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「はぁ…」
まだ5時か…。またあの時のことを夢に見て、目が覚めた。
寝る前に、今叩かれてるより昔の方がきつかった…なんて考えてたからだろうな。
辛かった時のことは何年経っても、思い返そうとすれば鮮明に思い出せる。
子供を堕ろした日付も、病院の中の様子も、あの時着ていた服も。
あの日のことをあえて思い出すことはないけど、忘れたことはない。けどたまにこうやって、忘れるなと言わんばかりに夢に出てきたりして心の奥にしまっていた記憶が一気に蘇る。
大丈夫なのに。忘れてないのに…。地元にいた頃に起こったことを思い出すとやっぱり胸が痛む。
高校生の頃の辛かった思い出の一つとして剛くんにフラれたこともあるけど、家出したこととか子供を堕ろしたことに比べたら小さくて小さくてあまりにも小さくて可愛いものだ。
剛くんのことは、ただプライドが傷付いただけの話。どうしてもフラれたことを認めたくなかったから、再会した時にそのことを聞いただけ。
だから引きずってるなんて思われるのは絶対嫌だったんだよね。
「…」
ふと、隣で寝ている蓮くんを見た。幸せそうな寝顔。…あたしのこと信用してるんだね。
高校生の頃の話をしたら蓮くんはどんな顔をするんだろうな…絶対言わないけど。
まだ寝られる時間なのに、完全に目が覚めてしまったあたしはお風呂に入って、朝ご飯を作り始めた。
普段はトーストとサラダぐらいしか食べないけど、せっかく蓮くんがいるからちゃんとしたの作るか…食材もあるし、時間もあるし。
昼からライブのリハーサルって言ってたし、しっかり食べてもらおう。
***
「おはよ…めっちゃいい匂いする」
8時ごろ、蓮くんが瞼をこすりながらリビングに入ってきた。
「おはよう、起こしちゃった?ごめんね、朝ご飯作ってた」
「ううん…何か作ってくれたの?」
料理を器に盛っているあたしの背後から蓮くんが料理を覗き込む。
「…旅館の朝ご飯みたい!めっちゃ品数あるよね?」
「えっとね鮭の塩焼きと、わかめと油揚げの味噌汁と、湯豆腐とだし巻きとサラダと…手の込んだものは作ってないよー」
「いやいや…菜々こんなの作れるんだ…。超嬉しいよ」
蓮くんがあたしを後ろから抱きしめて、頰にキスをした。
「もー、どうしたの」
蓮くんがあたしの顔を自分の方に向けさせ、唇にもキスをした。そのまま舌が絡まってきて胸に手が伸びてきて、あたしは顔を離して蓮くんの唇に手を当てて動きを止めた。
「ちょっと蓮くん…だめ」
「だめ?」
「…ご飯食べてから」
「うん、わかった。顔洗ったりしてくるね」
蓮くんがあたしをもう一度ぎゅっと抱きしめて、洗面所の方へ向かっていった。
蓮くんは、あたしが嫌とかダメとか言ったことはそれ以上絶対にしない。ちゃんと理性があるというかなんというか…
自惚れ過ぎだけど、自惚れちゃうくらい蓮くんはあたしのことが大好きって伝わってくるし、伝えてくれる。
あたしじゃなくても、他にもいい人いっぱいいるのにな。
なんだろう…蓮くんといると自信がなくなる時がある。
それなりにモテてきたし、セックスも色んな人としてきた。体目当てだとしても求められてることには変わりないしこっちだって満足してるからそれでいい。
男の子には可愛いって言われるし、自分でもそれはわかってる。体もいい体だと思う、巨乳好きにとっては。モデル向きではないけどね…
穴があれば見た目はどうでもいいっていう男もいるだろうけど、いくらどうでもよくても限界があるでしょ。
どうせなら可愛い子がいいに決まってる。女の子だってカッコいい人がいいはず。少なくともあたしはそう。だからこれからもタイプの人が現れたらセックスしてしまうと思う。っていうか、する。
蓮くんのこともセフレだと思ってたし、それなりに好きではあったけど割とどうでもいい存在だった。
本名も最近まで覚えてなかったし。今はちゃんと言えるようになった。結局蓮くんって呼んでるけど。
蓮くんと一緒に過ごす時間が増えるほど、知れば知るほど蓮くんの純粋さと愛情が眩し過ぎて消えてしまいそうになる。
