83 / 107
第二部 第三章 対決
83・黄金の騎士
しおりを挟む
どうする!? どうすれば!? どうしたら!? どうしましょう!
プチパニックな私は、一瞬だけ転移して逃げようかと思ってしまいましたが、それはちょっと人としてやってはいけない事のような気がします。
では、どうすればいいのか……そうだ! 正直にお話ししてから、お店に転移してお金を取ってくればいいのではないでしょうか。
考えてみたら簡単な事でした。
では、さっそく交渉してみましょう。
私たち三人は、宿屋の主人と思しき男性の元へ行き、カウンター越しに交渉を始めました。
「このお店の方……ですよね?」
「ああ、俺がマスターだ」
「あの、実は私たち、ちょっとお金の持ち合わせが無くて……これから取りに行くので少しだけ待っていただけませんか?」
私は両手を胸の前に組んで、お願いをするポーズで真摯に訴えました。
宿屋のマスターは『やっぱりな』と言いたそうな、納得した顔をしていました。
やはり先程までの私の挙動不審な態度が、そう思わせていたみたいです。
「金を取りに戻るのは構わないが、代りにこの二人の子供は置いて行きな」
「え!?」
「今日中に戻らなきゃ、この二人は然るべき所に売り飛ばす。ちなみにさっきの食事代は銀貨五枚だ」
「え!?」
「ほら、さっさと行け。そうだその鞄も置いていけ、どうせたいした物も入ってないだろうけどな」
「え!?」
マスターはショルダーバッグをひったくるようにして私から取り上げると、私の両肩を掴んで後ろを向かせ、背中をドンと叩きました。
私は前のめりになりながら、転ばないように何とか踏ん張りました。
「今日中だぞ。きっちり銀貨五枚、持ってこい」
そう言うとマスターは二人の天使を抱えて、カウンター裏にあった扉の奥へと消えて行きました。
天使たちは大人しくぶら下がっていました。
私が何も命令しないので、様子を見てくれているのでしょう。
暴れられても困るので、それは助かるのですが――
「ええええ!?」
ちょっと、これは……あっという間の出来事で、またしても私の頭はパニックになってしまいました。
「あっ、鞄がないと転移できない……ちょっとすいませーん! 鞄は返してくださーい!」
鞄の中にノートと羽根ペンが入っているのです。
それが無ければ転移も他の魔法も、何も使えません。
扉を叩いても中からの反応は無く、開けようとしても鍵を掛けられたのか、開きませんでした。
すると厨房の方から一人の女性が現れて――
「あっちで聞かせてもらったよ、お金を持ってなかったんだって? ここのマスターは本気であの子供を売っちまうと思うから、早くお金を取ってきた方がいいよ」
「そんな……」
「あたしはここの厨房で働いてるけど、あいつはお金に関してはうるさいってよく知ってるんだ。食事だけで銀貨五枚分も食べる客なんて珍しいから、最初から疑われてたんだと思うよ。諦めてお金を用意してきな」
「は……はい」
そのまま追い出されるようにして外に出てしまってから、私は途方に暮れました。
「ちょっと、何でこうなるのよ」
見知らぬ街でたった一人。魔力も無い私にどうしろと言うのでしょうか。
転移が出来なければ、お金を取りに戻る事も出来ないですし、たった今、この身を守る術も何もないのです。
今思えば、馬鹿正直に宿屋のマスターに相談したりせずに、テーブルに居た時にこっそりと転移して、お金を取ってくれば良かったと後悔しました。
茫然と立ち尽くして、両手をワンピースのポケットに突っ込んだ瞬間、右手に何かが触れました。
「あっ、スマホ」
何も無かったはずの私に、たった一つの希望が残されていました。
このスマホのアプリで、何か解決策が見つかるかも知れません。
とにかく何か、使えるアプリを探さなくては――
画面に表示されたアイコンたちを、順に見て行きます。
「『魔』は意味ないし、『獣』も使い所じゃないし、『健作くん』で何を検索したらいいのか分からないし……」
