【鬼シリーズ:第四弾】黄鬼の子孫の物語 〜忘れられた大切なコト〜

河原由虎

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03. 目的の場所

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 女性が両の手を僕の体に向けてかざしてしばらくすると、淡い緑色の光が彼女から立ち昇るのが見える。

 この力は――

 光は、僕の方へと伸びてきて体全体を包み込んだ。

「……あたたかい…………?」

 体がポカポカと温まり、体の痛みやだるさがどんどん消えていく……

「あんた……やっぱり普通の人間じゃないね……?」
「お母さん、この人も鬼なの?」

 少年が言った。オニ……それは確か、僕が目指していた東の国での原種の呼び名――

 よく見ると、そこはとても不思議な部屋だと気がついた。全員が床に座っているし、自分もベッドではなく、床に敷かれた布団に寝かされている。

「すみません……ここは日本ですか……⁈」
「あぁ。日本の、鬼ヶ島という島だよ」
「あんたは外国の……鬼の血を引く者だね?」
「はい。血はかなり薄まっていて、普通の人間よりほんの少し傷の治りが早かったり、目や耳が良かったりするだけですが……」
「そうなのかい」

 彼女の行っている治療がどういったものなのか想像もつかないけれど、この数十秒で僕の体はかなり回復していた。この力はきっと……

「……血が薄まるほど他の種族と交わったってこと?」

 鳶之介くんがつぶやいた。

「こら鳶之介! そういったことはちゃんと彼に許可を得てから口にしなさい!」

 彼らは原種に近い者たちなのだろう。この女性に至ってはおそらく原種そのもの……

「大丈夫ですよ……。僕にとってそれは、そこまでデリケートな話題じゃないですから。
 それより僕の方こそ、あなた達にお聞きしたいことがあります」

 随分と回復した僕は、その場に起き上がり、自分がどこから来たのかと、何故この地に来たのかを話した。

「――というわけで、ルシアーノの……息子の治療方法を見つけるためにやって来たんです」
「原種特有の病……」

 エミ、と名乗った女性は難しい顔をして俯いた。

「私は緑鬼の里出身で、あんたのいう……原種ばかりの中で生活してきたが、そんなものは聞いたことも見たこともないね……」
「この鬼ヶ島には赤鬼と青鬼の一族が住んでいるけど、ここでも聞いたことないよね……」

 茶子を膝の上に乗せた鳶之介が言った。

「そんな……!」

 ここまできたのに治療法が見つからないだなんて……!

「あんた……ルカさんは外国の鬼の末裔だろう? もしかしたらそちらの種族特有の病なんじゃないかい……?」

もしそうだとしたら、僕が旅に出た意味は……

愕然として項垂れるほかなく、頭の中を後悔が駆け巡る。

「じゃぁ僕は……何のためにここまで……」

離れるべきじゃなかったんだ僕は……ルシアーノの元から……! 

「黄色のおじちゃん……」

茶子ちゃんが心配そうな声を出したその時、部屋の扉がピシャリ、と乱暴に開かれた。

「えみ殿、失礼するぞ!」
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