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-第18夜- トルグレムの旧友
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入街許可が降り関所を抜け、クリックタウン入りを果たした私とレーネはトルグレムの友人のバリスの家へと向かった。
その道中、重い荷物を持たされてるレーネと全身赤装束の私への視線の集中が凄かったが、そんなことを気にすることなく私達は歩き続けた。
「バリス?バリス・ケルディの事か?」
「セカンドネームは伺ってない。が、多分そいつで合ってると思う」
「そうかそうか。鍛冶師のケルディさんか。なら、あの雑木林の先だ。木々を抜けた向こうにケルディさん夫婦が営む鍛冶屋がある」
「情報提供感謝する。行くぞレーネ」
使えないトルグレムがバリスの住所を教えなかったせいで、道中道を迷い、2回も住民に尋ねてしまった。
「雑木林までもうすぐだ。頑張ってくれレーネ。あの林を抜けた先に宿がある。今日は目的の街入りを果たしたし、家に着いたら休ませてもらおう」
「は、はいっ!」
薄暗く寒い雑木林を抜けた先には大きく広がる草原に田んぼ?の様なものがあった。街の都心部とは大きく変わった雰囲気に私は圧倒されそうになった。
「全く……田舎なのか都会なのかよく分からない街だなクリックタウンは」
「ま、待ってくださいよぉ~先輩~!も、もう限界でぇす~」
苦しそうな顔をして遅れてやってきたレーネを見ると流石に私も可哀想に思えてきたのか無意識に「ご苦労だったレーネ。後は私が全て持つ」と口にしてしまった。
それを聞くなり彼女は「えっ!?ホントですか~!?」と目を輝かせ、さっきまでの疲れた表情や態度が嘘みたいな勢いで私の横へと全速力で駆けてきた。
「先輩が全て持つって言ったんですからね?」
本当に全て押し付けた彼女は軽やかな足取りで真っ直ぐ目的の家へと向かって行った。
「やれやれ、まるで子供だな。あれは」
どの口がほざいてんだと思いつつも私は彼女の背中を追ったのだった。
玄関前に辿り着いた私達はベルを鳴らし、中の住民を呼びだした。
「いいかレーネ。バリスとの対応は私がやる。今日一日荷物持ちとして頑張ってくれたからな。お前はどこかそこら辺で座って休んでろ」
「先輩~っ!」
その目は先程にも増して輝きと何かに満ち溢れていた。そして、何を勘違いしたのか彼女は「先輩最高」とか「神上司」とか意味の分からない発言を繰り返していた。
そんな彼女をほっといて私はもう一度ベルを鳴らした。
(……出ない?何故だ?今は留守なのか?しかし、トルグレムから私達が派遣されると返信の手紙はとっくに届いてる筈だが……)
おかしいと思いつつも私はもう一度、ベルを鳴らした。
だが、中の住民が出てくる事はなかった。
「先輩、どうしたんですか?」
すっとぼけたことを彼女を抜かす。
「見れば分かるだろう?何度ベルを鳴らしてもバリスが出てこないんだ。手紙は教会を通じて速達で届いてる筈なのに」
「あーっ!確かに!それはおかしい。変ですね!」
分かってるって顔をするレーネはその場から立ち上がり私の隣へとかけ寄った。
「あの~聞こえてますか~!すみまぁせぇーん!トルグレム課長の部下の聖職者なんですけども~!」
「おい馬鹿っ、声が大きっ……」
そう言おうとした時だった。微動だにしなかったその扉が開かれ、中から左目に傷を負った筋肉質の大男が出て来たのだ。
「なんだ?お前ら」
「あっ、せいど……」
「貴方の友人のトルグレムさんの部下です。会社の共同事業の件で直々に伺いました」
私はレーネの口を即座に腕で塞ぎ、そう嘘を吐いた。
「会社のぉ?」
「え、えぇ。手紙、届いてませんでしたか?返信のお手紙を速達の郵便屋にお願いしたのですが……」
またしても私は嘘を吐いた。
筋肉質の男はそれを聞くなり、人差し指の長い爪で頬をポリポリと掻くと「あぁ、そう言えばそんな手紙来てたな~今日だったか~」と言い、「遠路遥々、済まないな。こんな所で立ち話もなんだ。中に入ってくれ」と家に入れてくれた。
この異常と思えるおかしな状況に流石のレーネも何か違和感に気付いたようだった。
「ささっ、中へお入りください。お二人さん」
「どうも!」
「感謝する」
私達がまず通されたのは応接間?の様な部屋であった。
「実はまだ仕事の途中でな、済まないがあと少しここで待っててくれないか?」と彼は言った。
「えぇ。構いませんよ。道理で何回ベルを鳴らしても出なかったんですね?よっぽど仕事に夢中な様で」
(……これは少し攻め過ぎたか?)
