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-第21夜‐ 地下室への扉
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あの本家を抜け出すのはそこまで難しくなかった。1階玄関の出入口は外から施錠されているのか知らないが何故だが開かなかった。多少強引だが蹴り飛ばそうと思えば出来たが他人の家の扉を破壊する訳には行かないので再び、レーネのいる部屋に戻り、半開きしかしない部屋の窓から身を乗り出し、外の地へと足を踏み落とした。
(先程1階に降りた時、彼らは微かに光が漏れてる部屋で何やら会話をしていた。だが余りにも声が小さい事と部屋の扉が閉まっていたことから会話の内容は分からなかったが、恐らくは(時間は)長くは持たないだろう……なんとしても早急に真実へ辿り着かなければ……)
私は駆け出し、その小屋へと入ろうとした……つもりだった。
「なっ!?」
(何故だ、先程は鍵なんか……それにどうやって?どうやって中へ入ったんだ?1階での会話は確かに彼らであった……少なくとも2人以上の声は聞こえた筈だ……なのに……何故?)
どうすればいいか考えてた時、レーネが私に合図を出した。
(レーネ?)
私はその合図に迅速に対応し、持ち前の跳躍力を活かして窓前の屋根の上へと跳んだ。
「どうした?レーネ。何があったか?」
「ちょっと先輩、見て欲しいモノが……」
レーネは合図の為に消した灯りを再び灯すと屋根上に足を着いている私の右手を取り、部屋の中へと引っ張ってくれた。
「痛いよレーネ。ここの窓、半開きなんだからそんなに強く引っ張るな」
「すみません、でも今すぐに見て貰いたくて……」
「?」
レーネが言うには私が抜け出している間、息子(仮)のカルキン・ケルディが2階に尋ねて来たらしく、「もうお風呂に入れますよ」とだけ伝えたらしい。
「勿論、その時、扉は少ししか開けてません。先輩がいない事気付かれたら面倒なので」
「それで?それでお前はどうしたんだ?」
「まぁ、着いてくれば分かりますよ。あと少しでこの家とあの小屋の謎が分かります」
そう言って彼女に連れてこられたのはバリス邸の居間だった。
「ここって私とお前が最初に通された応接間じゃないか?」
「そうですよ。実はこの部屋の下に真実が隠されていたんです」
「真実?」
「えぇ。実は私、2階に来たあのカルキンとかいう青年を後ろからこっそり...」
「尾けたのか?」
「えぇ!」
(この馬鹿……余計な事はするなとあれ程言ったのに……)
私は呆れて何も言えなかった。そんな私にも目をくれずレーネは目の前で何やらしているようだ。
「レーネ、そこで何をしている?ソファを動かして何に……っ!?」
ソファを動かし、更にその下に敷かれている絨毯を捲ったレーネ。その下から出て来たものは……。
「これは……?」
「えぇ、見ての通り地下室へと通じる蓋です……この家には隠し部屋があったんですよ……しかも先輩、驚くのはまだです。なんとこの下の地下室、あの小屋の地下質へと繋がってるみたいなんですよ!!」
「なん……だと?」
蓋を開け、地下へと通じる階段を降りた私とレーネは埃臭い空間へと出た。
「酷い匂いだな。私はこれでも一応、潔癖症なんだぞ?」
「えぇ、そうなんですか?なんか意外ですね!先輩!」
悲しいことに私の部下は笑いながらそう言った。まるで私の言葉を信じていないようだ。
「本当なんだけどな……まぁ良しとしよう。それよりもレーネ、前を見ろ」
