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20. 強き力を宿せし毛皮たち
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「本当に……ありがとうございます……!」
顔をあげて、改めて麻袋の中から赤虎の袋を取り出し、中を見てみる。どうやら赤、黄、白の虎の毛皮が入っているようだった。
「時間がなくて、とりあえず引っ掴んできたから……新しい生地だけじゃなくて申し訳ないんだけど……」
少し言いにくそうに、僕と袋を交互に見るエミさん。
とりあえず一つ見てみようと引っ張り出してみると、手にしたそれは小さくて可愛らしい赤子サイズの……パンツ。
「色々な大きさのお古が混ざってるんだけど――!
全部ちゃんと洗濯してあるから。よかったら持っていって!」
これは……ワカル――僕にはわかる!
このパンツも、他の物も、全てが強い力を持つ毛皮なのだと!
何故なら僕の目には、それらが半端なく眩しく輝いて見えたから――。
もしかして、力を調整するという赤虎の毛皮のおかげで僕の力が強くなっているのだろうか……?
気にはなるけれど、問題があれば脱げば良いか、
と、それについて考えるのはそこまでにした。
それよりも、これがあればルシアーノも元気になれるんだ……! 嬉しさのあまり、僕はそのパンツを手に、震えた。
「お子さんが……ルシアーノ君が元気になれることを祈ってるよ」
「ありがとうございます――!」
それから僕たちは、しばらくはそこを拠点として生活する事を決め、当面の食糧を確保するために動くことにした。
「二人とも! 釣れたかい?」
小部屋の先、洞窟を出たすぐの所が入り江になっていて、桟橋の所で子供達は釣りをしていた。
「あんまりぃ」
釣竿を握りしめ、ぷくぅっと頬を膨らませながら茶子ちゃんが言った。
「この時間、もうちょっとあっちの浅瀬には沢山いるんだけど……」
そう言って沖の方を指し、エミさんの顔を窺う鳶之介君。
「二人だけでは絶対にダメ! 鳶之介だってそこまで上手に泳げるわけじゃないんだから」
エミさんの言葉に、鳶之介君もが残念そうな顔をする。
桟橋の先には、ロープで繋がれた小舟が一艘。オールも付いているし、風もそこまで強くはない。
「あれだけのことができる二人なら、大丈夫じゃないんですか?」
僕を牢屋から助けだし、ここまで連れてきてくれた二人なら。勝手な想像だけど、茶子ちゃんなんか、一人で何キロも泳いでしまいそうだ。と、そう思ったのだけど……
「ダメよ。鳶之介はようやく泳げるようになったばかりだし、茶子に至ってはまだ泳げないんだから」
「え、泳げないんですか?」
思わず聞き返してしまった。意外だ。あれだけ動ける茶子ちゃんが泳げないとは。
「赤鬼は元々泳ぎが得意ではくてね……あ、旦那は赤鬼なんだけど、根性で泳げるようになったアホです」
あ……アホって……
そう言ったエミさんの表情は、とても良い笑顔だった。
顔をあげて、改めて麻袋の中から赤虎の袋を取り出し、中を見てみる。どうやら赤、黄、白の虎の毛皮が入っているようだった。
「時間がなくて、とりあえず引っ掴んできたから……新しい生地だけじゃなくて申し訳ないんだけど……」
少し言いにくそうに、僕と袋を交互に見るエミさん。
とりあえず一つ見てみようと引っ張り出してみると、手にしたそれは小さくて可愛らしい赤子サイズの……パンツ。
「色々な大きさのお古が混ざってるんだけど――!
全部ちゃんと洗濯してあるから。よかったら持っていって!」
これは……ワカル――僕にはわかる!
このパンツも、他の物も、全てが強い力を持つ毛皮なのだと!
何故なら僕の目には、それらが半端なく眩しく輝いて見えたから――。
もしかして、力を調整するという赤虎の毛皮のおかげで僕の力が強くなっているのだろうか……?
気にはなるけれど、問題があれば脱げば良いか、
と、それについて考えるのはそこまでにした。
それよりも、これがあればルシアーノも元気になれるんだ……! 嬉しさのあまり、僕はそのパンツを手に、震えた。
「お子さんが……ルシアーノ君が元気になれることを祈ってるよ」
「ありがとうございます――!」
それから僕たちは、しばらくはそこを拠点として生活する事を決め、当面の食糧を確保するために動くことにした。
「二人とも! 釣れたかい?」
小部屋の先、洞窟を出たすぐの所が入り江になっていて、桟橋の所で子供達は釣りをしていた。
「あんまりぃ」
釣竿を握りしめ、ぷくぅっと頬を膨らませながら茶子ちゃんが言った。
「この時間、もうちょっとあっちの浅瀬には沢山いるんだけど……」
そう言って沖の方を指し、エミさんの顔を窺う鳶之介君。
「二人だけでは絶対にダメ! 鳶之介だってそこまで上手に泳げるわけじゃないんだから」
エミさんの言葉に、鳶之介君もが残念そうな顔をする。
桟橋の先には、ロープで繋がれた小舟が一艘。オールも付いているし、風もそこまで強くはない。
「あれだけのことができる二人なら、大丈夫じゃないんですか?」
僕を牢屋から助けだし、ここまで連れてきてくれた二人なら。勝手な想像だけど、茶子ちゃんなんか、一人で何キロも泳いでしまいそうだ。と、そう思ったのだけど……
「ダメよ。鳶之介はようやく泳げるようになったばかりだし、茶子に至ってはまだ泳げないんだから」
「え、泳げないんですか?」
思わず聞き返してしまった。意外だ。あれだけ動ける茶子ちゃんが泳げないとは。
「赤鬼は元々泳ぎが得意ではくてね……あ、旦那は赤鬼なんだけど、根性で泳げるようになったアホです」
あ……アホって……
そう言ったエミさんの表情は、とても良い笑顔だった。
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