だが彼は特に表情を変えることなく「ベルの調子が悪いんだ。中からは音があんまりな」と言った。
「そうですか」
彼が扉を閉め、何処かへと行ったのが分かると私はレーネに「先程は済まなかった。突然口を腕で塞ぎ」と謝罪した。
「いえ、私こそ察しが悪くてすみません。危うく、失言をする所でした。しかし先輩の意図が分かった以上、もう大丈夫です」と答えた。
「そうか。それは良かった。所で何か感じるか?例えば……“人狼”の気配とか?」
そう赴きな顔で彼女に尋ねるとレーネは「いえ……この家から人狼の気配は感じられません。怖いくらいに」と答えのだった。
その道中、重い荷物を持たされてるレーネと全身赤装束の私への視線の集中が凄かったが、そんなことを気にすることなく私達は歩き続けた。
「バリス?バリス・ケルディの事か?」
「セカンドネームは伺ってない。が、多分そいつで合ってると思う」
「そうかそうか。鍛冶師のケルディさんか。なら、あの雑木林の先だ。木々を抜けた向こうにケルディさん夫婦が営む鍛冶屋がある」
「情報提供感謝する。行くぞレーネ」
使えないトルグレムがバリスの住所を教えなかったせいで、道中道を迷い、2回も住民に尋ねてしまった。
「雑木林までもうすぐだ。頑張ってくれレーネ。あの林を抜けた先に宿がある。今日は目的の街入りを果たしたし、家に着いたら休ませてもらおう」
「は、はいっ!」
薄暗く寒い雑木林を抜けた先には大きく広がる草原に田んぼ?の様なものがあった。街の都心部とは大きく変わった雰囲気に私は圧倒されそうになった。
「全く……田舎なのか都会なのかよく分からない街だなクリックタウンは」
「ま、待ってくださいよぉ~先輩~!も、もう限界でぇす~」
苦しそうな顔をして遅れてやってきたレーネを見ると流石に私も可哀想に思えてきたのか無意識に「ご苦労だったレーネ。後は私が全て持つ」と口にしてしまった。
それを聞くなり彼女は「えっ!?ホントですか~!?」と目を輝かせ、さっきまでの疲れた表情や態度が嘘みたいな勢いで私の横へと全速力で駆けてきた。
「先輩が全て持つって言ったんですからね?」
本当に全て押し付けた彼女は軽やかな足取りで真っ直ぐ目的の家へと向かって行った。
「やれやれ、まるで子供だな。あれは」
どの口がほざいてんだと思いつつも私は彼女の背中を追ったのだった。
玄関前に辿り着いた私達はベルを鳴らし、中の住民を呼びだした。
「いいかレーネ。バリスとの対応は私がやる。今日一日荷物持ちとして頑張ってくれたからな。お前はどこかそこら辺で座って休んでろ」
「先輩~っ!」
その目は先程にも増して輝きと何かに満ち溢れていた。そして、何を勘違いしたのか彼女は「先輩最高」とか「神上司」とか意味の分からない発言を繰り返していた。
そんな彼女をほっといて私はもう一度ベルを鳴らした。
(……出ない?何故だ?今は留守なのか?しかし、トルグレムから私達が派遣されると返信の手紙はとっくに届いてる筈だが……)
おかしいと思いつつも私はもう一度、ベルを鳴らした。
だが、中の住民が出てくる事はなかった。
「先輩、どうしたんですか?」
すっとぼけたことを彼女を抜かす。
「見れば分かるだろう?何度ベルを鳴らしてもバリスが出てこないんだ。手紙は教会を通じて速達で届いてる筈なのに」
「あーっ!確かに!それはおかしい。変ですね!」
分かってるって顔をするレーネはその場から立ち上がり私の隣へとかけ寄った。
「あの~聞こえてますか~!すみまぁせぇーん!トルグレム課長の部下の聖職者なんですけども~!」
「おい馬鹿っ、声が大きっ……」
そう言おうとした時だった。微動だにしなかったその扉が開かれ、中から左目に傷を負った筋肉質の大男が出て来たのだ。
「なんだ?お前ら」
「あっ、せいど……」
「貴方の友人のトルグレムさんの部下です。会社の共同事業の件で直々に伺いました」
私はレーネの口を即座に腕で塞ぎ、そう嘘を吐いた。
「会社のぉ?」
「え、えぇ。手紙、届いてませんでしたか?返信のお手紙を速達の郵便屋にお願いしたのですが……」
またしても私は嘘を吐いた。
筋肉質の男はそれを聞くなり、人差し指の長い爪で頬をポリポリと掻くと「あぁ、そう言えばそんな手紙来てたな~今日だったか~」と言い、「遠路遥々、済まないな。こんな所で立ち話もなんだ。中に入ってくれ」と家に入れてくれた。
この異常と思えるおかしな状況に流石のレーネも何か違和感に気付いたようだった。
「ささっ、中へお入りください。お二人さん」
「どうも!」
「感謝する」
私達がまず通されたのは応接間?の様な部屋であった。
「実はまだ仕事の途中でな、済まないがあと少しここで待っててくれないか?」と彼は言った。
「えぇ。構いませんよ。道理で何回ベルを鳴らしても出なかったんですね?よっぽど仕事に夢中な様で」
(……これは少し攻め過ぎたか?)
だが彼は特に表情を変えることなく「ベルの調子が悪いんだ。中からは音があんまりな」と言った。
「そうですか」
彼が扉を閉め、何処かへと行ったのが分かると私はレーネに「先程は済まなかった。突然口を腕で塞ぎ」と謝罪した。
「いえ、私こそ察しが悪くてすみません。危うく、失言をする所でした。しかし先輩の意図が分かった以上、もう大丈夫です」と答えた。
「そうか。それは良かった。所で何か感じるか?例えば……“人狼”の気配とか?」
そう赴きな顔で彼女に尋ねるとレーネは「いえ……この家から人狼の気配は感じられません。怖いくらいに」と答えのだった。
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