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04. 青い鬼
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おもむろに手を上方に突き出してみると、自分の上に乗っていた何かがガラガラと音を立てた。
この音……やっぱり岩じゃない――?
「何者だ⁉︎ 何故そんなところに――」
聞いたことのない声
「――お前こそ何者だ?」
何とか上半身を起こし、近づいてきたその者の姿を確認すると、目に入ってきたのは青い色の髪をした二本角の鬼――!
「黒い髪に一本角――」
しまった――力を使ったから、角が顕現しているのだった――
「なんだ――鬼か――! よかった……」
その青鬼は、俺と同じくらいの歳だろうか。
俺のすぐ横に膝をつき、薄くて白い……見たこともない上着をはためかせて安堵の息をついている。
その時、これまでに嗅いだことのない異臭を感じて俺は口と鼻を手で覆った。
「……なんだ⁉︎ この匂いは――」
何かが焦げた匂いか⁉︎ 一体どこから――
「そうだ――アレがまた爆発するかもしれん! あんた、とにかくここから離れるんだ!」
慌てた様子の青鬼は、手をこちらに差し出して言った。
「爆発――?」
言われて気付いた。崖が崩れてくる直前まで感じていた大地の、大気の、禍々しい力の渦を感じないことに。
ただ、その代わりに何か別の大きな力を感じる。今いる場所のちょうど真下から――
「確かに――」
どうやら匂いもそこからで“ここにいたらまずい”と、感じる。
「早く離れたほうが良さそうだな……」
辺りの気配も視ながら視線を動かすと、ズキンと頭が痛んだ。
落石を頭に受けたのは事実――。だがこの場所は――――
「おい、立てるか? 急ぐぞ!」
青鬼の手を取り立ち上がった俺は、頭の痛みを確かめるように感じながら、広い草原を、走った。
青い鬼の後について行った先は、森への入り口だった。
「伏せろ!」
グイッと引っ張られ、地面に伏せさせられたその瞬間、背後で轟音が響いた。
「あだっ! たたっ!」
付近に岩の破片か何かが落ちてくる。それが、俺に覆い被さっている青鬼にぶつかっているのか、度々呻き声が聞こえた。
しばらくするとパラパラという音も収まり、爆発とやらが収まったことがわかる。
「……おい、青い鬼の。大丈夫か……?」
呼吸やら体温から、息があることはわかるが、何かが飛んできていたし、伏せているから地面しか見えないし、少し心配になって俺は聞いてみた。
「……う……あ、すまない!」
少し気を失っていたのか、のそのそと起き上がり、手を差し出してきた。
「……ありがとう……」
とりあえずその手を取り起き上がると、忘れていた頭の痛みを感じてそのままあぐらをかいてそこに座る。
目の前の青い鬼は、黒っぽい上下に白い……羽織とも呼べなさそうな物を羽織って正座していた。
「黒い袴に着物……? あんた一体どこからやってきたんだ?」
俺の格好のどこかがおかしいのか?
それよりはコイツの着ているものの方が訳がわからん。
何なんだ、その白いペラペラとした生地は……
「――里だ――」
全てを話すには、状況が不明すぎる。
俺はわざと曖昧なふうに答えた。
「里、ねぇ……。
それにしても……あんたの髪、見事な黒色をしているな」
髪の色のことなんて、気にしたこともなかった俺は、なんて答えたら良いのかわからず「そうか……?」と返事をしていた。
「あんたは……綺麗な青だな」
空の青というよりは……幼い頃に見た、深い海の色――
「そうか? オレの遠~い祖先には赤と緑のもいるらしいが。先祖返りなのか、青い色が強く出てるらしいが」
「――⁉︎――」
これまで聞いたこともない内容の話に、疑問の言葉しか浮かばない。
「すまないが――ここはどこで、あんたは何者なんだ⁉︎」
「どこって、政府管理の特別区域だ。オレは研究所員で名は紺。
え――あんたも政府に所属している鬼じゃないのか?」
政府……研究所員……?
