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My Only Santa
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街がきらきらと輝いていくこの季節。
どこもかしこも、通り過ぎる人達は、ウキウキと浮足立っている。
そんな中、俺だけが、この世の中からぽつんと取り残されたような感覚に陥ってしまっていた。
俺の周りだけ、孤独な鈍色の世界が広がっている。
だから、この時期は、ずっと嫌いだった―。
「ん……。」
瞼の裏に眩しい光を感じ、目を開ける。
冬悟は既に起きてしまったようで、もう隣のシーツは冷たくなっていた。
今日は、確かクリスマスだっけ。
……何か、久々に嫌な夢を見た気がする。
そんな落ち込んだ気分を振り払うように、大きな欠伸をしながら、ん゙~と伸びをすると、指先が何か冷んやりとしたものに触れたと同時に、カサッという音が聞こえてきた。
な、何だ!!??
いつもならまだいる眠気は、驚きと共にすぐにいなくなり、ガバッと布団から飛び出て、頭上の方をばっと見る。
すると、紙袋とリボンに包まれた大きな箱が、どんっと枕元に置いてあるではないか。
何だこれ?
もしかして……クリスマスプレゼントか?
俺の家には、一度もサンタは来たことがなかった。
どれだけイイコにしていても、それが現れることも、プレゼントが貰えることもなかった。
だから、幼い頃から知っている。
サンタなんて、いないんだって。
だけど、心の奥底では、プレゼントを貰えた他の子たちが、ずっと羨ましかった。
まさか、この歳になって、こうやってプレゼントを貰えるなんて、夢にも思わなかった。
滲みそうになる視界を、ゴシゴシと袖でクリアにし、その大きな箱を、大事にぎゅっと腕の中に抱え込む。
俺だけのサンタから貰えた、初めてのクリスマスプレゼント……。
幸せな気持ちは温かな涙となって溢れ出し、紙袋の一部の色が、濡れてじんわりと濃くなっていく。
このリボンを解くのも勿体ないけど、中身が気になる。
箱を眺める俺の心は、ドキドキと高鳴っている。
これが、プレゼントを貰えた子どもが味わう、わくわく感か!
自分はもう大人になってしまったけど、初めての感覚を胸に、しゅるっとそのリボンを解いていく。
そして、紙袋だけになった箱と向き合い、丁寧にそれを開いた。
すると、中から出てきたのは。
「あーーー!!!これ、ずっと欲しかった、着る毛布だー!!」
これは、秋頃からずっと欲しいと思っていたもので、寒くなってからは、切望していた。
冬悟に何度か強請ったことがあったが、“お前はそれを着て、その辺で寝落ちするから駄目だ”と言われ、買って貰えなかったものだ。
それを抱えて、バタバタと勢いよくリビングに向かう。
すると、コーヒーを飲んでいた冬悟が、俺の方に振り向いた。
「朝から騒がしい奴だな。どうした?」
あくまでも知らないフリをしてくれる俺のサンタに、敢えて俺も、気付かないフリをする。
「冬悟、見て見て!サンタから初めてプレゼント貰えた!!すっげぇ嬉しい!!」
えへへっと笑って、そのプレゼントを嬉しそうに抱き締めると、冬悟は片手にマグカップを持ったまま、ふっと優しく笑った。
「…そうか。よかったな。」
「これ、ちゃんと俺の欲しかったものだったんだ!サンタって、ホントになんでもお見通しなんだな!」
嬉しくて嬉しくて、ずっとニコニコしている俺を、冬悟はずっと柔らかく目を細めて見ている。
だけど、俺はふと、あることに気が付き、顔を曇らせる。
すると、そんな俺を心配したのか、冬悟はマグカップを机に置いて、こちらに向かって近づき、そっと顔を覗き込んできた。
「純也、どうした?」
「冬悟、どうしよう。俺、サンタにあげるプレゼント、何も用意してない……。」
目の前のサンタを見て、申し訳なさそうに瞳を揺らすと、そんなことかというように、クスッと笑われた。
「…もう、貰ったようだから、大丈夫だろう。」
「へっ?」
何もあげてないのに、どういうことだろう?