「?」
ウキウキルンルン気分のレーネは私の方を見たり、キョロキョロと色んな所を見たりしてた為、前方へはまるで注意が払ってなかった。
「あっ……」
私に言われて彼女は漸くそれに気付く。
「よぉ、お嬢さん達」
「道に迷っちゃったのかな~?お風呂はここじゃないよ?」
彼らはそこに立っていた。息子役のカルキンもそこに佇んでいたが一言も声を発さなかった。
「どうも」と私が。レーネは「すみません、方向音痴なものでして……」と。
「そうかそうか。まぁ、良い。この空間に辿り着いたっていうことはもう、そういう事だよな?お前らの思ってる通りだ。俺は……いや俺たちはケルディ家では無い。ましてや俺らに血の繋がりは無い。ただの同業者だ……」
偽バリスの言葉に私はこう返した。
「同業者……というのはどう意味だ?人狼ってことでは無さそうだな」
「ふん、俺らが人狼?な訳。俺らは確かに人間だよ。まぁ、正真正銘のな?まぁ、ある意味では化け物みたいなものかもしれんが……」
「バリス達は?」
私はそいつに声を被せた。
「あっ?」
「バリス達はどうされたのです?本物の。殺したの?殺したのですか?殺されたのですか?」
私と問いに少しの間を置いてから偽バリスは答えた。
「あぁ、殺したよ。バリスもその奥さんも子供も、な。なんか文句あっか?」
人を殺しておきながら、いけしゃあしゃあとする態度には呆れを通り越して、最早、一種の感心すらあった。
「いえ、別に。ただ確認を取りたくて……ね。そうか殺したのか……人を……殺した」
「あっ?さっきからなんなんだよお前ら。もういいわ、ウザイから殺すわ」
偽バリスは機嫌が悪くなると隣にいた偽奥さんが「ちょっとオーリデンス、教会に手を出すのはヤバいって、私達は人間なんだ。教会の人間は同じ人間相手には手を出せない。そうルールで決まってる。だから話し合いで……」
「あん?お前、俺に逆らうのか?そもそもお前があの時、ヘマするか悪いんだろ?誰のせいで分け前が減って、余分な殺人をしなければならないと思ってんだよ?」
なんと突然、2人が揉め始めたのだ。こんな時に。
(こんな時に仲間割れとは……愚かな)
(反吐が出そうです、先輩。もう殺っちゃっていいですか?)
彼女は隣で目でそう訴えて来たが『いや、まだだ。まだ訊くことがある』と私も目で伝えた。
2人の仲間割れはまだ続いていて息子のカルキン役が2人の仲裁に入ってる感じだ。そんな中、絶賛話し合い中の彼らに私は横槍を入れた。
「仲間割れをしている所、申し訳ないが何点か訊きたいことがあって」
私の声に彼らは止まった。
「あん?なんだよ?聞きたいことって」
偽バリスこと、偽マクリアにオーリデンスと呼ばれた男がいち早く反応を示した。
「なぁにほんの2、3点の事さ。そんなカッカするなって」
私のこの余計な一言に更に腹を立てたのかオーリデンスは「いいから早く言えよ」と言ってきた。全く、単細胞な奴だ……。
「では訊こう。まず1点目だ。何故、私達が聖職者だと分かった?そのペンダントを私とレーネは見せていない筈だが?」
そう尋ねるとオーリデンスはぷッと吹き出しながら大笑いした。それにつられ他の2人も笑い出す。
困惑する私とレーネ。
「一体、何がおかしい?何を笑っている?」
そう尋ねると彼は更に笑い出した。その不気味な光景に呆気を取られていると少しして笑いが治まったのかオーリデンスは口を開いた。
「そういやあんたらの名前まだ聞いてなかったよな?その子だよその子。今、お前が呼んだレーネって言うのか?そいつがここに来る時に言ってたじゃねぇか?聖導教会の者だってな」