『神』は使えるかも知れないと、押してみました。
神様と連絡が取れるツールなのです。
「『ツー・ツー・ツー』……って何で繋がらないのよ! 本当使えないわねあの神様」
あと、使えそうなアプリは……。
「『鎧』? こんなアイコンありましたっけ? 鎧とか出てくれたら、それ売ってお金に出来るかも!」
『鎧』アイコンを押してみました。
――ポチっと。
その瞬間、スマホの画面から、黄金の輝きが光の束となって迸り――
ガシャン! ガシャン! と、次々と黄金のプレートが、私の体に装着されて行きました。
足のつま先から頭のてっぺんまで、あっという間に私は、黄金の全身鎧の姿に変身してしまいました。
しかし――
「なんで光から生成されたくせに、私の体に合っていないのよ! 胸の部分がスカスカじゃないの! ほんと何なの? 神様の嫌がらせ?」
女性用のプレートアーマーらしく、やたらと胸の部分が強調されているのですが、どうにも私のサイズにフィットしていないのが癪に障ります。
「ちょっとこれ、どうやって脱ぐのよ……このままじゃ売れないじゃないの」
鎧姿でジタバタしていると、後ろから誰かに声を掛けられました。
「騎士様! こんな所で何を!? 早く合流して下さい!」
「へ?」
腰の部分に小物入れがあったので、そこにスマホを仕舞ってから、声のする方に向くと、あご髭を生やした男性が手を振っています。
私が反応しないのを見て、その男性が走って来て私の鎧に包まれた手を取りました。
「早くしてください! みなさん集まっています。馬はどうされたのですか?」
「う、馬? えっと今は休ませているの」
「そうでしたか!」
確かに騎士と言えば騎乗する馬もセットなのかも知れませんが、私にはサーラから預かった馬車馬しか居ません。
そういえば、馬車も宿屋の裏手に停めたままでした。
あれはサーラのお婆様の形見とも言えるものなので、食事のお代として取り上げられなくて良かった――いえ、天使も相当割に合いませんけど!
私の手をグイグイと引っ張り、小走りでどこかへ連れて行こうとしています。
どうしたものかと考えているうちに、目的地に着いたようです。
やって来た場所はこの街の玄関口となる門の所で、そこには二十人程の武装した集団が待ち構えていました。
「何事?」
「おーい、騎士様が迷っておられたから、連れてきたぞ!」
私を集団でボコボコするような感じでも無かったので、とりあえず訊いてみました。
「これは何の集まりなの?」
「おや? 騎士様もギルドの募集で来たんじゃなかったので?」
「募集?」
「はい、たった今この街にオークの集団が向かっているのですよ。緊急クエストです。それを迎撃するための集まりです」
オークが街を襲いに来るって事ですか!? 私が鎧姿なので迎撃部隊の一員と思われたのでしょうか。
「あの、ちなみにそれって……報酬は出るの?」
「もちろんですよ、騎士様。活躍すればそれだけ報酬も増えますよ」
これはもう、やるしかないでしょう。
幸いこちらから出向かなくても、向こうからやって来てくれるのですから、願ったり叶ったりです。
鎧の性能は分かりませんが、神様の特別製だと考えれば、そこら辺の鎧よりも高性能に違いありません。
「私も参加します。ここに居ればいいのですね?」
「はい、ありがとうございます。騎士様。もうじきオークのやつらが現れると思います」
そうと決まれば、後は武器ですね。
鎧があるのですから当然武器もあるだろうと、スマホを取り出して探してみると――
「武器らしきアイコンが見当たらないんですけど……」
『武』というアイコンがあっても良さそうなものですが、それも無ければ似たようなものもありません。
何か武器が無ければ、戦いようが無いではないですか。
「どうしよう」
そうこうしているうちに、「来たぞ! 大軍だ!」という声が聞こえてきました。
「もう来たの!? 武器がまだ無いんだけど、どうすればいいのよ」