なんであたしみたいな女を好きなんだろう。顔と体くらいしかいいところなくて、簡単に他の男にも体を許してしまうような最低な女を、って自分を卑下してしまう…
やめればいいだけの話だし、あたしが蓮くんのことだけを見れたらそれでいいのに。
でも、蓮くん1人じゃ満足出来なくて色んな人とセックスしてしまう。
今これだけ愛してくれていても、いつか終わりが来るんじゃないかと思ってしまう。
久志くんだってあたしのことを愛してくれていたと思うけど、子供は堕ろすことになったし、別れはあっけなかった。
「…めっちゃ美味しい…」
「ほんと?よかったぁ」
蓮くんはあたしの作った朝ごはんを美味しい美味しい、って言いながらあっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさま。菜々がこんなの作れると思わなかった…って言い方悪いよねごめん」
「いいよそんなのー、料理出来なさそう、っていうか出来ないよねって決めつけられることがほとんどだし」
いつもメイクばっちりで、髪も明るくて、露出した服装が好き。自分で言うのもなんだけどあたしの見た目はビッチっぽい。そして見た目通り。
久志くんと付き合ってる時にほぼ毎日ご飯作ってたから、同い年の他の子に比べると料理は上手いと思う。作るのも好きだし。顔と体だけと思ってたけど、一応これもあたしのいいところにはなるか。
実際蓮くんは今、ギャップにやられたのか目がハートになってるし。
「俺持ってくよ」
食器をキッチンに運ぶあたしを見て、蓮くんが立ち上がった。
「いいよそんなの」
「じゃ洗い物する」
自分が手持ち無沙汰なことを申し訳なく思ったみたいで、洗い物に水を張っているあたしの元へ来た。
「いいってば、どっちにしろ後で洗うつもりだし」
「ごめんね、全部してもらって…」
「ううん」
「…さっきの続きしてもいい?」
蓮くんがあたしの目を見つめた。
「…うん、いいよ」
蓮くん朝から元気だな…まぁ応えるあたしもあたしか。
まだ5時か…。またあの時のことを夢に見て、目が覚めた。
寝る前に、今叩かれてるより昔の方がきつかった…なんて考えてたからだろうな。
辛かった時のことは何年経っても、思い返そうとすれば鮮明に思い出せる。
子供を堕ろした日付も、病院の中の様子も、あの時着ていた服も。
あの日のことをあえて思い出すことはないけど、忘れたことはない。けどたまにこうやって、忘れるなと言わんばかりに夢に出てきたりして心の奥にしまっていた記憶が一気に蘇る。
大丈夫なのに。忘れてないのに…。地元にいた頃に起こったことを思い出すとやっぱり胸が痛む。
高校生の頃の辛かった思い出の一つとして剛くんにフラれたこともあるけど、家出したこととか子供を堕ろしたことに比べたら小さくて小さくてあまりにも小さくて可愛いものだ。
剛くんのことは、ただプライドが傷付いただけの話。どうしてもフラれたことを認めたくなかったから、再会した時にそのことを聞いただけ。
だから引きずってるなんて思われるのは絶対嫌だったんだよね。
「…」
ふと、隣で寝ている蓮くんを見た。幸せそうな寝顔。…あたしのこと信用してるんだね。
高校生の頃の話をしたら蓮くんはどんな顔をするんだろうな…絶対言わないけど。
まだ寝られる時間なのに、完全に目が覚めてしまったあたしはお風呂に入って、朝ご飯を作り始めた。
普段はトーストとサラダぐらいしか食べないけど、せっかく蓮くんがいるからちゃんとしたの作るか…食材もあるし、時間もあるし。
昼からライブのリハーサルって言ってたし、しっかり食べてもらおう。
***
「おはよ…めっちゃいい匂いする」
8時ごろ、蓮くんが瞼をこすりながらリビングに入ってきた。
「おはよう、起こしちゃった?ごめんね、朝ご飯作ってた」
「ううん…何か作ってくれたの?」
料理を器に盛っているあたしの背後から蓮くんが料理を覗き込む。
「…旅館の朝ご飯みたい!めっちゃ品数あるよね?」
「えっとね鮭の塩焼きと、わかめと油揚げの味噌汁と、湯豆腐とだし巻きとサラダと…手の込んだものは作ってないよー」
「いやいや…菜々こんなの作れるんだ…。超嬉しいよ」
