追放された悪役令嬢は魔女の弟子と暮らしています

白黒

文字の大きさ
15 / 15

幸せ色の世界

しおりを挟む
 色とりどりの花に囲まれ緑も多い別世界の中に小さな家がぽつんとある。よく見たらそれは逃げてきたあの元々いた魔女ベータの家!?

「ど、どういうこと?まさかまた追っ手くる?」

「いいえ、来ません。ここは別の世界。僕の想像した…。理想の。僕は案外ベータ師匠の家が好きだったようです。

 本当の世界ではもう焼かれているかもしれませんが」

「そうなんだ」

「嫌でした?」

「ううん?ラルフきゅんがいいなら私は。私にとってもここは思い出あるし!はっ!そうだ!トイレだけは!!個室を」

「ふふっ、そうでした」
 そう言うと何かポンと出てきた!!

 レンガでできた個室トイレ!?
 開いてみると確かにトイレらしきものがある!!だがやはり惜しい!
 私は紙とペンで描いた。

「こう言うやつがいいんだけど」
 と洋式のトイレを描くと

「なんだこれ?見たことないけど確かに楽だね、これにしよう」
 とむむむと考えるとなんと本当に便器が出てきた!!

「おおおおおおおお!!トイレだあああ!!!」
 と叫ぶと

「大袈裟な。ま、喜んでくれるならいいけど」

「わあいわあい!流石ラルフくん!好き」」

「うっ…!は、恥ずかしいのであまり言わないでください!」
 とぷいと照れるかもう慣れたものでにやける。

「うふふ、想像で思い通りのものが出せるならもっと色々と便利なもの出してね!なんかネコ型のロボみたいだけど」

「ろぼ?」

「あ、別に?なんでも。とりあえず前世日本人で良かったー!」
 と言う。結局食べ物も出せるから食事にも困らない。本当に2人きりの世界でたまにラルフくんは照れて視線を外す。

 くっ!可愛いわ!

 時間もたくさんあるしこれから2人で生きていけるし子供もたくさん埋めるかな?

 ソファーに座り本を読んでるラルフきゅんの横でニヤニヤしていると

「なんか気持ち悪い想像してます?」
 と言われてしまう。

「そりゃ、するよ、こんな美少年と2人きりだから、えへえへ」
 と笑うとチョップされた。

「バカなんだから!本当に!!」
 と言われて短くなった髪を撫でられたと思うと引き寄せられてキスをされる。

 ひいいいいい!!
 まだ慣れないかも!と思うと美少年が微笑みまた鼻血出そうになるが

「あの…お姉さん…。ヴィ…ヴィクトリアさんと呼んでもいいですか?」
 って今更聞かれたので

「もちろんよ!!」
 とおでこをつけ笑い合ったのだった。

 *
 可愛いラルフきゅんはそのうちどんどん成長し、美少年から美青年になり、背もとうに追い越され上から見下ろされようになると私はかなり甘やかされた。もう「ラルフきゅん」とは心の中で呼べない!

 大人になったラルフは物凄い美青年になり、黒髪も空色の瞳も素敵でまだまだ私は虜だ。

 ほんの少しの寂しさを感じているけど美青年になったラルフも色気が増してとんでもないのでこれはこれでありやな!!とガッツポーズした。

 そんな私を見て

「また何か変なこと考えている顔ですね。もう、ヴィクトリアは…」
 と少し眉根を下げて笑う。

「だって…私の胸にスッポリ収まるラルフはもういないけど代わりに素敵なイケメンが目の前に…」
 と言うと少し呆れるが

「いつまでも子供じゃないですからね。僕は毎日ヴィクトリアの背を追い越せるよう頑張って鍛えてたので」
 と陰ながらの努力を話されもはや感動した。

 くう!!
 2人きりの世界で最高すぎる!毎日が嬉しく楽しい!
 ラルフは私の不器用さも笑って許せる大人へとなったし、セクシーな下着を作ってもらってももはや

「似合いそうですね」
 とニコッと優しく微笑むのでもうキュンが辛い。
 その後めちゃくちゃイチャついた。


 結婚式にはやはりアルファ様達を招待し幸せになった。

 元々の世界では私たちは死んだことになっているらしい。アルファ様がドラゴンの住処にニセモノの骨を放り投げておいてくれ、それを遠くから確認した騎士団達が王子達に報告したらしいのだ。


 結局私はラルフとこの世界で3人の子に恵まれた。
 長男のエリッヒ、長女のベアテ、次女のイザベルだ。

 3人とも美しすぎる子供達だ!
 まあ、私とラルフがかけあわっているのだからそれはまた凄い!
 だがこの子達もいずれ大きくなるのだその時はまた別世界に送ってもらえるようなんとかアルファ様に頭を下げようと言う話になった。アルファ様にとっても孫みたいなもんだし。

 と勝手に思っているけどラルフは

「ヴィクトリア…あんた、アルファ様を舐めすぎだろ?あの方はとんでもない力を持つ始祖の魔女様だと言うのに!」

「え、そう?見た目だけならめちゃくちゃ幼女だからなんか気ぃ抜けちゃって!」
 と言うのに頭を抱える。

「別にそんなこと魔女様に頼まなくてもこの扉の鍵で僕が想像したような安全な国にはいけると思う」

「え?そうなの?」

「もっと子供達が大きくなったら旅行にもいけると思う」

「え?そうなの?何で今まで言わなかったの?」
 と言うとラルフは真っ赤になり

「そそ、それは…と、とと当分はヴィクトリアとその2人きりで過ごしたくてそのご、ごめん…」
 と誤った。
 ええええー!
 やだー!旦那が可愛すぎて死ぬ!!

「ラルフ!今夜は4人目をつくりましょう!」

「はあ!?も、もう、ダメだよそんな!!」
 と更に真っ赤になるラルフに子供達が

「パパー、ママー絵本読んで」
「魔法教えて」
「お腹減った…」
 と駆け寄ってくる。

「そうね、まずは絵本ね。悪役令嬢で処刑されかけた女が森で美少年と出会い恋をする話を読んであげましょうか?」
 と言うとラルフはげっと言う顔して

「ほ、ほら新しいおもちゃ出してあげる!」
 と誤魔化していた。

 私達は幸せに包まれ子供達の頭を撫でた。ラルフと出会え幸せな結末を迎えられて良かった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...