男は私の部下を指さしながらそう言った。
(やはり、あの時聞かれていたか……)
横目に私は彼女を強く睨んだ。その鋭い眼差しに流石のレーネも怖気付いたのか身体を萎縮させながら「すみません…」と謝罪した。全く世話が焼ける部下を持ってしまったものだ。
そう思っていた時だった。なんとオーリデンスは「あとお前な?赤装束の」と言ってきたのだった。
思いもよらなかったその言葉に「え?」と咄嗟に声を出してしまった。
「いや、お前だって明らかに怪しかっただろ。突然、部下の口を腕で塞ぐわ。会社員を名乗って共同事業の案件について……とか言い出すわ。ちょっと色々と無理あるって言うか、かえって怪し過ぎたわ」
「なっ……」
思いもよらぬ彼からの正論。その全ては私の痛い所に突き刺さった。恐る恐る、横へと目をやるとレーネは今にも「ちょっと先輩~」って不敵な笑みを浮かべながら言ってきそうな雰囲気を出していたのだ。
「全く、白々しいぜ。会社員を名乗るなんてな」
「それはお互い様でしょう?最も即興劇にしては大したものでしたが……」
私の皮肉に彼は触れることもなく「それで次は?」と尋ねて来る。
「理由です。殺した理由。何故、バリス達を殺したのです?先程、分け前がどうたらこうたら等ほざいておりましたが金銭目的ですか?にしては随分と部屋が綺麗でした。もしかして、タイミング悪く私達が来たので、待たせている間に片付けでもしてたのでしょうか?」
「長い長い。質問が長くて馬鹿な俺には何言ってるか覚えられねーよ。それに答える必要性は無いしな。無論、言うつもりは無いぜ?」
「そうですか」
残念ながら彼は私の問いに答えてくれなかった。まぁ、後々解ることだ。それ程、この質問は重要ではない。
「あぁ、んで、もういいか?訊きたいことってのは。無いんなら、とっとと帰ってくれ。今日、今までに見たこと知ったこと。全てを忘れて出ていってくれるってなら特別に見逃してやる。それにこっちとしても(聖導)教会相手にことを構えたくない。お前ら聖職者としてもそうだろ?同じ人間同士の争いには関わりたくない筈だ。何故ならば教会の掲げるスローガン(?)に『人間同士の争いには不干渉』と書いてあるからな。つまり、つまりだ。俺らが何者であろうとお前ら聖職者は何も出来ない。俺たち、ただの人間のお前らは傷付けることおろか指一本すら触れることは出来ないということだ……例え相手が殺人犯だとしてもな?」
「貴方の方が長いですよ。オーリデンス。それには貴方、いや貴方達は何やら勘違いをしているようだ」
「あっ?」
彼以外の2人も「?」って表情を見せる。
「では、いいでしょう。教えてあげますよ?特別に、ね。私達、聖職者は本当にただの一般人に手を出せないかどうかを」
私は赤装束に隠していた番の刃を腕をクロスにする形でそれぞれの柄を手に取った。
(先程1階に降りた時、彼らは微かに光が漏れてる部屋で何やら会話をしていた。だが余りにも声が小さい事と部屋の扉が閉まっていたことから会話の内容は分からなかったが、恐らくは(時間は)長くは持たないだろう……なんとしても早急に真実へ辿り着かなければ……)
私は駆け出し、その小屋へと入ろうとした……つもりだった。
「なっ!?」
(何故だ、先程は鍵なんか……それにどうやって?どうやって中へ入ったんだ?1階での会話は確かに彼らであった……少なくとも2人以上の声は聞こえた筈だ……なのに……何故?)
どうすればいいか考えてた時、レーネが私に合図を出した。
(レーネ?)
