉に私は驚きを隠せなかった。
「どうだい?折角だし。それにほら。君達、聖職者はそれが仕事だろう?」
ふと、籠の中の彼女に目がいった。
何か怪しい、裏があると思っても私はこの誘いに乗るしかなかった。何故ならば、それが私の役目である……そんな気がしたからだ。
「そうね。いいわ」
「そう言うと思っていたよ、ありがとう。赤ずきん。いや、サテライト」
「無理にサテライトと呼ばなくていいし、長いからサテラでもいいわ。最も今後、名を呼ぶ事は無いと思うけど」
「いやはや、それは恐ろしい」
「貴方は?貴方は何て言うのかしら?」
「私?ですか?」
「えぇ」
「私はオルエスト・タリゲニア。この街の裏を支配する貴族の人狼さ。赤ずきん、サテラ。お手並み拝見といかせてもらうよ」
輝きを放ち始めた彼の鋭い目が私を愉快そうに見つめた。
私は目の前の彼を睨み付ける。
「おっと、怖いなぁ。そんな目で見ないでくれよ。これでも僕は君のファンなんだ」
「ファン?」
「あぁ、そうだ。僕は君にとてつもない興味を抱いている。だから見せて欲しいんだ。君のその強さをね」
「?」
そう言って彼は私を更に地下へと案内し、闘技場のような空間へと連れて来た。他の人狼も共にその場へと来て、各々が観席へと着いている。
「一体、何を始めるつもり?」
「簡単な事さ。サテライト。君には僕の強い仲間と数名戦ってもらいたい。君がどれ程の強さを有しているのか、この目で確認したくてね」
「断ったら?」
「そうだねー、そしたら、彼女をこの場で嬲り殺そうかな」
「彼女?」
彼は部下に顎で指示を出し、私の前にそれを持って来させた。大きな鳥籠に入れられ若い少女。彼女は血の染みたボロボロの白いワンピースを着て、両手首を上にロープで縛られていた。
「その人は?」
「君も分かる筈だ。サテライト。ここに来る前に君にこの場の情報提供をしてくれた若い男がいなかったかね?」
「若い男?」
(あぁ、あの時の……反教会同盟か)
彼の言っていた意味が少し理解出来た気がする。つまりは最初から全て仕組まれていた事だったのだと。
「その少女は彼の妹さんか何かですか?」
「あぁ、そうだ。彼女を人質に、あの青年にこの場所を伝えるように仕向けた。君が街のあちこちで聞き込みを行なっているのは知っていたからな」
「そういう事か」
「だが君は予定よりも来るのが遅かった。もっと早く来ると思っていたのだが……」
「路地裏の飲み屋の街に着いてから迷ってしまってな。どうすればいいか分からなくてナンパして来た男と飲み屋で時間を潰していた。そちらが出迎えてくれたおかげでなんとかここまで来れたが……」
「そうかい。まぁいい、何がともあれ君はここに来てくれたんだ。それだけで僕は嬉しいよ。それで、どうする?君はこの誘いに乗るかね?サテライト」
少し間を置いてから私は答える。
「乗るしかないでしょ。聖職者なんだから……」
「そうだ。君は聖職者だ。だから、彼女を見殺しなんて出来ない。分かっていたさ」
「……前置きが長くなり過ぎた。早速始めましょう?命のやり取りを」
「あぁ、そうだな」
私は一人先に闘技場へと出た。周りを囲む高低差のある観客席には下衆いな種属が私を舐め回すような目で見ていて非常に気持ちが悪い。そして、貴族風の格好をした人狼は先ほどと同じように玉座へと座り、脚を組みながら、左手でその顔を支えていた。彼の左隣には鳥籠に入れられた囚われの少女が……。
彼は言う。
「では早速始めようじゃないか。ルールは簡単だ。これから現れるは僕の部下3名。いずれも選りすぐりの存在だ。一筋縄で行かなぬであろう。サテライト。君にはその3名と戦ってもらって勝って頂きたい。要するにそ奴らを殺すと言う事だ」
「なるほど。質問をしても?」
「あぁ、幾つでも構わない。好きなだけしてくれ」
「そうか。それではさせて頂こう。その3体とは1体ずつ戦うのか?それとも3体同時か?或いは2、1で分けるのか?」
「ふむ、良い質問だ。実はなんだが、明確な決まりは無くてな。故に君が望むようにしてくれ」
「指定をしてもいいと?」
「あぁ、そうだ」
「そうか。では初戦は1VS1を望もう」
「分かった。ドーム!出て来い!」
ドームと呼ばれた存在。勿論、人狼だ。四隅にある大きな扉。そのうちの1つ。10時方向より開かれし扉からドームと呼ばれる存在は出て来た。大きな身体の人狼だ。既に姿は狼で黄土色の皮膚を同色の体毛が覆っていた。大きい。2、3メートル程ぐらいあるであろうか。この種類を見るのは久しぶりだ。
「ほーう、お前が噂の人狼狩り。赤ずきんかぁ~。こりゃあ、楽しめそうだがぁ~思ってたよりもチビだなぁ~こいつはぁ~」
「あんたは図体だけじゃなくて、態度も大きいわね。落胆させないでよ?」
「ふん、小さい癖に威勢だけはいいな」
互いに煽り合いをしていると貴族風の人狼が「そこまでそこまで」と言い。「それじゃあ、闘いを始めて貰おうかな」と続けた。
