愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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ご主人様は突然に〜夜の世界編〜1

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その人は胸に蛇を飼っていた。

***

あたしの中の性癖を目覚めさせた人について話そうと思う。

性癖、というより自分がマゾなのだということに気付かせてくれた人。

いや、マゾと言っても色んな度合いがある。ちょっと恥ずかしい言葉責めをされるのが好き、から蝋燭を使って欲しいとか血が出るまでムチで打って欲しい、血が出るまで傷付けて欲しい…とか色んな度合いがあるし、上には上がいる。あたしは軽度のマゾって感じか。

遡ると今から10年近く前になる、21の時のことだ。

あたしはその頃、バカみたいに遊びに明け暮れていた。仕事はしていたけど、遊ぶためだけに働いていた。

昼間はアパレルの正社員で、夜はキャバクラで週2、3回アルバイト。そんな生活が5年ほど続いた。ちなみに正社員はかけもち禁止なのでこっそりバイトしていた。今考えたらこっそりしていたつもりだけど周りにはバレていたと思う。同じ大阪市内のファッションビルとキャバクラで働いていたし…

アパレルは月8回休みがあったのだが、休みの日はキャバクラに働きに行っていたので30連勤とか、平気でしていた。丸一日休みでも必ず遊びに行っていたし、一日中家にいることなんて無かった。その頃の睡眠時間は1日平均3時間ほどだったと思う。栄養ドリンクが友達だったのと、お酒の飲み過ぎで胃を壊したりもしていた。

ちなみに今は1日最低7時間は眠らないと体の調子が悪くなるし、栄養ドリンクは一切飲まなくなった。

思い返せばあの頃のあたしはどれだけ元気だったのだろうと不思議だ。なぜそこまで遊びたかったのかも。若さかなぁ、やっぱり。

寝不足で眠くて仕方なかったし今は絶対にあんなこと出来ないけど、とにかく毎日が楽しかった。なんだかんだどっちの仕事も好きだったし。

大好きな服に囲まれ毎日色んな服を着て、夜は可愛いドレスを着て、大好きなお酒を飲んでなおかつお金がもらえて。

それから、あの人に出会えたし。

***

「なぁなぁあゆちゃん、明日から東京遊びに行こうや!」

キャバクラの同僚・美香がそう誘ってきたのは7月。

「いやいやいきなりは無理やって!昼仕事あるし。うーん、来月夏休み取るしそん時行こ!」

「えー早く行きたいのにぃ」

「ほな店の違う女の子と行っておいでーな…」

「ううん。あゆちゃんと行きたいし来月まで待つ!」

美香はあたしの1歳年下の、6月に20歳になったばっかりの女の子だ。美香はキャバクラ一本で働いているが、店の女の子とあまり馴染めないらしい。

あたしもキャバクラは週2、3回の出勤だったから会ったことのない子もいたし、仲が悪かったわけではないけど毎日出勤している女の子達の輪には全く入っていけなかった。

言うなればあたしと美香はあぶれた者同士。けど美香とは趣味が合ったし、プライベートでもよく遊んだ。

あゆちゃんがいないと寂しいからもっと出勤して!あゆちゃんがこーへんなら仕事行きたくない!休む!とか言ってくる美香が可愛かった。

本当に仕事を休もうとするから、店長に言われてあたしが美香を説得して無理やり出勤させていたけど。

「東京なぁ。2泊3日くらいで行こっか。あたしもなかなか連休取れへんしせっかくなら2泊くらいしたいし」

「ほんまに?2泊3日もあゆちゃんといれるんや、めっちゃ嬉しい~」

「あたしも美香ちゃんとずっと一緒にいれるん嬉しい~!」

先に言っておくが、あたしも美香もれっきとした男好きで、決してレズではないので今後百合的な展開はない。

あたしは8月のシフトで連休を取り、晴れて東京旅行に行くことになった。仕事終わりにお茶をしながら色々計画を立てたりするのが楽しかった。

「あゆちゃん、晩行きたいとこあんねんけど」

「ん?どこ?」

「歌舞伎町!」

「えー、東京でもホストいくん?」

「いいやん!あゆちゃんだって行きたいやろ!?」

「…まぁ楽しそうやんな」

「ほらー!」

あたしと美香はホストクラブに行くのが好きだった。といってもシャンパンタワー!高級ボトル!とかそういうのとは無縁で、仕事帰りに寄ってビール何杯か飲んで帰る、という感じだった。

「あゆちゃんが休みの日に歌舞伎町のホストが団体で店に来てん!社員旅行やったみたいで」

「ホストクラブに社員旅行とかあんねや…そもそも会社員ちゃうやろあの人ら…」

「まぁな。で、けっこうお金使ってくれてさ!指名してくれて、東京遊びに来たらおいでって言って名刺くれてん、ほら」

そう言って美香が名刺を差し出し、あたしはそれを覗き込んだ。

「え、まじで?歌舞伎町でめちゃくちゃ有名なとこやん!」

「そーやねん!すごいやろ」

別に何もすごくはないのだけれど当時はテレビでよくホストクラブの特番が組まれていたりして、あたし達の様な水商売の人間はおろか、そうではない人もテレビで観たことあるから知っている、というようなお店が2、3店舗あった。

美香の差し出した名刺に書かれている店の名前はその中の1つだった。

「けどめっちゃお金使わされそう。テレビで観てたらお客さん皆100万!とか200万!とか使ってるやん」

「あれはテレビやから特にお金使うお客さん呼んでるだけらしいよ。初回のセット料金だけでいいからおいでって言ってたわ」

「ほんまに?」

「ほんまにほんまに。せっかくやし有名なお店行こうよ!テレビで観たのとおんなじやー!って」

セット料金、というのはキャバクラやホストクラブにあるテーブルチャージ料的なものだ。ビール飲み放題、焼酎ボトル1本付きで1時間五千円、とかそんな感じ。

飲み放題というのはお客さんのみの話なのでキャバクラなら女の子、ホストクラブなら男の子がビールを飲むとなると1杯1000円、2000円とかかる。働いているキャストにはそのうちの2、3割の金額が自分の給料になるので皆必死でドリンクのおねだりをする。

ホストクラブに関しては初めての来店だと初回料金が適用され、だいたいどこのお店もビールの飲み放題と焼酎ボトル1本付きで2時間2、3千円。焼酎ボトルはホストと一緒に飲んでも追加料金はかからない。

本当に初回のみの料金で、2回目以降だと料金は倍以上に跳ね上がる。

最初だけ甘い蜜を吸わせてハマって通い出したらお金がどんどん吸い取られていくという、ソシャゲで言う初回10連ガチャ無料!みたいな感じだ。

今となっては下手すりゃソシャゲの方がホストクラブよりお金使わされるよな…とか思う。当時はソシャゲなんて無かったけど。

まぁ東京ならお店来てよ、とか営業されることもないし。

「よし!ほな行こ!」

「やったー!」

というわけであたしと美香の旅行プランにホストクラブに行く、というイベントが加わった。
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