追放された悪役令嬢は魔女の弟子と暮らしています

白黒

文字の大きさ
10 / 15

スライムの沼

しおりを挟む
 朝早くに私は支度をした。服はラルフきゅんにズボンを借りた。シャツは胸がデカすぎてボタンは3つ無視する事になった。ギャルみたいに胸の谷間が丸見えになった。

 ラルフきゅんが流石に赤くなり布を渡してマフラーみたいに巻いて見えなくなった。

 ラルフきゅんはかつげるカゴを持ち私にはリュックを背負わせた。バスケットも持ち、お昼も持った!

「いざ!スライム沼!!」
 と私は気合を入れたが

「あのさ、沼についたら喋らないでよ?大きな声を出すと沼の主の魔物が襲ってくるよ」

「ひえっ!」
 と脅され黙る事にした。

 しばらく森を歩いていくと少し開けた先に生い茂った沼地を発見した。

「あった。沼」

「意外と近くにあるんだね」

 近づくとかなり臭い匂いがした。

「うっ!く、クッサ!!」
 思わず鼻をつまむ。

「…こういうのスライムが好んでいるから住み着くんだよ」
 な、なるほど。スライム達にとっては最高の場所か。

 ラルフきゅんはカゴから網を持ち、棒に結んで渡した。

「じゃあさっさと捕まえよう。静かにね」

「捕まえるってどうやって?どこにいるの?」
 と聞くと

「ほら、よく見て。あそこ、草の近くポコポコと空気があるでしょ?」

「んー?」
 ラルフきゅんの刺した方を見ると確かにポコポコと空気みたいなのがあり、そこだけ少し泥が薄くなっている。

「たぶんあの下にいるよ」
 と網を入れて掬ってみるラルフきゅん。

 ビシャっと服に泥がつくけど気にせずにいるラルフきゅん。

 泥だらけになり何か捕まえてきた。しかし泥まみれでこれがスライムなのか判別できない。

「ちょっと触ってみたら?」
 と言うのでちょんちょんと指先で触ると

 ヌメっとした気持ち悪い感触がしてビリビリと悪寒がした。

「うぎゃっ!!!気色悪いっっ!!」

 と手を引っ込めるとラルフきゅんにクスクス笑われた。

「クククク!そりゃお嬢様はこんなもの触ったりしないからね…」
 カゴにドロドロのそれを入れてラルフきゅんは2匹目を探した。
 このままじゃダメだ。ラルフきゅんにばかり汚れ仕事をさせてしまう!
 年上として情けない!

 私は腕をまくり探した。
 すると少し遠くの方でぷくぷくと空気の塊を発見する!

 お!あれは沢山いそう!
 気持ち悪いけど我慢して頑張って取ってやる!

 と私は泥の中に片足だけ入りそばの木に片手で捕まり網を出して掬おうとした。

 しかし泥の中から何か赤いものが光る。

「お姉さん!!」
 ラルフきゅんが気付いてこちらに来て急いで私の腰を掴み引き寄せた!!
 泥で滑り後ろに倒れた。

「な、何!?」

 するとドバッと赤い光が泥の中から出てきたと思うと巨大なカエルが現れ

「グエエエエエエコ」
 と鳴いて私は気持ち悪さに吐きそうになった!!

「いやあああ!!」

 長い舌がこちらに迫ってきたので私は

「こっちくんな!!」
 と火魔法を放つ!!

 しかし…カエルが泥で火を消して

「ゲコゲコゲエエエコ!」
 と嘲笑った!!

「あいつには聞かないよ!火は!」

 そうしている間にもカエルはこちらにやって来る!!

「うひいいいいいい!!!」
 私とラルフきゅんは逃げ出して湿地を駆け回るが泥に足を取られる!!

 ラルフきゅんがこけて泥だらけになってもがく!このままじゃカエルに美少年が食われてしまう!!

「それだけは嫌あああ!あっちいけええええ!!」


 バチーーーーン!!
 ボカン!ボン!ドカン!!

 私はありったけの魔力でカエルめがけて放った炎魔法は炎の手になり、巨大カエルを平手打ちしてカエルは爆発しながら吹っ飛んだ!!

 いや、正確に言えばバラバラになり吹っ飛んだ。

 ……。

 そして私は全身から力が抜けた。

 うっ!気持ち悪い。

「お姉さん!!ちょっと!?大丈夫!?」

 ラルフきゅんが生きてる。良かった。
 そのまま目の前は暗くなった。

 *

 目が覚めた時、私は家にいた。

「あれ?」

 するとベッド脇のソファーに美少年が寝ていた。

 はっ!!
 う、美しい!!

 サラサラな黒髪を撫でていると目が開いて

「お姉さん…」

「ラルフくん…」
 と名前を呼び合い見つめ合う私達。

「……生きてたんだ」

「うん。ラルフきゅんが家まで運んでくれたの?」

「チッ」
 何故か舌打ちされバッと起き上がる。

「まあ、魔力枯渇で死ぬかと思っていたけど生きてたなら良かったね。スライムも無駄にならなくて済むよ」
 と言う。
 聞けば私は3日程目を覚まさなかったらしい。

「うう、ありがとうラルフくん!!」
 と喜んでいると臭い匂いがした。

「ん?」

「…お姉さん…。早くお風呂に行ってきたら?3日間ずっとあのまま寝ていたから泥とかついてて汚いよ」
 と言う。見ると倒れた時な服の泥だらけのままだ。

「あの…。ほら…着替えさせるとか…ねぇ?ほら」
 と言うとラルフきゅんは首を振り、

「無理…」
 とプイと布や着替えを渡して奥へ行った。

「ええー…」

 とりあえず私は風呂場で泥を流して綺麗にした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...