【鬼シリーズ:第四弾】黄鬼の子孫の物語 〜忘れられた大切なコト〜

河原由虎

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04. 侵入者と呼ばれ

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 エミさんの後ろで開かれた扉の向こうには、苛立ちや怒りといった感情を丸出しの男が立っていた。

 服はエミさん達と似たような前合わせの物で、濃いワインレッドのような色合いをしている。そして髪と目は明るい色合いの赤色で、何より頭のてっぺんからのぞく一本の黄色い角が目についた。

「何の用だい、朱夫あきお
おさ代理と呼べ! 長がいない今は、俺がこの島の代表だ!」

 あきれたように「はいはい」と返事をした後、エミさんは氷のように冷たい気を発しながら言った。

「ここには怪我人がいるんだ、静かにしておくれよ」

 エミさんの気に当てられたのか、長代理だという男は怯んだように半歩ほど後退る。

「怪我人だろうが関係はない! 侵入者は侵入者だ!」
「船がバラバラになって、命からがら流れ着いた御仁を侵入者だって? あんたの脳みそには筋肉しか詰まってないのかい?」

 エミさんは、半身で振り返りながら言い放った。

「うるさい! この鬼ヶ島にいる余所者の呼び方なんぞ侵入者で十分だ‼︎」

 朱夫と呼ばれた男は、怒りに震えるような顔をして叫びながらズカズカと室内に入り、布団を踏みつけてくる。

「お前のことだ。あらかた治療は済んでいるんだろう? ならば遠慮することはないよな」

 そう言うと、朱夫は僕の腕を掴んで無理やり引っ張り上げた。

「っ――!」

 無理やり立たされ、後ろ手で拘束される。突然立ち上がった影響か、眩暈がしてフラフラだ……

「長代理として、コイツは投獄して取り調べる。いいな!」

 眩暈がする中、子供達が心配そうな顔をして僕を見ているのに気がついた。こんな見ず知らずの僕のために……優しい子達だ……

 知らない土地に、会ったこともない一族を頼りにきたのだ。これくらいの事は覚悟している。
 けど……おそらく今僕が何を話しても、この男には気に入らないだろう。だから声を出さず、念じながら口だけを動かして伝えようとしてみる。

(みんな、ありがとう。大丈夫だから……心配しないで)

 全く根拠のない「大丈夫」だったけれど、頑張って笑顔を作って伝えた。これで少しは安心できるだろうか――

 その答えは、茶子ちゃんのふわりとした笑顔から読み取れた。

 茶子ちゃんの表情に気づいた鳶之介君が、その笑顔を袖で隠すように抱きしめた。

「一応治療はしたが、まだ完全じゃない! どういう身の上の者かもわからないんだ。丁重に扱った方がいい」

 先ほどよりいっそう低い、冷たい声でエミさんが言った。
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