私はその合図に迅速に対応し、持ち前の跳躍力を活かして窓前の屋根の上へと跳んだ。
「どうした?レーネ。何があったか?」
「ちょっと先輩、見て欲しいモノが……」
レーネは合図の為に消した灯りを再び灯すと屋根上に足を着いている私の右手を取り、部屋の中へと引っ張ってくれた。
「痛いよレーネ。ここの窓、半開きなんだからそんなに強く引っ張るな」
「すみません、でも今すぐに見て貰いたくて……」
「?」
レーネが言うには私が抜け出している間、息子(仮)のカルキン・ケルディが2階に尋ねて来たらしく、「もうお風呂に入れますよ」とだけ伝えたらしい。
「勿論、その時、扉は少ししか開けてません。先輩がいない事気付かれたら面倒なので」
「それで?それでお前はどうしたんだ?」
「まぁ、着いてくれば分かりますよ。あと少しでこの家とあの小屋の謎が分かります」
そう言って彼女に連れてこられたのはバリス邸の居間だった。
「ここって私とお前が最初に通された応接間じゃないか?」
「そうですよ。実はこの部屋の下に真実が隠されていたんです」
「真実?」
「えぇ。実は私、2階に来たあのカルキンとかいう青年を後ろからこっそり...」
「尾けたのか?」
「えぇ!」
(この馬鹿……余計な事はするなとあれ程言ったのに……)
私は呆れて何も言えなかった。そんな私にも目をくれずレーネは目の前で何やらしているようだ。
「レーネ、そこで何をしている?ソファを動かして何に……っ!?」
ソファを動かし、更にその下に敷かれている絨毯を捲ったレーネ。その下から出て来たものは……。
「これは……?」
「えぇ、見ての通り地下室へと通じる蓋です……この家には隠し部屋があったんですよ……しかも先輩、驚くのはまだです。なんとこの下の地下室、あの小屋の地下質へと繋がってるみたいなんですよ!!」
「なん……だと?」
蓋を開け、地下へと通じる階段を降りた私とレーネは埃臭い空間へと出た。
「酷い匂いだな。私はこれでも一応、潔癖症なんだぞ?」
「えぇ、そうなんですか?なんか意外ですね!先輩!」
悲しいことに私の部下は笑いながらそう言った。まるで私の言葉を信じていないようだ。
「本当なんだけどな……まぁ良しとしよう。それよりもレーネ、前を見ろ」
「?」
ウキウキルンルン気分のレーネは私の方を見たり、キョロキョロと色んな所を見たりしてた為、前方へはまるで注意が払ってなかった。
「あっ……」
私に言われて彼女は漸くそれに気付く。
「よぉ、お嬢さん達」
「道に迷っちゃったのかな~?お風呂はここじゃないよ?」
彼らはそこに立っていた。息子役のカルキンもそこに佇んでいたが一言も声を発さなかった。
「どうも」と私が。レーネは「すみません、方向音痴なものでして……」と。
「そうかそうか。まぁ、良い。この空間に辿り着いたっていうことはもう、そういう事だよな?お前らの思ってる通りだ。俺は……いや俺たちはケルディ家では無い。ましてや俺らに血の繋がりは無い。ただの同業者だ……」
偽バリスの言葉に私はこう返した。
「同業者……というのはどう意味だ?人狼ってことでは無さそうだな」
「ふん、俺らが人狼?な訳。俺らは確かに人間だよ。まぁ、正真正銘のな?まぁ、ある意味では化け物みたいなものかもしれんが……」
「バリス達は?」
私はそいつに声を被せた。
「あっ?」
「バリス達はどうされたのです?本物の。殺したの?殺したのですか?殺されたのですか?」
私と問いに少しの間を置いてから偽バリスは答えた。
「あぁ、殺したよ。バリスもその奥さんも子供も、な。なんか文句あっか?」
人を殺しておきながら、いけしゃあしゃあとする態度には呆れを通り越して、最早、一種の感心すらあった。
「いえ、別に。ただ確認を取りたくて……ね。そうか殺したのか……人を……殺した」
「あっ?さっきからなんなんだよお前ら。もういいわ、ウザイから殺すわ」
偽バリスは機嫌が悪くなると隣にいた偽奥さんが「ちょっとオーリデンス、教会に手を出すのはヤバいって、私達は人間なんだ。教会の人間は同じ人間相手には手を出せない。そうルールで決まってる。だから話し合いで……」
「あん?お前、俺に逆らうのか?そもそもお前があの時、ヘマするか悪いんだろ?誰のせいで分け前が減って、余分な殺人をしなければならないと思ってんだよ?」
なんと突然、2人が揉め始めたのだ。こんな時に。
(こんな時に仲間割れとは……愚かな)
(反吐が出そうです、先輩。もう殺っちゃっていいですか?)