ちらりと門の方に視線を向けると、オークらしき魔物が数十体、門に向かって押し寄せて来ていました。
体長二メートル程の肥満した体型で、なかなかの巨体です。
豚のような顔をしているのに二足歩行をしていて、獣の皮で作ったような服まで身に付けています。
その手には巨大な棍棒を持ち、武器まで扱える人型の魔物でした。
「いったい何匹居るの!? ちょっと怖いんですけど!」
一匹のオークが棍棒を一振りしただけで、こちら側の人間が二、三人纏めて吹っ飛んでいました。
見る間に二十人も居た武装した人間が、ことごとく薙ぎ倒されて行きました。
やばい、と思った私はすぐにスマホの画面から、『獣』のアイコンを押しました。
黒い塊りが飛び出すと、すぐにそれはスリムな犬の姿になって、私の足元でお座りしています。
「ロデム! えっと、何か大きくて強そうなものに変身してあいつらを退治して!」
とても抽象的な命令でしたがロデムは中々優秀らしく、その姿を体長五メートル程の、真っ黒な石の巨人に変えました。
「ゴーレムってやつかしら? それでいいわ! やっつけて!」
ロデム・ゴーレムはその巨体をオークに向けて、砂塵を巻き上げながら飛び出して行きました。
巨体ながらも俊敏な動作です。
オークの集団に突撃すると、二メートルはあるオークを数匹、弾き飛ばしました。
「行ける! 強いじゃないのロデム、これなら行けるわ!」
ちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返し、猪突猛進のオークを事もなげにあしらっているロデムはとても頼りになりました。
けれども、オークも残り五匹、という所で――
ロデムはパッと、忽然と姿を消してしまったのです。
「ああっ! なんで一分しか持たないのよ! 馬鹿神様の役立たず!」
二十人も居た武装集団はすべて地に倒れ、涎を垂らした興奮状態のオークたちに囲まれて睨まれ、たった一人で立ち尽くす私は――
「あっ……」
――恐怖のあまりちょっとだけ、本当にちょっとだけ、……漏らしてしまいました。
プチパニックな私は、一瞬だけ転移して逃げようかと思ってしまいましたが、それはちょっと人としてやってはいけない事のような気がします。
では、どうすればいいのか……そうだ! 正直にお話ししてから、お店に転移してお金を取ってくればいいのではないでしょうか。
考えてみたら簡単な事でした。
では、さっそく交渉してみましょう。
私たち三人は、宿屋の主人と思しき男性の元へ行き、カウンター越しに交渉を始めました。
「このお店の方……ですよね?」
「ああ、俺がマスターだ」
「あの、実は私たち、ちょっとお金の持ち合わせが無くて……これから取りに行くので少しだけ待っていただけませんか?」
私は両手を胸の前に組んで、お願いをするポーズで真摯に訴えました。
宿屋のマスターは『やっぱりな』と言いたそうな、納得した顔をしていました。
やはり先程までの私の挙動不審な態度が、そう思わせていたみたいです。
「金を取りに戻るのは構わないが、代りにこの二人の子供は置いて行きな」
「え!?」
「今日中に戻らなきゃ、この二人は然るべき所に売り飛ばす。ちなみにさっきの食事代は銀貨五枚だ」
「え!?」
「ほら、さっさと行け。そうだその鞄も置いていけ、どうせたいした物も入ってないだろうけどな」
「え!?」
マスターはショルダーバッグをひったくるようにして私から取り上げると、私の両肩を掴んで後ろを向かせ、背中をドンと叩きました。
私は前のめりになりながら、転ばないように何とか踏ん張りました。
「今日中だぞ。きっちり銀貨五枚、持ってこい」
そう言うとマスターは二人の天使を抱えて、カウンター裏にあった扉の奥へと消えて行きました。
天使たちは大人しくぶら下がっていました。
私が何も命令しないので、様子を見てくれているのでしょう。
暴れられても困るので、それは助かるのですが――
「ええええ!?」
