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15―晴明の再びのくちづけ
しおりを挟むそのくちづけは、深く。
琥珀は夢中になった。
そして。いつの間にか、その身体は熱くほてりだし。
何もかもが琥珀には初めての経験だった。
だがそれは晴明も同じだった。
かつて、晴明がこれ程までに…。
我を忘れても良いと思える程に夢中になることはなかった。
晴明は、自分を抑えようとしながらも、その身体は歯止めがききそうになかった。
『こんなことでは、いかぬ…!』
そう、思いつつも、震えながらも晴明に身をまかせ、必死でくちづけにこたえる琥珀の可愛らしさといったら…!
…だが。
『…いかぬ!!』
そう、言わんばかりに必死で晴明は堪えた。
そして。そっと琥珀から身体を離すと、
「紅!紅!」
そう、何者かを呼びつけた。
すると、そこには一匹のセキレイが現れ。
琥珀にもはっきりと解る言葉で話した。
「何ですか、晴明様。もう、夕刻だというのに!ああ、こちらが、琥珀様!それじゃ、ちょっと失礼。」
と言うなり、小さかったセキレイは、少し琥珀より年齢が少し上に見える人間の少年へと変わり、琥珀は、これも晴明の術なのかと、ただ、驚いていたが、そんな琥珀のよこで、
『紅』とよばれたセキレイ(今は、美しい少年と変わっている。)と晴明は騒がしかった。
晴明は、
「何で、そんな姿をしているのだ…。」
とどこか、紅を責めている様子。
それに対し。
紅は負けじと。
「琥珀様と親しくなるためには、こちらの姿がよいかと。」
「それにしても…!」と晴明。
そんな、まだまだ続きそうな二人も、琥珀が。「あの…。」
そう、戸惑いがちに声をかけると途端に口論をやめ。
そして。セキレイが化身した、『紅』と呼ばれる少年は琥珀に言った。
「はじめまして、琥珀様。今日より身のまわりのお世話をさせて頂きます。
ご紹介が先になってしまいましたが、改めまして。紅と申します。」
〈続く〉
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