彼女は隣で目でそう訴えて来たが『いや、まだだ。まだ訊くことがある』と私も目で伝えた。
2人の仲間割れはまだ続いていて息子のカルキン役が2人の仲裁に入ってる感じだ。そんな中、絶賛話し合い中の彼らに私は横槍を入れた。
「仲間割れをしている所、申し訳ないが何点か訊きたいことがあって」
私の声に彼らは止まった。
「あん?なんだよ?聞きたいことって」
偽バリスこと、偽マクリアにオーリデンスと呼ばれた男がいち早く反応を示した。
「なぁにほんの2、3点の事さ。そんなカッカするなって」
私のこの余計な一言に更に腹を立てたのかオーリデンスは「いいから早く言えよ」と言ってきた。全く、単細胞な奴だ……。
「では訊こう。まず1点目だ。何故、私達が聖職者だと分かった?そのペンダントを私とレーネは見せていない筈だが?」
そう尋ねるとオーリデンスはぷッと吹き出しながら大笑いした。それにつられ他の2人も笑い出す。
困惑する私とレーネ。
「一体、何がおかしい?何を笑っている?」
そう尋ねると彼は更に笑い出した。その不気味な光景に呆気を取られていると少しして笑いが治まったのかオーリデンスは口を開いた。
「そういやあんたらの名前まだ聞いてなかったよな?その子だよその子。今、お前が呼んだレーネって言うのか?そいつがここに来る時に言ってたじゃねぇか?聖導教会の者だってな」
男は私の部下を指さしながらそう言った。
(やはり、あの時聞かれていたか……)
横目に私は彼女を強く睨んだ。その鋭い眼差しに流石のレーネも怖気付いたのか身体を萎縮させながら「すみません…」と謝罪した。全く世話が焼ける部下を持ってしまったものだ。
そう思っていた時だった。なんとオーリデンスは「あとお前な?赤装束の」と言ってきたのだった。
思いもよらなかったその言葉に「え?」と咄嗟に声を出してしまった。
「いや、お前だって明らかに怪しかっただろ。突然、部下の口を腕で塞ぐわ。会社員を名乗って共同事業の案件について……とか言い出すわ。ちょっと色々と無理あるって言うか、かえって怪し過ぎたわ」
「なっ……」
思いもよらぬ彼からの正論。その全ては私の痛い所に突き刺さった。恐る恐る、横へと目をやるとレーネは今にも「ちょっと先輩~」って不敵な笑みを浮かべながら言ってきそうな雰囲気を出していたのだ。
「全く、白々しいぜ。会社員を名乗るなんてな」
「それはお互い様でしょう?最も即興劇にしては大したものでしたが……」
私の皮肉に彼は触れることもなく「それで次は?」と尋ねて来る。
「理由です。殺した理由。何故、バリス達を殺したのです?先程、分け前がどうたらこうたら等ほざいておりましたが金銭目的ですか?にしては随分と部屋が綺麗でした。もしかして、タイミング悪く私達が来たので、待たせている間に片付けでもしてたのでしょうか?」
「長い長い。質問が長くて馬鹿な俺には何言ってるか覚えられねーよ。それに答える必要性は無いしな。無論、言うつもりは無いぜ?」
「そうですか」
残念ながら彼は私の問いに答えてくれなかった。まぁ、後々解ることだ。それ程、この質問は重要ではない。
「あぁ、んで、もういいか?訊きたいことってのは。無いんなら、とっとと帰ってくれ。今日、今までに見たこと知ったこと。全てを忘れて出ていってくれるってなら特別に見逃してやる。それにこっちとしても(聖導)教会相手にことを構えたくない。お前ら聖職者としてもそうだろ?同じ人間同士の争いには関わりたくない筈だ。何故ならば教会の掲げるスローガン(?)に『人間同士の争いには不干渉』と書いてあるからな。つまり、つまりだ。俺らが何者であろうとお前ら聖職者は何も出来ない。俺たち、ただの人間のお前らは傷付けることおろか指一本すら触れることは出来ないということだ……例え相手が殺人犯だとしてもな?」
「貴方の方が長いですよ。オーリデンス。それには貴方、いや貴方達は何やら勘違いをしているようだ」
「あっ?」
彼以外の2人も「?」って表情を見せる。
「では、いいでしょう。教えてあげますよ?特別に、ね。私達、聖職者は本当にただの一般人に手を出せないかどうかを」
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