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第一章
五.祝福を受ける
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三時間ほど馬車に揺られ、伯爵領に入った。
ルピナスたちは伯爵領にある教会へ馬車を進める。
教会の前に到着し、三人は馬車から降りた。
ヒューゴは御者に声をかけた。
「教会のそばにある馬車置き場に停めておいて。一時間くらいで戻る」
教会の扉は閉まっていた。
「大丈夫、今日は居るはずだ」
ヒューゴは教会の扉についたノッカーを鳴らした。
ほんの少しすると、中から青い祭服を着た青年が出てきた。
「久しいな。バロウ家のヒューゴだ。エイデン司祭はいらっしゃるだろうか」
「ヒューゴ様ではないですか!お久しぶりでございます。すぐに呼んで参りますので、どうぞ、中でお待ちいただけますか」
そう言って奥の部屋に消えて行った。
そうすると奥の部屋から、青い祭服を着た初老の男性が出て来た。
「これはヒューゴ殿、お久しぶりでございます。急にいらっしゃるとは何かございましたか?」
「急に来てすまない。頼みたいことがあってな...ところで今日は人が少ないのだな」
「はい、本日はどなたからも相談のご依頼が事前になかったので、私と助祭のこの者のみで対応しております。教会を開くのは朝と夕の祈りの時間のみですから」
「それならば今からお時間を少しいただきたい。こちらのアガター男爵のご息女、ルピナス嬢が祝福を受けに来たのだ」
「アガター男爵家の...なるほど、かしこまりました、準備しますのでこちらの聖堂でお待ち下さい」
少ししてエイデン司祭が青年を伴って聖堂に現れた。
助祭の青年は盆を持っている。
司祭は白い祭服に青いストラを首からかけた姿をしてる。
「アガター卿、本来、祝福の場に立ち会えるのは親族だけですが、ヒューゴ殿の立ち会いを許可されますか?」
「はい、かまいません。ヒューゴ殿の立ち会いを許可します」
ヒューゴはものすごく嬉しそうな顔をしている。
その返事に頷いた司祭は、盆に乗せてある水晶を両手で掬い上げ、祭壇に設置した。
器に聖水を注ぎ、ルピナスに声をかけた。
「ルピナス・アガター殿、こちらへいらっしゃい」
司祭に呼ばれたルピナスは彼の元へと向かう。
「こちらの聖水で手を清めてください」
助祭の青年に言われ、ルピナスは聖水に手を入れた。
「手を清めたらそちらの布で手を拭き、水晶に手を添えていてください」
言われた通りに水晶に手を添える。
司祭は先端に綺麗な石のついた杖を掲げた。
「我が国の守護神アシュリナ よ
あなたの御心を求める者がここにおります
この者があなたのお示しした道を
真っ直ぐに歩んでいくことができますように
どうかあなたのお力のひとかけらを与え
お導びきください
主の御名において祝福してください」
司祭が祈りを捧げると水晶から光が溢れ出た。
ルピナスたちは伯爵領にある教会へ馬車を進める。
教会の前に到着し、三人は馬車から降りた。
ヒューゴは御者に声をかけた。
「教会のそばにある馬車置き場に停めておいて。一時間くらいで戻る」
教会の扉は閉まっていた。
「大丈夫、今日は居るはずだ」
ヒューゴは教会の扉についたノッカーを鳴らした。
ほんの少しすると、中から青い祭服を着た青年が出てきた。
「久しいな。バロウ家のヒューゴだ。エイデン司祭はいらっしゃるだろうか」
「ヒューゴ様ではないですか!お久しぶりでございます。すぐに呼んで参りますので、どうぞ、中でお待ちいただけますか」
そう言って奥の部屋に消えて行った。
そうすると奥の部屋から、青い祭服を着た初老の男性が出て来た。
「これはヒューゴ殿、お久しぶりでございます。急にいらっしゃるとは何かございましたか?」
「急に来てすまない。頼みたいことがあってな...ところで今日は人が少ないのだな」
「はい、本日はどなたからも相談のご依頼が事前になかったので、私と助祭のこの者のみで対応しております。教会を開くのは朝と夕の祈りの時間のみですから」
「それならば今からお時間を少しいただきたい。こちらのアガター男爵のご息女、ルピナス嬢が祝福を受けに来たのだ」
「アガター男爵家の...なるほど、かしこまりました、準備しますのでこちらの聖堂でお待ち下さい」
少ししてエイデン司祭が青年を伴って聖堂に現れた。
助祭の青年は盆を持っている。
司祭は白い祭服に青いストラを首からかけた姿をしてる。
「アガター卿、本来、祝福の場に立ち会えるのは親族だけですが、ヒューゴ殿の立ち会いを許可されますか?」
「はい、かまいません。ヒューゴ殿の立ち会いを許可します」
ヒューゴはものすごく嬉しそうな顔をしている。
その返事に頷いた司祭は、盆に乗せてある水晶を両手で掬い上げ、祭壇に設置した。
器に聖水を注ぎ、ルピナスに声をかけた。
「ルピナス・アガター殿、こちらへいらっしゃい」
司祭に呼ばれたルピナスは彼の元へと向かう。
「こちらの聖水で手を清めてください」
助祭の青年に言われ、ルピナスは聖水に手を入れた。
「手を清めたらそちらの布で手を拭き、水晶に手を添えていてください」
言われた通りに水晶に手を添える。
司祭は先端に綺麗な石のついた杖を掲げた。
「我が国の守護神アシュリナ よ
あなたの御心を求める者がここにおります
この者があなたのお示しした道を
真っ直ぐに歩んでいくことができますように
どうかあなたのお力のひとかけらを与え
お導びきください
主の御名において祝福してください」
司祭が祈りを捧げると水晶から光が溢れ出た。
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