蓮くんがあたしを後ろから抱きしめて、頰にキスをした。
「もー、どうしたの」
蓮くんがあたしの顔を自分の方に向けさせ、唇にもキスをした。そのまま舌が絡まってきて胸に手が伸びてきて、あたしは顔を離して蓮くんの唇に手を当てて動きを止めた。
「ちょっと蓮くん…だめ」
「だめ?」
「…ご飯食べてから」
「うん、わかった。顔洗ったりしてくるね」
蓮くんがあたしをもう一度ぎゅっと抱きしめて、洗面所の方へ向かっていった。
蓮くんは、あたしが嫌とかダメとか言ったことはそれ以上絶対にしない。ちゃんと理性があるというかなんというか…
自惚れ過ぎだけど、自惚れちゃうくらい蓮くんはあたしのことが大好きって伝わってくるし、伝えてくれる。
あたしじゃなくても、他にもいい人いっぱいいるのにな。
なんだろう…蓮くんといると自信がなくなる時がある。
それなりにモテてきたし、セックスも色んな人としてきた。体目当てだとしても求められてることには変わりないしこっちだって満足してるからそれでいい。
男の子には可愛いって言われるし、自分でもそれはわかってる。体もいい体だと思う、巨乳好きにとっては。モデル向きではないけどね…
穴があれば見た目はどうでもいいっていう男もいるだろうけど、いくらどうでもよくても限界があるでしょ。
どうせなら可愛い子がいいに決まってる。女の子だってカッコいい人がいいはず。少なくともあたしはそう。だからこれからもタイプの人が現れたらセックスしてしまうと思う。っていうか、する。
蓮くんのこともセフレだと思ってたし、それなりに好きではあったけど割とどうでもいい存在だった。
本名も最近まで覚えてなかったし。今はちゃんと言えるようになった。結局蓮くんって呼んでるけど。
蓮くんと一緒に過ごす時間が増えるほど、知れば知るほど蓮くんの純粋さと愛情が眩し過ぎて消えてしまいそうになる。
なんであたしみたいな女を好きなんだろう。顔と体くらいしかいいところなくて、簡単に他の男にも体を許してしまうような最低な女を、って自分を卑下してしまう…
やめればいいだけの話だし、あたしが蓮くんのことだけを見れたらそれでいいのに。
でも、蓮くん1人じゃ満足出来なくて色んな人とセックスしてしまう。
今これだけ愛してくれていても、いつか終わりが来るんじゃないかと思ってしまう。
久志くんだってあたしのことを愛してくれていたと思うけど、子供は堕ろすことになったし、別れはあっけなかった。
「…めっちゃ美味しい…」
「ほんと?よかったぁ」
蓮くんはあたしの作った朝ごはんを美味しい美味しい、って言いながらあっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさま。菜々がこんなの作れると思わなかった…って言い方悪いよねごめん」
「いいよそんなのー、料理出来なさそう、っていうか出来ないよねって決めつけられることがほとんどだし」
いつもメイクばっちりで、髪も明るくて、露出した服装が好き。自分で言うのもなんだけどあたしの見た目はビッチっぽい。そして見た目通り。
久志くんと付き合ってる時にほぼ毎日ご飯作ってたから、同い年の他の子に比べると料理は上手いと思う。作るのも好きだし。顔と体だけと思ってたけど、一応これもあたしのいいところにはなるか。
実際蓮くんは今、ギャップにやられたのか目がハートになってるし。
「俺持ってくよ」
食器をキッチンに運ぶあたしを見て、蓮くんが立ち上がった。
「いいよそんなの」
「じゃ洗い物する」
自分が手持ち無沙汰なことを申し訳なく思ったみたいで、洗い物に水を張っているあたしの元へ来た。
「いいってば、どっちにしろ後で洗うつもりだし」
「ごめんね、全部してもらって…」
「ううん」
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蓮くんがあたしの目を見つめた。
「…うん、いいよ」
蓮くん朝から元気だな…まぁ応えるあたしもあたしか。
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