先に仕掛けて来たのはこの図体だ。先手必勝と思ったのか知らないがその大きな体で想像も出来ない速さで攻撃をして来た。だが……。
「遅いかな……」
「何ぃ!?」
私は身軽にそれらの攻撃を全て躱し、後ろへステップを踏む。大柄の敵の攻撃を見切ってきた所で私は反撃を始める。力任せに放たれたその一撃、彼の拳がステージの床に大きな穴を空けた時には既に私は敵の大きな腕に乗っていた。そして、そのまま腕の上を走り、ドームの首を力強い一撃で右の観客席の方へと飛ばした。
「……終わっちゃった。思ったより、手応え無かったかな」
観客席に座る狼達はまさか私が勝つとは思っていなかったのか発狂にも似た激情の声を上げていた。そして勿論、貴族風の彼もそうだった。
「そ、想像以上の強さだったよ……赤ずきん。いや、サテライト」
「……残りの2体、同時に相手する。さっさと出して」
「ほぉ?随分と余裕だな?」
「さっきので大体の強さが分かったから。さ、早く」
「そうかそうか。君がそういうなら良しとしよう。但し、強いぞ?ドームよりもかなり、ね」
玉座の彼と会話が終わると、待機していた2体の人狼がボコボコの穴が空いているステージへと上がって来た。
「私が2人に代わり、紹介申し上げよう。そちらの細身のハットを被った男性はナイフ使いのグリ。そして、その隣の彼。4本腕の人狼は見るのは珍しいと思うが、彼はオーデットだ。4本の腕で獲物を確実に仕留め、その大きな牙で喰ひ殺す。ま、こんな所だ」
玉座の彼に私は礼を言った。
「紹介どうも。それじゃあ、早速始めちゃっていい?」
「あぁ、お好きに始めてくれ」
彼の言葉と共に4本のナイフと腕が飛んで来た。両手の刃で即座にナイフを落とすが、反応が遅れ、その一撃を受けてしまった。後方へと吹っ飛ばされる私は空中で体勢を立て直し、身軽にバク転をして着実する。
「やるじゃん。流石は赤ずきんだね。僕のナイフを全て弾き落とすとは」
「ねーちゃんの強さは本物だ。だが噂程では無いな」
随分好き放題言う彼らに私は制裁を与える。狙いをナイフ使いに絞った私はエルシオンでステージを一気に駆け抜け間合いを詰める。横槍をして来た4本腕の攻撃を軽やかに躱し、双方の刃がナイフ使いの旨を貫いた。一気に刃を抜いた私は胸部からポタポタと血を垂らしながら前へ倒れる彼を余所目に4本腕へと駆け進む。この間、観客席の人狼の雄叫びの煩さに耳がおかしくなると思ったよ。
「よくも……よくもぉ~グリをぉぉぉぉぉお!グリの仇をぉぉぉぉお!!!」と威勢良く吠える4本腕のオーデットも圧倒いう間に2本の腕を失い、驚いているうちに私にトドメを刺され死に絶えた。
ステージに転がる2体の人狼。それは間違い無く、先程まで命あった存在だ。だが今となってはそれはもう過去の存在となっていた。
「こ、これは……」
声を漏らす貴族風の人狼。彼は遂にその玉座から立ち上がると「素晴らしい、素晴らしいよ赤ずきん!いや、サテライト」とパチパチと盛大な拍手を送ってくれた。その異様な光景に怒りや悔しさを訴えていた観客席の狼は静まり返る。
「どういう事…かしら?」
「いやはや、そのまんまさサテライト。君は素晴らしいよ。本当に。想像通り、いや想像以上に強く美しく、そして華やかだ。そんな君に私は惚れ惚れするよ」
「……そう。ありがと。でも生憎、狼に愛される趣味は無いから」
「ふん、そうか。そうだよな。そりゃそうだ。でも非常に…非常に残念だよサテライト。そうだ」
「何?」
玉座の前から歩き始めるとレッドカーペットに敷かれた短い階段をゆっくりと降りて、彼は再び、私に近付いて来る。ボロボロとなったステージへ上がると彼は言った。
「これは良ければ…の話なんだが。是非、この私と一戦交えて頂けないだろうか?サテライト=ヴィル・アストレア」
「なん……だと?」
思い掛けない言葉に私は驚きを隠せなかった。
「どうだい?折角だし。それにほら。君達、聖職者はそれが仕事だろう?」
ふと、籠の中の彼女に目がいった。
何か怪しい、裏があると思っても私はこの誘いに乗るしかなかった。何故ならば、それが私の役目である……そんな気がしたからだ。
「そうね。いいわ」
「そう言うと思っていたよ、ありがとう。赤ずきん。いや、サテライト」
「無理にサテライトと呼ばなくていいし、長いからサテラでもいいわ。最も今後、名を呼ぶ事は無いと思うけど」
「いやはや、それは恐ろしい」
「貴方は?貴方は何て言うのかしら?」
「私?ですか?」
「えぇ」
「私はオルエスト・タリゲニア。この街の裏を支配する貴族の人狼さ。赤ずきん、サテラ。お手並み拝見といかせてもらうよ」
輝きを放ち始めた彼の鋭い目が私を愉快そうに見つめた。
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