31 / 45
30
しおりを挟む
将くんとセックスし終わって、シャワーを浴びる前に体重計に乗ってみたら最後に測った時…といっても半年前だか1年前だかよくわからないけど5キロ痩せていた。
3キロ痩せたら周りの人が気付くって言うし、自分でも言っていたけど久々に会う将くんからしたらすぐ気付くのも自然なことか。
…最近あんまり食べれてないからかな。食べれてないっていうか、吐いちゃうんだよね。
拒食症っていうわけじゃないんだけどな…お酒飲み過ぎて気分悪くて吐いちゃったりするから。決してご飯を食べたくないとかいうわけじゃないけど勝手に痩せてたんだ…
最近お酒飲まないと寝れなくなっちゃってる。お酒は好きだけどあくまで外食の時に飲むぐらいで、家で飲むほどじゃなかった。なのに今あたしの家の冷蔵庫の中にはビール、缶チューハイ、ワイン…あらゆるお酒が沢山入ってる。
「菜々、今日泊まってってもいい?」
「いいけどほんとに帰らなくて大丈夫なの?」
「大丈夫!」
将くんと奥さんはすれ違いが多いみたいで、結婚したけど家で会って話すなんてことは週に数回らしい。時期にもよるけど最近お互いの寝顔しか見てない…なんてこともザラなようだ。ドラマの撮影が終わってやっとゆっくり過ごせると思ったら次は奥さんの映画の撮影が入っちゃって全然会えない、とか。
将くんも将くんで寂しいんだろうな。
寝る前にもう一回セックスして、あたしは将くんにくっついて眠った。
寝ながら泣いていたみたいで、将くんがあたしの涙を拭ってくれているのがぼんやりとした意識の中でわかった。
夢の内容とか何にも覚えてないけど…
結局、元通りになった。自分のタイプの男なら誰でもセックスするあたしに。
変わってしまったのは、セックスした後で一人になった時に泣いてしまう様になったこと。前みたいに楽しくなくなったこと。
ほんとは剛くんがいいのに、剛くんとしかしたくないのに他の誰かに求められたらセックスしてしまう。他の人にいかされるなんて、って思いながらも気持ちよければいってしまう。
気持ちいいけど、その後は虚しくなる。自分が愚かで惨めで情けなくて涙が出る。
毎日誰かと一緒にいれるわけじゃないから一人の夜はお酒を飲んで、潰れて死んだように眠る。剛くんからの連絡は無い。いつでも電話に出れる様にずっと肌身離さずスマホを持っているのに。
もうめちゃくちゃ。心も体も。
***
「菜々さん。何てことしてくれたの」
事務所に呼ばれて面談室に入り、席に座った時の担当マネージャーの第一声。
担当マネージャーといっても、モデル部門の取りまとめをしている人というだけなので決してあたしの専属マネージャーとかではない。年はあたしより少し上なくらいで、人畜無害っぽいおとなしい感じの男の人。この人こんな言い方出来るんだー、とあたしはいたって冷静だった。
最初に顔を合わせた時から表情堅かったし、いい話じゃないんだろうなって思ってたし。
「これ見て」
マネージャーが机に置いたのは、将くんがあたしのマンションに出入りしている様子の写真だった。
ああ、撮られてたんだ。あたしは特に動揺することもなかった。
「…はぁ。これが何ですか」
「何ですかじゃなくて、これ菜々さんのマンションでしょ?」
「そうです」
「菜々さん、水嶋将人とも関係持ってたんだね…」
「昔ですけどね。っていうか、この写真じゃ相手はあたしかどうかなんてわからないと思いますけどね」
「昔は、っていうかこれ最近うちに送られてきたしちゃんと水嶋将人が菜々さんの部屋に入る写真もあるんです。次の日の朝にマンションのエントランスから出て行くところも」
更に写真を出された。…ほんとだ。あたしの顔写ってるじゃん。将くん人一倍気にしてると思ってたんだけどな…って、人のせいにしたらダメだ。
「何でこんな写真撮られたんですかね?」
「水嶋将人は遊んでるって有名だし、結婚したしそりゃ張られてるでしょ。最初はおとなしかったみたいですけど最近また遊んでるみたいだし」
「やっぱそうですよねー、遊んでそうだもん」
「菜々さんと不倫してるなんてマスコミの格好のネタですよ!蓮さんの件が落ち着いたらこれって…うちの事務所消されますよ!」
他人事のように言うあたしに苛立ったマネージャーが少し語気を強めた。
要するにこの写真を撮った記者に脅されてるってことかな。脅すとか普通に犯罪じゃないの?