言われた意味がわからなくて、小首を傾げると、ふわっとその大きな手が、頭を撫でていく。
「サンタにとっては、子どもの笑顔が、一番のプレゼントだからな。」
「誰が子どもだ!!」
だけど、その言葉で、心のモヤモヤが晴れていく。
真っ直ぐに冬悟を見つめ、へへっと笑った。
そして、プレゼントを床に置いて、ぱっと腕を伸ばし、ありがとうの気持ちを込めて、ぎゅうと冬悟に抱きつく。
すると、冬悟もぎゅっと抱き締めてくれ、その腕の中で、身も心も温かくなっていく。
「…ほら、今日はデートするんだろう?さっさと朝飯を食え。」
「うん!」
冬悟に促され、席に着こうと思ったが、椅子に座る前に立ち止まる。
やっぱり、これじゃ足りない。
そう思った途端、俺の朝食を用意するためにキッチンへ戻っていく冬悟を追いかけ、その広い背中にぎゅっと抱きついた。
「純也?」
そして、振り返った冬悟にチュッとキスをする。
「メリークリスマス、冬悟。」
驚いた冬悟の表情は、すぐに柔らかくなり、今度は冬悟から口付けてくれる。
「メリークリスマス、純也。」
そして、2人で笑い合った後、今日買いに行くチキンやケーキの話で盛り上がる。
最愛の夫と過ごす初めてクリスマスは、俺の中でのこの時期のイメージを、色鮮やかなものへと変えていった―。
後日、親友の浩二に、イケメンサンタが来たことを惚気ていた。
「――でさ、着る毛布貰ったんだ!」
「へぇ~、よかったじゃん。」
「浩二は?確か、小百合さんとプレゼント交換するって言ってたよな?」
「あー………まぁな。」
歯切れの悪い浩二を不思議に思いながらも、もう一度聞いてみる。
「何貰ったんだ?」
「……………車。」
「えっ?」
「だから、車だって。」
聞き間違いかと思ったが、車で間違いなさそうだ。
「………そういえば、この間、免許取ったんだっけ?ちなみにさ、浩二は何あげたんだ?」
「ちょっといいハンドクリームの詰め合わせ。」
「…………そっか。」
「「…………。」」
金持ちとのプレゼント交換、怖っ!!
あまりの規模の違いに、俺達はただ無言で、晴れ渡る空を眺めることしかできなかったのだった。
どこもかしこも、通り過ぎる人達は、ウキウキと浮足立っている。
そんな中、俺だけが、この世の中からぽつんと取り残されたような感覚に陥ってしまっていた。
俺の周りだけ、孤独な鈍色の世界が広がっている。
だから、この時期は、ずっと嫌いだった―。
「ん……。」
瞼の裏に眩しい光を感じ、目を開ける。
冬悟は既に起きてしまったようで、もう隣のシーツは冷たくなっていた。
今日は、確かクリスマスだっけ。
……何か、久々に嫌な夢を見た気がする。
そんな落ち込んだ気分を振り払うように、大きな欠伸をしながら、ん゙~と伸びをすると、指先が何か冷んやりとしたものに触れたと同時に、カサッという音が聞こえてきた。
な、何だ!!??
いつもならまだいる眠気は、驚きと共にすぐにいなくなり、ガバッと布団から飛び出て、頭上の方をばっと見る。
すると、紙袋とリボンに包まれた大きな箱が、どんっと枕元に置いてあるではないか。
何だこれ?
もしかして……クリスマスプレゼントか?
俺の家には、一度もサンタは来たことがなかった。
どれだけイイコにしていても、それが現れることも、プレゼントが貰えることもなかった。
だから、幼い頃から知っている。
サンタなんて、いないんだって。
だけど、心の奥底では、プレゼントを貰えた他の子たちが、ずっと羨ましかった。
まさか、この歳になって、こうやってプレゼントを貰えるなんて、夢にも思わなかった。
滲みそうになる視界を、ゴシゴシと袖でクリアにし、その大きな箱を、大事にぎゅっと腕の中に抱え込む。
俺だけのサンタから貰えた、初めてのクリスマスプレゼント……。
幸せな気持ちは温かな涙となって溢れ出し、紙袋の一部の色が、濡れてじんわりと濃くなっていく。
このリボンを解くのも勿体ないけど、中身が気になる。
箱を眺める俺の心は、ドキドキと高鳴っている。
これが、プレゼントを貰えた子どもが味わう、わくわく感か!
