追放された悪役令嬢は魔女の弟子と暮らしています

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生存意欲のお礼

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「僕はラルフ・シェンケ。この森に住んでいる魔女の弟子。でも師匠は数年前に死んじゃった。もうババアだったしね。

 僕はこの森で捨てられていたのをババアに救われて無理矢理弟子にされたのさ」
 と簡単に自己紹介された。

「あ、わ、私は……」
 と紹介しようとして

「いいよ、罪人女の名前なんて知ってもしょうがない。どうせ後で、死ぬか、玩具になるんだし、興味もない」
 とラルフが言う。酷すぎん!?
 美少年だけど、性格悪いし口も悪くね!?

 やっぱり、私が死ぬ事は避けられないんだ。小説の通り。

「私の前世は、地球と言う星に住んでいて、私は日本という小さな島国で生きていたの。

 魔法なんて無い世界でね」
 と懐かしそうに言うとラルフは反応した。

「チキュウ?ニホン?

 え?て言うか、魔法無いの?凄いね!まるで低文化な世界だね!可哀想!」
 とニヤッと笑う。
 美少年なんだからそんな嫌な笑い方しなくてもいいのに。

「魔法がなくても科学は発達していたよ。機械とかAIとか。それで私達は生きていけた」
 と言うとラルフは

「ふぅーん。魔法の代わりみたいなものかな?」
 と理解が早かった。

「ラルフの居るこの世界はね、実は私の世界での小説の中の世界なんだよ。

 私はその世界の悪役令嬢に転生してしまってるの」
 と言うとラルフは

「は?小説の世界?僕の居るこの世界が?何それ?変なの?」
 と初めて話に興味を持った様だ。

「……で、私は悪役令嬢だから、ヒロインを虐めたりした後で婚約者の王太子様から婚約破棄された挙句、この森に放たれて処刑されたみたい。

 その時に記憶が戻って私は君に助けられたの」
 と言うとラルフは

「面白いこと考えるね」

「考えたんじゃなくて事実だよ……。それだけは信じてほしいな。証明はできないけど。

 そんじゃもういいよ。思い残す事はないし、好きに殺したり、実験していいよ。私にはもうなんもないからね。

 あ、助けてくれてありがとうね!!」
 と私は目を閉じた。
 はあ、もういいわ。これが私の運命。死ぬ為に転生してきたと思って今度こそ綺麗な最後を迎えようだはないか!!

「……お姉さんて、変な人だねぇ。さっきまで殺さないでと騒いでたと思ったら急に静かになって死を受け入れてさ。興醒めだよ。

 もっと苦しんでる姿が楽しいのに」

「うーん、それは君が捻くれてるからじゃない?人の苦しむ姿が楽しいなんて普通の人は思わないよ」
 と正論を言うとラルフは

「……。普通の人は……か」
 てボソリと言い、ラルフが私に近づく。あ、脳いじられる!?

 やっぱり怖くて枷の嵌められた手を顔に持っていく。

 カチャン……。


「え?」
 ポカンとしてると私の手枷が外された。

「はー……。仕方ないね。
 こんな事バレたら僕も処刑ものだけど、あんたの話が少しだけ面白かったから生かしてやる。ありがたく思えよ?」
 と言ったので私は飛び起きて自由になったことに歓喜し、思わずラルフに抱きついた!!

「やったーーー!!ありがとうーー!ラルフ!!いや、ラルフくん、ラルちゃん!ラルフ様あああ!!

 私、生きてるーーー!!

 んーー、チュッ、チュッ!!」
 とほっぺにキスしまくると
 ラルフが青くなったり赤くなったりして

「ぎ、ぎゃあああああ!や、やめろ!バカ女!!

 グラビティション!!」
 と唱えると私は床にベシャアと重圧の魔法で押さえつけられた!!

「グエ!」
 潰れたカエルみたいになり動けない!

「ハアハア!!

 こ、今度変な真似したら殺す!切り刻んで瓶につけて魔法薬の材料にしてやる!!」
 と恐ろしいことを言い出した。

 ようやく重圧魔法を解いてくれたので私は土下座して

「す、すみませんでした!ラルフ様!大変失礼を!!こ、これからは私、ヴィクトリア・フォン・マーテラー元公爵家次女はただのヴィクトリアとして貴方様にお仕えしますので!!

 こ、ここに置いてくださると嬉しいです!!」
 とそれはもう年下に惨めに真面目に謝った!!

「凄い変わり身。変な女!つか、元公爵家の女だったのか!まあ、あんた、顔と胸だけはいいもんな」

 私の髪は紫色をしており、瞳は銀色だ。胸は正直でかい!流石悪役令嬢だ。顔は一応美人だ。

 小説の挿絵で何度か見た。

「はい!ありがとうございます!ラルフ様に揉まれるなら本望でございます!!」
 と言うとラルフは

「キモッ!ウザッ!!」
 と言い顔を逸らした。

 何はともあれ、私は生き残ることができた!!本編終了後のスローライフ突入である!!
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