愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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親友の、お兄ちゃんと。1

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「お前今どこだよ。ふざけんなよ!!今からそっち行くからな。覚悟しとけ!!」

部屋に響き渡る怒声。あまりに大きな声で怒鳴ったから電話を切った後レイちゃんは、はぁはぁと息を荒げていた。あぁ、レイちゃんの彼氏また浮気してたのね…。

今日は高校の時からの親友のレイちゃんの家でお泊まり。なんだけど、レイちゃんの彼氏の○回目の浮気が発覚してしまい、レイちゃんは彼氏の家に急行することになった。

「リカ、ほんっとにほんっっとにゴメン!あいつ殴ってきていい?」

「うん、だいじょぶ…ほんとに殴っちゃダメだよ…」

「うちで待っててくれるかな?ほんとにごめん!」

「え…レイちゃんいないのに悪いよ」

「悪いのはあたしだよ…ほんとにごめんね、置き去りにして…」

普通なら帰るところだけど、時計の針は1時を過ぎている。当然電車は終わっているし、レイちゃんの家からあたしの家までは電車で20分くらいの距離でタクシーだとなかなかのお値段になる。なのでお言葉に甘えることにした。

「じゃあ、気を付けてね?」

「ありがとう!!ほんとにありがとう!!いってきます!!」

レイちゃんはドタドタと足音を立てながらすごい勢いで家を飛び出していった。
ルームウェアで出てっちゃったけど、大丈夫かしら…

レイちゃんの彼氏ほんとに浮気性だよなぁ。レイちゃんもよく付き合ってられるなぁとは当然思ってしまうけれど、そんな彼氏別れたら?とは言わずただ話を聞いてそっかぁ、大変だったね、と宥めるばかりだ。

そういうあたしの態度は、親友なのに冷たいと取られるかもしれない。実際周りの友達にレイちゃんは彼氏と早く別れなよって言われているし、一番近い距離にいるあたしにもっとレイに厳しく言ってあげてよ、って責められることもある。

浮気されて傷付いても泣いても一緒にいるぐらいなんだから、あたしが言ったところで別れる筈がないし、それならレイちゃんが彼氏に愛想を尽かすまで黙って見守ることしかあたしには出来ない。

あたしは、レイちゃんが大好きだ。周りから見ればひどい彼氏でも、あたしの大好きなレイちゃんが大好きな彼氏のことをあまり悪くは言いたくない。

女の子は彼氏の愚痴を自分から言うくせに、周りの友達に貶されるのはどうしてか腹が立つものだ。女の子と一括りにしてはいけないけれど、少なくともあたしとレイちゃんはそういうめんどくさいタイプの女の子だ。

もちろん、心配ではあるけれど。…レイちゃん、大丈夫かな。

ふぅ、と溜息をついてさっきまで飲んでいた缶チューハイに手を付けようとした時。

「うるせーな!!お前何時だと思ってるんだよ!!」

さっきのレイちゃんと変わらないくらいの勢いの怒声と共にドアが開いた。

「え、リカちゃん?…あれ、レイは…」

あたしを見た途端その声は明らかにトーンダウンした。レイちゃんのお兄さんの翔太くん。スウェットで現れたということは寝てたんだよね。

「あ…ごめんなさい、レイちゃん彼氏のところに…」

「え、あいつリカちゃん置いていったの?」

「ごめんなさい、ここで待ってていいって言ってくれて…」

「全然全然、リカちゃんが謝ること無いし全部あいつが…っあー頭いって」

 「え、お兄さん大丈夫ですか…?」

「大丈夫…飲みすぎたー」

額に手をついて目を閉じながら顔をしかめる翔太くん。辛そうでかわいそうなんだけど、それ以上に辛そうな顔もかっこいい…なんて思ってしまっていた。

初めてこの家で翔太くんに会った時から、あたしは密かに翔太くんに憧れていた。

背が高くて、顔もかっこよくて。少し近寄りがたいオーラがあるけれど、初めてこの家にお邪魔した時にお土産にお菓子を持って行ったらめちゃくちゃ可愛い笑顔で喜んでくれた時のギャップにやられてしまった。

そんなちょっとしたことで憧れてしまうなんて、自分の惚れやすさにバカバカしくなる。恥ずかしくてこの気持ちはあたしの心に留めているから、翔太くんの妹であるレイちゃんも知らない。

「ていうかごめんね怒鳴っちゃって」

「いえいえそんな…」

「完全に目覚めたなー。俺が飲んでなかったらリカちゃん家まで車で送ってあげれんのになぁ…」

「いえ、とんでもないです…!」

「…あいついつ帰ってくるんだろうね」

「さぁ…」

「そっかぁ。暇してるなら俺の部屋おいでよ、眠くなるまで話し相手になってくれない?」

「えぇっ…」

翔太くんにこんなこと言ってもらえるなんて。あたしの胸は高鳴った。

…けど、なに話せばいいんだろう…。緊張しちゃうのもあるけど、2人で話したことなんてないし…。ただでさえ人見知りの自分がうまく話せる自信もないし、無言の時間が続いてなんか気まずい感じになるのも申し訳ないし。色々な考えが頭の中を駆け巡り、あたしは黙りこんでしまった。

「そんなに悩まなくていいよ、リカちゃんが眠くなければ、の話だし嫌なら断ってね」

「いえ、そんな!全然、嫌じゃないです!」
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