「俺は――――」
この音……やっぱり岩じゃない――?
「何者だ⁉︎ 何故そんなところに――」
聞いたことのない声
「――お前こそ何者だ?」
何とか上半身を起こし、近づいてきたその者の姿を確認すると、目に入ってきたのは青い色の髪をした二本角の鬼――!
「黒い髪に一本角――」
しまった――力を使ったから、角が顕現しているのだった――
「なんだ――鬼か――! よかった……」
その青鬼は、俺と同じくらいの歳だろうか。
俺のすぐ横に膝をつき、薄くて白い……見たこともない上着をはためかせて安堵の息をついている。
その時、これまでに嗅いだことのない異臭を感じて俺は口と鼻を手で覆った。
「……なんだ⁉︎ この匂いは――」
何かが焦げた匂いか⁉︎ 一体どこから――
「そうだ――アレがまた爆発するかもしれん! あんた、とにかくここから離れるんだ!」
慌てた様子の青鬼は、手をこちらに差し出して言った。
「爆発――?」
言われて気付いた。崖が崩れてくる直前まで感じていた大地の、大気の、禍々しい力の渦を感じないことに。
ただ、その代わりに何か別の大きな力を感じる。今いる場所のちょうど真下から――
「確かに――」
どうやら匂いもそこからで“ここにいたらまずい”と、感じる。
「早く離れたほうが良さそうだな……」
辺りの気配も視ながら視線を動かすと、ズキンと頭が痛んだ。
落石を頭に受けたのは事実――。だがこの場所は――――
「おい、立てるか? 急ぐぞ!」
青鬼の手を取り立ち上がった俺は、頭の痛みを確かめるように感じながら、広い草原を、走った。
青い鬼の後について行った先は、森への入り口だった。
「伏せろ!」
グイッと引っ張られ、地面に伏せさせられたその瞬間、背後で轟音が響いた。
「あだっ! たたっ!」
付近に岩の破片か何かが落ちてくる。それが、俺に覆い被さっている青鬼にぶつかっているのか、度々呻き声が聞こえた。
しばらくするとパラパラという音も収まり、爆発とやらが収まったことがわかる。
「……おい、青い鬼の。大丈夫か……?」
呼吸やら体温から、息があることはわかるが、何かが飛んできていたし、伏せているから地面しか見えないし、少し心配になって俺は聞いてみた。
「……う……あ、すまない!」
少し気を失っていたのか、のそのそと起き上がり、手を差し出してきた。
「……ありがとう……」
とりあえずその手を取り起き上がると、忘れていた頭の痛みを感じてそのままあぐらをかいてそこに座る。
目の前の青い鬼は、黒っぽい上下に白い……羽織とも呼べなさそうな物を羽織って正座していた。
「黒い袴に着物……? あんた一体どこからやってきたんだ?」
俺の格好のどこかがおかしいのか?
それよりはコイツの着ているものの方が訳がわからん。
何なんだ、その白いペラペラとした生地は……
「――里だ――」
全てを話すには、状況が不明すぎる。
俺はわざと曖昧なふうに答えた。
「里、ねぇ……。
それにしても……あんたの髪、見事な黒色をしているな」
髪の色のことなんて、気にしたこともなかった俺は、なんて答えたら良いのかわからず「そうか……?」と返事をしていた。
「あんたは……綺麗な青だな」
空の青というよりは……幼い頃に見た、深い海の色――
「そうか? オレの遠~い祖先には赤と緑のもいるらしいが。先祖返りなのか、青い色が強く出てるらしいが」
「――⁉︎――」
これまで聞いたこともない内容の話に、疑問の言葉しか浮かばない。
「すまないが――ここはどこで、あんたは何者なんだ⁉︎」
「どこって、政府管理の特別区域だ。オレは研究所員で名は紺。
え――あんたも政府に所属している鬼じゃないのか?」
政府……研究所員……?
「俺は――――」
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