自分はもう大人になってしまったけど、初めての感覚を胸に、しゅるっとそのリボンを解いていく。
そして、紙袋だけになった箱と向き合い、丁寧にそれを開いた。
すると、中から出てきたのは。
「あーーー!!!これ、ずっと欲しかった、着る毛布だー!!」
これは、秋頃からずっと欲しいと思っていたもので、寒くなってからは、切望していた。
冬悟に何度か強請ったことがあったが、“お前はそれを着て、その辺で寝落ちするから駄目だ”と言われ、買って貰えなかったものだ。
それを抱えて、バタバタと勢いよくリビングに向かう。
すると、コーヒーを飲んでいた冬悟が、俺の方に振り向いた。
「朝から騒がしい奴だな。どうした?」
あくまでも知らないフリをしてくれる俺のサンタに、敢えて俺も、気付かないフリをする。
「冬悟、見て見て!サンタから初めてプレゼント貰えた!!すっげぇ嬉しい!!」
えへへっと笑って、そのプレゼントを嬉しそうに抱き締めると、冬悟は片手にマグカップを持ったまま、ふっと優しく笑った。
「…そうか。よかったな。」
「これ、ちゃんと俺の欲しかったものだったんだ!サンタって、ホントになんでもお見通しなんだな!」
嬉しくて嬉しくて、ずっとニコニコしている俺を、冬悟はずっと柔らかく目を細めて見ている。
だけど、俺はふと、あることに気が付き、顔を曇らせる。
すると、そんな俺を心配したのか、冬悟はマグカップを机に置いて、こちらに向かって近づき、そっと顔を覗き込んできた。
「純也、どうした?」
「冬悟、どうしよう。俺、サンタにあげるプレゼント、何も用意してない……。」
目の前のサンタを見て、申し訳なさそうに瞳を揺らすと、そんなことかというように、クスッと笑われた。
「…もう、貰ったようだから、大丈夫だろう。」
「へっ?」
何もあげてないのに、どういうことだろう?
言われた意味がわからなくて、小首を傾げると、ふわっとその大きな手が、頭を撫でていく。
「サンタにとっては、子どもの笑顔が、一番のプレゼントだからな。」
「誰が子どもだ!!」
だけど、その言葉で、心のモヤモヤが晴れていく。
真っ直ぐに冬悟を見つめ、へへっと笑った。
そして、プレゼントを床に置いて、ぱっと腕を伸ばし、ありがとうの気持ちを込めて、ぎゅうと冬悟に抱きつく。
すると、冬悟もぎゅっと抱き締めてくれ、その腕の中で、身も心も温かくなっていく。
「…ほら、今日はデートするんだろう?さっさと朝飯を食え。」
「うん!」
冬悟に促され、席に着こうと思ったが、椅子に座る前に立ち止まる。
やっぱり、これじゃ足りない。
そう思った途端、俺の朝食を用意するためにキッチンへ戻っていく冬悟を追いかけ、その広い背中にぎゅっと抱きついた。
「純也?」
そして、振り返った冬悟にチュッとキスをする。
「メリークリスマス、冬悟。」
驚いた冬悟の表情は、すぐに柔らかくなり、今度は冬悟から口付けてくれる。
「メリークリスマス、純也。」
そして、2人で笑い合った後、今日買いに行くチキンやケーキの話で盛り上がる。
最愛の夫と過ごす初めてクリスマスは、俺の中でのこの時期のイメージを、色鮮やかなものへと変えていった―。
後日、親友の浩二に、イケメンサンタが来たことを惚気ていた。
「――でさ、着る毛布貰ったんだ!」
「へぇ~、よかったじゃん。」
「浩二は?確か、小百合さんとプレゼント交換するって言ってたよな?」
「あー………まぁな。」
歯切れの悪い浩二を不思議に思いながらも、もう一度聞いてみる。
「何貰ったんだ?」
「……………車。」
「えっ?」
「だから、車だって。」
聞き間違いかと思ったが、車で間違いなさそうだ。
「………そういえば、この間、免許取ったんだっけ?ちなみにさ、浩二は何あげたんだ?」
「ちょっといいハンドクリームの詰め合わせ。」
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「「…………。」」
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