【鬼シリーズ:第一弾】鬼のパンツ

河原由虎

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改稿版

第1話 パンツを離せ

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「鬼さんこちら、手のなる方へ~♪」

 小さな子供たちが自分を取り囲み、駆け回る野原。

「ここは何処だ…………?」

 青い空、日差しは強く焼けるように暑い。子供たちは皆涼しそうな格好で、中にはズボンだけ履いている少年もいる。

「鬼さん鬼さん、しゃがんでよぉ!」

 一人の少女が何やら細長いハチマキのようなものを持って、自分の一丁等である寅の皮のパンツを引っ張ってくる。

「ちょっと待て! それを引っ張るな!」

 見たところ人の子なのに自分が怖くはないのか? そう疑問に思いながら脱げそうになるパンツを必死に押さえ、辺りを見回した。

 おかしい。ここは何処だ⁉︎

 俺は鬼長と勝負をするため、気合を入れて磨いた得物を手に、洞窟から出てきたはずだった。だが、その洞窟の入り口が見当たらない。そして膝丈まであったはずの草もなくなっている。

「お前たち、ここは何処だ? 俺は鬼ヶ島で鬼長おにおさと約束があったんだが」

 洞窟から出て来て、広がる草原に立ち。そこで待っているはずの鬼長を探すため、草原をくるりと見回そうとした矢先のことだった。俺は突然、眩い青い光に包まれて目を固く閉じた。

 そして、開いた時にはこの子供たちに囲まれていた。

 自分に怯えぬ子供ならば、話も通じるだろうと聞いてみる。すると子供たちは顔を見合わせ口々に言った。

「鬼さん、鬼ヶ島なんてもう古いよ~!」
「それって何年前のお話ー?」
「鬼長ってだあれ? 鬼さんのお友達?」
「違うよ!長ってことは偉いやつだろー?」

 古い? 何年前? どう言うことだ…………?
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