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クッコロ洞窟の冒険者
9「サキュバスをめぐる冒険」の巻
しおりを挟む『地下に通じる扉は開くまじ』
それがゲドー諸島東南部ワルサ島クッコロ洞窟ダンジョンに伝わる口伝だ。
大陸の通商を牛耳る【ゴリオシ商会】(通称:反社ギルド)管轄。
利用料:大人1000テラ、子供500テラ。
クッコロ洞窟ダンジョンが人類勢力の手に開放されてから、すでに100年以上が経過している。
洞窟の中はスライムやアルビノラットなどの低級モンスターのチャンク(湧き場)であり、それらの生存競争の結果、様々な【薬筒】の原材料となる有機土壌や薬草や藻類などの豊富な天然資源の温床となっている。
ダンジョン内の主な階層はこの100年で開拓され尽くされ、現在は低級冒険者パーティーの採取クエストもしくはレベル上げに利用されるのみである。
……しかし、このクッコロ洞窟ダンジョンには未だに解明されていない一つの『伝説』が残っている。
かつて、ワルサ島で行われたという悪神崇拝の伝説。その邪悪なる儀式がこの洞窟内のどこかで執り行われていた、という伝説だ。
自ら悪神となり人々を平伏させ、広大な領土から強大なるマナを吸い上げた邪悪な【魔法使い】。
夜な夜な淫靡な宴に興じ島の善男善女を堕落させた魔女は、最後には島民自身の手で地下の磐戸の中に封印されたという。
それ以来400年というもの、人々を堕落させた悪神『サキュバス』の名を世界は忘れ去った。
…バカな冒険者パーティーが禁足地に足を踏み入れるまでは。
続く…
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