ちょっと、これは……あっという間の出来事で、またしても私の頭はパニックになってしまいました。
「あっ、鞄がないと転移できない……ちょっとすいませーん! 鞄は返してくださーい!」
鞄の中にノートと羽根ペンが入っているのです。
それが無ければ転移も他の魔法も、何も使えません。
扉を叩いても中からの反応は無く、開けようとしても鍵を掛けられたのか、開きませんでした。
すると厨房の方から一人の女性が現れて――
「あっちで聞かせてもらったよ、お金を持ってなかったんだって? ここのマスターは本気であの子供を売っちまうと思うから、早くお金を取ってきた方がいいよ」
「そんな……」
「あたしはここの厨房で働いてるけど、あいつはお金に関してはうるさいってよく知ってるんだ。食事だけで銀貨五枚分も食べる客なんて珍しいから、最初から疑われてたんだと思うよ。諦めてお金を用意してきな」
「は……はい」
そのまま追い出されるようにして外に出てしまってから、私は途方に暮れました。
「ちょっと、何でこうなるのよ」
見知らぬ街でたった一人。魔力も無い私にどうしろと言うのでしょうか。
転移が出来なければ、お金を取りに戻る事も出来ないですし、たった今、この身を守る術も何もないのです。
今思えば、馬鹿正直に宿屋のマスターに相談したりせずに、テーブルに居た時にこっそりと転移して、お金を取ってくれば良かったと後悔しました。
茫然と立ち尽くして、両手をワンピースのポケットに突っ込んだ瞬間、右手に何かが触れました。
「あっ、スマホ」
何も無かったはずの私に、たった一つの希望が残されていました。
このスマホのアプリで、何か解決策が見つかるかも知れません。
とにかく何か、使えるアプリを探さなくては――
画面に表示されたアイコンたちを、順に見て行きます。
「『魔』は意味ないし、『獣』も使い所じゃないし、『健作くん』で何を検索したらいいのか分からないし……」
『神』は使えるかも知れないと、押してみました。
神様と連絡が取れるツールなのです。
「『ツー・ツー・ツー』……って何で繋がらないのよ! 本当使えないわねあの神様」
あと、使えそうなアプリは……。
「『鎧』? こんなアイコンありましたっけ? 鎧とか出てくれたら、それ売ってお金に出来るかも!」
『鎧』アイコンを押してみました。
――ポチっと。
その瞬間、スマホの画面から、黄金の輝きが光の束となって迸り――
ガシャン! ガシャン! と、次々と黄金のプレートが、私の体に装着されて行きました。
足のつま先から頭のてっぺんまで、あっという間に私は、黄金の全身鎧の姿に変身してしまいました。
しかし――
「なんで光から生成されたくせに、私の体に合っていないのよ! 胸の部分がスカスカじゃないの! ほんと何なの? 神様の嫌がらせ?」
女性用のプレートアーマーらしく、やたらと胸の部分が強調されているのですが、どうにも私のサイズにフィットしていないのが癪に障ります。
「ちょっとこれ、どうやって脱ぐのよ……このままじゃ売れないじゃないの」
鎧姿でジタバタしていると、後ろから誰かに声を掛けられました。
「騎士様! こんな所で何を!? 早く合流して下さい!」
「へ?」
腰の部分に小物入れがあったので、そこにスマホを仕舞ってから、声のする方に向くと、あご髭を生やした男性が手を振っています。
私が反応しないのを見て、その男性が走って来て私の鎧に包まれた手を取りました。
「早くしてください! みなさん集まっています。馬はどうされたのですか?」
「う、馬? えっと今は休ませているの」
「そうでしたか!」
確かに騎士と言えば騎乗する馬もセットなのかも知れませんが、私にはサーラから預かった馬車馬しか居ません。
そういえば、馬車も宿屋の裏手に停めたままでした。
あれはサーラのお婆様の形見とも言えるものなので、食事のお代として取り上げられなくて良かった――いえ、天使も相当割に合いませんけど!
