【鬼シリーズ:第五弾】黒鬼のパンツ

河原由虎

文字の大きさ
4 / 7

04. 青い鬼

しおりを挟む
 おもむろに手を上方に突き出してみると、自分の上に乗っていた何かがガラガラと音を立てた。

 この音……やっぱり岩じゃない――?

「何者だ⁉︎ 何故そんなところに――」

 聞いたことのない声

「――お前こそ何者だ?」

 何とか上半身を起こし、近づいてきたその者の姿を確認すると、目に入ってきたのは青い色の髪をした二本角の鬼――!

「黒い髪に一本角――」

 しまった――力を使ったから、角が顕現しているのだった――

「なんだ――鬼か――! よかった……」

 その青鬼は、俺と同じくらいの歳だろうか。
俺のすぐ横に膝をつき、薄くて白い……見たこともない上着をはためかせて安堵の息をついている。

 その時、これまでに嗅いだことのない異臭を感じて俺は口と鼻を手で覆った。

「……なんだ⁉︎ この匂いは――」

 何かが焦げた匂いか⁉︎ 一体どこから――

「そうだ――アレがまた爆発するかもしれん! あんた、とにかくここから離れるんだ!」

 慌てた様子の青鬼は、手をこちらに差し出して言った。

「爆発――?」

 言われて気付いた。崖が崩れてくる直前まで感じていた大地の、大気の、禍々しい力の渦を感じないことに。
 ただ、その代わりに何か別の大きな力を感じる。今いる場所のちょうど真下から――

「確かに――」

どうやら匂いもそこからで“ここにいたらまずい”と、感じる。

「早く離れたほうが良さそうだな……」

 辺りの気配も視ながら視線を動かすと、ズキンと頭が痛んだ。
 落石を頭に受けたのは事実――。だがこの場所は――――

「おい、立てるか? 急ぐぞ!」

 青鬼の手を取り立ち上がった俺は、頭の痛みを確かめるように感じながら、を、走った。

 青い鬼の後について行った先は、森への入り口だった。

「伏せろ!」

 グイッと引っ張られ、地面に伏せさせられたその瞬間、背後で轟音が響いた。

「あだっ! たたっ!」

 付近に岩の破片か何かが落ちてくる。それが、俺に覆い被さっている青鬼にぶつかっているのか、度々呻き声が聞こえた。

 しばらくするとパラパラという音も収まり、爆発とやらが収まったことがわかる。

「……おい、青い鬼の。大丈夫か……?」

 呼吸やら体温から、息があることはわかるが、何かが飛んできていたし、伏せているから地面しか見えないし、少し心配になって俺は聞いてみた。

「……う……あ、すまない!」

 少し気を失っていたのか、のそのそと起き上がり、手を差し出してきた。

「……ありがとう……」

 とりあえずその手を取り起き上がると、忘れていた頭の痛みを感じてそのままあぐらをかいてそこに座る。
 目の前の青い鬼は、黒っぽい上下に白い……羽織とも呼べなさそうな物を羽織って正座していた。

「黒い袴に着物……? あんた一体どこからやってきたんだ?」

 俺の格好のどこかがおかしいのか?
 それよりはコイツの着ているものの方が訳がわからん。
 何なんだ、その白いペラペラとした生地は……

「――里だ――」

 全てを話すには、状況が不明すぎる。
 俺はわざと曖昧なふうに答えた。

「里、ねぇ……。
 それにしても……あんたの髪、見事な黒色をしているな」

 髪の色のことなんて、気にしたこともなかった俺は、なんて答えたら良いのかわからず「そうか……?」と返事をしていた。

「あんたは……綺麗な青だな」

 空の青というよりは……幼い頃に見た、深い海の色――

「そうか? オレの遠~い祖先には赤と緑のもいるらしいが。先祖返りなのか、青い色が強く出てるらしいが」
「――⁉︎――」

 これまで聞いたこともない内容の話に、疑問の言葉しか浮かばない。

「すまないが――ここはどこで、あんたは何者なんだ⁉︎」
「どこって、政府管理の特別区域だ。オレは研究所員で名はこん
 え――あんたも政府に所属している鬼じゃないのか?」

 政府……研究所員……?

「俺は――――」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。 まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。 今日は同期飲み会だった。 後輩のミスで行けたのは本当に最後。 飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。 彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。 きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。 けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。 でも、あれから変わった私なら……。 ****** 2021/05/29 公開 ****** 表紙 いもこは妹pixivID:11163077

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

処理中です...