力の欠片のペンダント

河原由虎

文字の大きさ
16 / 27

第16話 勇気を出して

しおりを挟む

 するとその時、どういうわけか、華奈の頭の中にシオンの声が聞こえてきます。

『華奈。起きた事は変えられない。気にはしても抱え込むな。あと、勝手に想像して決めつけるのは良くないぞ』

 外で何が起きているのか、華奈が何を考えているのか、全てわかっているかのような、シオンの声。

『なぁ、無くなった物、見つけるのは良いことか?』

(それが出来るの……?)

 ビックリしながら、思わず華奈が心の中で問うと、返事が返ってきました。

『出来る』

 なんと、シオンは華奈の心の声を聞き取っているようです。

(この、シオンの声が聞こえているのは……)

『この世界でいう、テレパシーっていうやつだな。あ、今だけだぞ? 心を読むのも、こうやって語りかけるのも、力を使っちゃうからな』

 おどろいた華奈は、全部が聞かれているわけではないのね、と、安心しました。そして、先程シオンが言った「勝手に決めつけない」ということに気をつけて考えてみます。

(見つけることで……持っていかれちゃったあの子も、持っていってしまった人も。正しく、良い方に導けれるのなら……。それができるなら、すごい良い事だと思うわ)

 もし、欲しくて持っていってしまったのなら、それはいけないことなのだと……ちゃんと理解しなければならない。

 もし、何か別の理由があって持っていったのだとしても、まず勝手に持っていってしまった事を、持ち主の子に。そして、今うたがわれ、非難されている子たちには、そのようなきっかけを作ってしまったことを、謝らなければならない。そう華奈は思いました。

『よし、じゃあちょっと協力してくれるか?』

(もちろん。何をしたらいいの?)

 シオンから何をやってほしいのかを聞き、何と言うのかを、心の中で相談して決めました。
 それを自分がするのかと、想像しただけで華奈は緊張で胸がドキドキしてきます。ですが──

(……わかった。やってみる)

 華奈は、そう心の中で答えました。


「ねぇ! なんとか言ったらどうなのよ⁉︎」

 教室に残っていた二人の女子を囲んで、詰め寄る女子グループの四人。その周りには、少し離れて輪になるように、様子を見ているクラスの子達がいます。
 華奈は呼吸を整え、その輪の外から声を上げました。

「ちょっと待って! 聞きたいことがあるのだけど……」

 突然上がったその声に、女子グループの子たちは静かになりました。そして、その場にいる子たちの視線がいっせいに華奈へと集まります。華奈は、ゴクリとつばを飲み込んでから話をはじめました。

「……その子たちが鏡を持っていくのを、誰も見てなかったし、持っていったという証拠はないのよ……ね……?」

 華奈は、うたがわれている子たち程ではありませんが、ひかえめな性格で。いつもだったら、皆の後ろから、そっと眺めているだけだったでしょう。なので、夕実佳を含む周りの子もですが、特にその女子グループの子たちは驚いた様子で、華奈を見ていました。

「なんなのよ、あなた……! この子たちの味方をするの?」

 長い髪をかわいくツインテールにしている絢音が、イライラとした様子で華奈を見て言います。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ
児童書・童話
 菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。 『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。  旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』  大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

【完結】またたく星空の下

mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】 ※こちらはweb版(改稿前)です※ ※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※ ◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇ 主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。 クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。 そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。 シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。

今、この瞬間を走りゆく

佐々森りろ
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 奨励賞】  皆様読んでくださり、応援、投票ありがとうございました!  小学校五年生の涼暮ミナは、父の知り合いの詩人・松風洋さんの住む東北に夏休みを利用して東京からやってきた。同い年の洋さんの孫のキカと、その友達ハヅキとアオイと仲良くなる。洋さんが初めて書いた物語を読ませてもらったミナは、みんなでその小説の通りに街を巡り、その中でそれぞれが抱いている見えない未来への不安や、過去の悲しみ、現実の自分と向き合っていく。  「時あかり、青嵐が吹いたら、一気に走り出せ」  合言葉を言いながら、もう使われていない古い鉄橋の上を走り抜ける覚悟を決めるが──  ひと夏の冒険ファンタジー

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

オバケの謎解きスタンプラリー

綾森れん
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞をいただきました! ありがとうございます! ――七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映るんだって。 小学六年生の結菜(ユイナ)が通う三日月(みかづき)小学校では、そんな噂がささやかれていた。 結菜は難関中学に合格するため、塾の夏期講習に通って勉強に励んでいる。 だが一方で、自分の将来にひそかな期待と不安をいだいてもいた。 知らない自分を知りたい結菜は、家族が留守にする夏休みのある夜、幼なじみの夏希(ナツキ)とともに七不思議めぐりを決意する。 苦労して夜の学校に忍び込んだ二人だが、出会うのは個性豊かなオバケたちばかり。 いまいち不真面目な二宮金次郎のブロンズ像から、二人はスタンプラリーの台紙を渡され、ルールを説明される。 「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」 結菜と夏希はオバケたちの謎を解いて、スタンプを集められるのか? そして大階段の鏡は二人に何を教えてくれるのか? 思春期に足を踏み入れたばかりの少女が、心の奥底に秘めた想いに気付いてゆく物語です。

処理中です...