私の手をグイグイと引っ張り、小走りでどこかへ連れて行こうとしています。
どうしたものかと考えているうちに、目的地に着いたようです。
やって来た場所はこの街の玄関口となる門の所で、そこには二十人程の武装した集団が待ち構えていました。
「何事?」
「おーい、騎士様が迷っておられたから、連れてきたぞ!」
私を集団でボコボコするような感じでも無かったので、とりあえず訊いてみました。
「これは何の集まりなの?」
「おや? 騎士様もギルドの募集で来たんじゃなかったので?」
「募集?」
「はい、たった今この街にオークの集団が向かっているのですよ。緊急クエストです。それを迎撃するための集まりです」
オークが街を襲いに来るって事ですか!? 私が鎧姿なので迎撃部隊の一員と思われたのでしょうか。
「あの、ちなみにそれって……報酬は出るの?」
「もちろんですよ、騎士様。活躍すればそれだけ報酬も増えますよ」
これはもう、やるしかないでしょう。
幸いこちらから出向かなくても、向こうからやって来てくれるのですから、願ったり叶ったりです。
鎧の性能は分かりませんが、神様の特別製だと考えれば、そこら辺の鎧よりも高性能に違いありません。
「私も参加します。ここに居ればいいのですね?」
「はい、ありがとうございます。騎士様。もうじきオークのやつらが現れると思います」
そうと決まれば、後は武器ですね。
鎧があるのですから当然武器もあるだろうと、スマホを取り出して探してみると――
「武器らしきアイコンが見当たらないんですけど……」
『武』というアイコンがあっても良さそうなものですが、それも無ければ似たようなものもありません。
何か武器が無ければ、戦いようが無いではないですか。
「どうしよう」
そうこうしているうちに、「来たぞ! 大軍だ!」という声が聞こえてきました。
「もう来たの!? 武器がまだ無いんだけど、どうすればいいのよ」
ちらりと門の方に視線を向けると、オークらしき魔物が数十体、門に向かって押し寄せて来ていました。
体長二メートル程の肥満した体型で、なかなかの巨体です。
豚のような顔をしているのに二足歩行をしていて、獣の皮で作ったような服まで身に付けています。
その手には巨大な棍棒を持ち、武器まで扱える人型の魔物でした。
「いったい何匹居るの!? ちょっと怖いんですけど!」
一匹のオークが棍棒を一振りしただけで、こちら側の人間が二、三人纏めて吹っ飛んでいました。
見る間に二十人も居た武装した人間が、ことごとく薙ぎ倒されて行きました。
やばい、と思った私はすぐにスマホの画面から、『獣』のアイコンを押しました。
黒い塊りが飛び出すと、すぐにそれはスリムな犬の姿になって、私の足元でお座りしています。
「ロデム! えっと、何か大きくて強そうなものに変身してあいつらを退治して!」
とても抽象的な命令でしたがロデムは中々優秀らしく、その姿を体長五メートル程の、真っ黒な石の巨人に変えました。
「ゴーレムってやつかしら? それでいいわ! やっつけて!」
ロデム・ゴーレムはその巨体をオークに向けて、砂塵を巻き上げながら飛び出して行きました。
巨体ながらも俊敏な動作です。
オークの集団に突撃すると、二メートルはあるオークを数匹、弾き飛ばしました。
「行ける! 強いじゃないのロデム、これなら行けるわ!」
ちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返し、猪突猛進のオークを事もなげにあしらっているロデムはとても頼りになりました。
けれども、オークも残り五匹、という所で――
ロデムはパッと、忽然と姿を消してしまったのです。
「ああっ! なんで一分しか持たないのよ! 馬鹿神様の役立たず!」
二十人も居た武装集団はすべて地に倒れ、涎を垂らした興奮状態のオークたちに囲まれて睨まれ、たった一人で立ち尽くす私は――
「あっ……」
――恐怖のあまりちょっとだけ、本当にちょっとだけ、……漏らしてしまいました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる