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ご主人様は突然に〜夜の世界編〜2
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「ええ!?美香ちゃんそれどういうこと?」
「いやだから今日は楓くんお休みらしいわー。ごめんあゆちゃん!」
東京旅行初日の夜。美香の言っていたホストクラブに行こうとして連絡を取ると今日は休みで店にいないから明日また来てっ!と言われたらしい。
歌舞伎町に来たことが無意味になってしまった。
「もー、前もって連絡してくれてると思ってたのに…」
「ほんまごめんって~」
「どうしよっかーこれから…」
「あのー、すみません」
二人で、歌舞伎町の中にあるスーパーの前で途方に暮れていたらスーツを着た金髪の男が現れた。
背が低くて、目が細くて、自信の無さそうな表情で片手には男の子の写真が沢山載ったチラシを持っている。
ホストだ。これでホストやっていけるのかっていうぐらいに気弱そうだけど…
「もし良かったらこの近くのホストクラブなんですけどどうでしょうか…?このチラシだと2時間3千円なんですけど、もう閉店まで1時間くらいしかないから千円で大丈夫です!ぜひ…!」
「君よりかっこいい人いる?いるなら行くけど。なぁあゆちゃん」
「いますいます!僕よりかっこいい人沢山います。お願いします!来てください!」
「あんたはブサイク」って言われてる様なものなのに、そのホストは言われ慣れているのかハートが強いのか、そんな言葉には全く動じずに営業をかけてくる。
「あゆちゃん、お詫びにおごるし行こうや!ブサイクばっかりでもどうせもう行かへんねんし」
と、美香が耳打ちしてくる。「そやな。暇やし行こっか」とあたしがぼそっとつぶやくとホストの表情がぱあっと明るくなった。
「ありがとうございます!!姫達、こっちです!さあさあ!」
大丈夫かな…。ぼったくられないように気を付けないと。そう思いながらあたしと美香はそのホストについて行った。
***
「いらっしゃいませー!!!」
大袈裟なぐらいに明るく元気な声が耳に響く。席に着くとホスト二人がすぐに現れてあたし達の前に座った。
「名前教えて!」
そう言われあゆと美香、と答えるとコースターにあたし達の名前を書き始めた。
「今からいっぱいホスト回ってくるんで!名前何回も聞かれるのめんどくさいでしょ?」
ホストクラブの初回の来店では、店にいるホストのほぼ全員が順番に席に着く。大体一人15分から30分くらい。2時間となると大体4、5人…2人で来ているからその倍の10人近くと話すことになるのでいちいち名前を言わなくていいようにする為らしい。
閉店1時間前くらいに行ったので全員が回ってくるはずもなく、あっという間に帰る時間になってしまった。
「さぁ姫達!送り指名は誰にします!?」
閉店直前に席に付いたホストがあたし達に送り指名を決める様に促した。
送り指名、というのは帰る時にお見送りをして欲しいホストを指名することだ。送り指名=次回来店時の指名になるので慎重に選ばないといけないのだけど、そもそももう行くことも無いのであたしと美香は適当に選ぶことにした。
「んーじゃあたしこの人」
美香が今までもらった名刺を神経衰弱の様に全て裏返しシャッフルして1枚選んだ。
「あゆちゃんは?どうすんの?」
「…じゃああたしはあの人で!」
あたしは自分の座っている席から斜め向かいの席に向かって指を差した。
「ええっ…ハイ、了解っす…」
あたし達の席についていたホストが苦笑いで去っていき、斜め向かいの席にいるあたしが選んだホストに耳打ちをした。
まぁ仕方ないか、この席に着いてもいない、一言も喋っていない人を選んだのだから。
「えーあゆちゃん笑けるわ、喋ってもないやんあの人!適当すぎやろ」
「うーん…遠目に見てイケメンやったし」
まぁこれから会うことも無いし…と思いつつあたしはちゃっかりタイプの人を選んだ。
色が白くて目が大きくて鼻筋が通っていて、さらさらの金髪を後ろで一つにくくっているその人は王子様みたいだった。まぁ近くで見たらそうでもないかもだけど…
***
「初めましてー。一言も喋ってないのに指名してくれてありがとう」
…めっちゃかっこいいやん!!
あたしの隣に座ったその人は、遠目に見てイケメンだと思っていたけど間近で見てもめちゃくちゃイケメンでタイプだった。
芸能人でもないのにこんなに顔整った人いるんだ。お客さんにはFFに出てきそうとか言われるよー、と本人が言う通りCGで出来ているんじゃないかと思うほど整った顔立ちだった。
「いや、こっちこそいきなりごめんな!」
あたしは内心めちゃくちゃドキドキしていた。
「あれ、関西の子なの?旅行?」
「うん、そやねん!なー美香ちゃん」
焦って美香に話を振ってみたけれど、多分あたしの顔が赤くなっていたのだろう、美香はニヤニヤしながら黙っている。
「あゆちゃんっていうんだ。いつまでこっちにいるの?」
「明後日の晩に新幹線で帰るねん」
「そうなんだ。もしよかったら明日おいでよ、ゆっくり話したいし。連絡先教えて?」
「…うん」
店に入る前に美香と「連絡先聞かれたらこっちから連絡する!って言って教えんとこな。どうせ行かへんからめんどくさいし」と言っていたにも関わらずあたしはその人と連絡先を交換してしまった。
「あ、俺真悠っていいます。"あゆ"と似ててややこしいけどまゆって呼んでね。じゃまたね」
「うん。…まゆくんって呼ぶ。バイバイ」
店の前でバイバイした後、美香がニヤニヤしながら肘であたしを小突いてきた。
「ちょっとあゆちゃん、ちゃっかり番号交換してるやん!教えんとこなって言ってたくせに~」
「だってめっちゃタイプやったんやもん…」
「良かったやん!明日楓くんのとこ行った後会いに行ったら?」
「ええ…」
「いいやん、そんだけタイプの人に出会えたんやから行っといでって!良かったな、あのホストについてって!」
「うーん…まぁ考えるわ」
まさか旅先でこんなタイプの人に出会えるなんてな…。まぁホストだけど。
"今日はありがと。またね、おやすみ"
ホテルに戻った後、真悠くんから来た営業メールにどきどきしながら眠りについた。
「いやだから今日は楓くんお休みらしいわー。ごめんあゆちゃん!」
東京旅行初日の夜。美香の言っていたホストクラブに行こうとして連絡を取ると今日は休みで店にいないから明日また来てっ!と言われたらしい。
歌舞伎町に来たことが無意味になってしまった。
「もー、前もって連絡してくれてると思ってたのに…」
「ほんまごめんって~」
「どうしよっかーこれから…」
「あのー、すみません」
二人で、歌舞伎町の中にあるスーパーの前で途方に暮れていたらスーツを着た金髪の男が現れた。
背が低くて、目が細くて、自信の無さそうな表情で片手には男の子の写真が沢山載ったチラシを持っている。
ホストだ。これでホストやっていけるのかっていうぐらいに気弱そうだけど…
「もし良かったらこの近くのホストクラブなんですけどどうでしょうか…?このチラシだと2時間3千円なんですけど、もう閉店まで1時間くらいしかないから千円で大丈夫です!ぜひ…!」
「君よりかっこいい人いる?いるなら行くけど。なぁあゆちゃん」
「いますいます!僕よりかっこいい人沢山います。お願いします!来てください!」
「あんたはブサイク」って言われてる様なものなのに、そのホストは言われ慣れているのかハートが強いのか、そんな言葉には全く動じずに営業をかけてくる。
「あゆちゃん、お詫びにおごるし行こうや!ブサイクばっかりでもどうせもう行かへんねんし」
と、美香が耳打ちしてくる。「そやな。暇やし行こっか」とあたしがぼそっとつぶやくとホストの表情がぱあっと明るくなった。
「ありがとうございます!!姫達、こっちです!さあさあ!」
大丈夫かな…。ぼったくられないように気を付けないと。そう思いながらあたしと美香はそのホストについて行った。
***
「いらっしゃいませー!!!」
大袈裟なぐらいに明るく元気な声が耳に響く。席に着くとホスト二人がすぐに現れてあたし達の前に座った。
「名前教えて!」
そう言われあゆと美香、と答えるとコースターにあたし達の名前を書き始めた。
「今からいっぱいホスト回ってくるんで!名前何回も聞かれるのめんどくさいでしょ?」
ホストクラブの初回の来店では、店にいるホストのほぼ全員が順番に席に着く。大体一人15分から30分くらい。2時間となると大体4、5人…2人で来ているからその倍の10人近くと話すことになるのでいちいち名前を言わなくていいようにする為らしい。
閉店1時間前くらいに行ったので全員が回ってくるはずもなく、あっという間に帰る時間になってしまった。
「さぁ姫達!送り指名は誰にします!?」
閉店直前に席に付いたホストがあたし達に送り指名を決める様に促した。
送り指名、というのは帰る時にお見送りをして欲しいホストを指名することだ。送り指名=次回来店時の指名になるので慎重に選ばないといけないのだけど、そもそももう行くことも無いのであたしと美香は適当に選ぶことにした。
「んーじゃあたしこの人」
美香が今までもらった名刺を神経衰弱の様に全て裏返しシャッフルして1枚選んだ。
「あゆちゃんは?どうすんの?」
「…じゃああたしはあの人で!」
あたしは自分の座っている席から斜め向かいの席に向かって指を差した。
「ええっ…ハイ、了解っす…」
あたし達の席についていたホストが苦笑いで去っていき、斜め向かいの席にいるあたしが選んだホストに耳打ちをした。
まぁ仕方ないか、この席に着いてもいない、一言も喋っていない人を選んだのだから。
「えーあゆちゃん笑けるわ、喋ってもないやんあの人!適当すぎやろ」
「うーん…遠目に見てイケメンやったし」
まぁこれから会うことも無いし…と思いつつあたしはちゃっかりタイプの人を選んだ。
色が白くて目が大きくて鼻筋が通っていて、さらさらの金髪を後ろで一つにくくっているその人は王子様みたいだった。まぁ近くで見たらそうでもないかもだけど…
***
「初めましてー。一言も喋ってないのに指名してくれてありがとう」
…めっちゃかっこいいやん!!
あたしの隣に座ったその人は、遠目に見てイケメンだと思っていたけど間近で見てもめちゃくちゃイケメンでタイプだった。
芸能人でもないのにこんなに顔整った人いるんだ。お客さんにはFFに出てきそうとか言われるよー、と本人が言う通りCGで出来ているんじゃないかと思うほど整った顔立ちだった。
「いや、こっちこそいきなりごめんな!」
あたしは内心めちゃくちゃドキドキしていた。
「あれ、関西の子なの?旅行?」
「うん、そやねん!なー美香ちゃん」
焦って美香に話を振ってみたけれど、多分あたしの顔が赤くなっていたのだろう、美香はニヤニヤしながら黙っている。
「あゆちゃんっていうんだ。いつまでこっちにいるの?」
「明後日の晩に新幹線で帰るねん」
「そうなんだ。もしよかったら明日おいでよ、ゆっくり話したいし。連絡先教えて?」
「…うん」
店に入る前に美香と「連絡先聞かれたらこっちから連絡する!って言って教えんとこな。どうせ行かへんからめんどくさいし」と言っていたにも関わらずあたしはその人と連絡先を交換してしまった。
「あ、俺真悠っていいます。"あゆ"と似ててややこしいけどまゆって呼んでね。じゃまたね」
「うん。…まゆくんって呼ぶ。バイバイ」
店の前でバイバイした後、美香がニヤニヤしながら肘であたしを小突いてきた。
「ちょっとあゆちゃん、ちゃっかり番号交換してるやん!教えんとこなって言ってたくせに~」
「だってめっちゃタイプやったんやもん…」
「良かったやん!明日楓くんのとこ行った後会いに行ったら?」
「ええ…」
「いいやん、そんだけタイプの人に出会えたんやから行っといでって!良かったな、あのホストについてって!」
「うーん…まぁ考えるわ」
まさか旅先でこんなタイプの人に出会えるなんてな…。まぁホストだけど。
"今日はありがと。またね、おやすみ"
ホテルに戻った後、真悠くんから来た営業メールにどきどきしながら眠りについた。
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