将くんの事務所も脅されてるのかな。一応聞いてみようと思って将くんに電話をしたけど、“お客様のご都合によりお繋ぎできません”とアナウンスが流れた。
「水嶋さんの事務所はもうお金を払ってます。菜々さんとは連絡取らないようにきつく言われてると思いますけど」
危機感のないあたしに、マネージャーは苛立ちを露わにしながら現状を説明し始めた。
将くんの所属事務所は既に揉み消しに奔走してるらしい、かなり大きい額を払って。
今うちの事務所は将くんの事務所からお金を払ってもらっている状態だから、返済しないといけない。うちの事務所にはお金が無い。返済が出来ないなら結局うちの事務所はお終いだ、今は首の皮一枚で繋がっている状態だ、という様な話だった。
TVとかスポーツ紙に報道規制をかけられるだけで、ネットがある今はどこで広がるかわからないし揉み消したところで無駄だと思うけどな…実際将くんはあたしの家に来て、セックスしたんだし…
大して仕事もない、事務所に貢献どころか迷惑しかかけてないあたしがそんなこと言っても火に油を注ぐだけだし、黙っておいた。
思ってたより大ごとになってしまった。まぁそうか、不倫だもんね…訴えられたら負けるし。将くんが結婚した時にあれだけニュースになってたんだから“知りませんでした”は通用しないもんな…
これからどうなっちゃうんだろう。自分のことなのにあたしはまだ他人事のように感じている。
3キロ痩せたら周りの人が気付くって言うし、自分でも言っていたけど久々に会う将くんからしたらすぐ気付くのも自然なことか。
…最近あんまり食べれてないからかな。食べれてないっていうか、吐いちゃうんだよね。
拒食症っていうわけじゃないんだけどな…お酒飲み過ぎて気分悪くて吐いちゃったりするから。決してご飯を食べたくないとかいうわけじゃないけど勝手に痩せてたんだ…
最近お酒飲まないと寝れなくなっちゃってる。お酒は好きだけどあくまで外食の時に飲むぐらいで、家で飲むほどじゃなかった。なのに今あたしの家の冷蔵庫の中にはビール、缶チューハイ、ワイン…あらゆるお酒が沢山入ってる。
「菜々、今日泊まってってもいい?」
「いいけどほんとに帰らなくて大丈夫なの?」
「大丈夫!」
将くんと奥さんはすれ違いが多いみたいで、結婚したけど家で会って話すなんてことは週に数回らしい。時期にもよるけど最近お互いの寝顔しか見てない…なんてこともザラなようだ。ドラマの撮影が終わってやっとゆっくり過ごせると思ったら次は奥さんの映画の撮影が入っちゃって全然会えない、とか。
将くんも将くんで寂しいんだろうな。
寝る前にもう一回セックスして、あたしは将くんにくっついて眠った。
寝ながら泣いていたみたいで、将くんがあたしの涙を拭ってくれているのがぼんやりとした意識の中でわかった。
夢の内容とか何にも覚えてないけど…
結局、元通りになった。自分のタイプの男なら誰でもセックスするあたしに。
変わってしまったのは、セックスした後で一人になった時に泣いてしまう様になったこと。前みたいに楽しくなくなったこと。
ほんとは剛くんがいいのに、剛くんとしかしたくないのに他の誰かに求められたらセックスしてしまう。他の人にいかされるなんて、って思いながらも気持ちよければいってしまう。
気持ちいいけど、その後は虚しくなる。自分が愚かで惨めで情けなくて涙が出る。
毎日誰かと一緒にいれるわけじゃないから一人の夜はお酒を飲んで、潰れて死んだように眠る。剛くんからの連絡は無い。いつでも電話に出れる様にずっと肌身離さずスマホを持っているのに。
もうめちゃくちゃ。心も体も。
***
「菜々さん。何てことしてくれたの」
事務所に呼ばれて面談室に入り、席に座った時の担当マネージャーの第一声。
担当マネージャーといっても、モデル部門の取りまとめをしている人というだけなので決してあたしの専属マネージャーとかではない。年はあたしより少し上なくらいで、人畜無害っぽいおとなしい感じの男の人。この人こんな言い方出来るんだー、とあたしはいたって冷静だった。
最初に顔を合わせた時から表情堅かったし、いい話じゃないんだろうなって思ってたし。
「これ見て」
マネージャーが机に置いたのは、将くんがあたしのマンションに出入りしている様子の写真だった。
ああ、撮られてたんだ。あたしは特に動揺することもなかった。
「…はぁ。これが何ですか」
「何ですかじゃなくて、これ菜々さんのマンションでしょ?」
「そうです」
「菜々さん、水嶋将人とも関係持ってたんだね…」
「昔ですけどね。っていうか、この写真じゃ相手はあたしかどうかなんてわからないと思いますけどね」
「昔は、っていうかこれ最近うちに送られてきたしちゃんと水嶋将人が菜々さんの部屋に入る写真もあるんです。次の日の朝にマンションのエントランスから出て行くところも」
更に写真を出された。…ほんとだ。あたしの顔写ってるじゃん。将くん人一倍気にしてると思ってたんだけどな…って、人のせいにしたらダメだ。
「何でこんな写真撮られたんですかね?」
「水嶋将人は遊んでるって有名だし、結婚したしそりゃ張られてるでしょ。最初はおとなしかったみたいですけど最近また遊んでるみたいだし」
「やっぱそうですよねー、遊んでそうだもん」
「菜々さんと不倫してるなんてマスコミの格好のネタですよ!蓮さんの件が落ち着いたらこれって…うちの事務所消されますよ!」
他人事のように言うあたしに苛立ったマネージャーが少し語気を強めた。
要するにこの写真を撮った記者に脅されてるってことかな。脅すとか普通に犯罪じゃないの?
将くんの事務所も脅されてるのかな。一応聞いてみようと思って将くんに電話をしたけど、“お客様のご都合によりお繋ぎできません”とアナウンスが流れた。
「水嶋さんの事務所はもうお金を払ってます。菜々さんとは連絡取らないようにきつく言われてると思いますけど」
危機感のないあたしに、マネージャーは苛立ちを露わにしながら現状を説明し始めた。
将くんの所属事務所は既に揉み消しに奔走してるらしい、かなり大きい額を払って。
今うちの事務所は将くんの事務所からお金を払ってもらっている状態だから、返済しないといけない。うちの事務所にはお金が無い。返済が出来ないなら結局うちの事務所はお終いだ、今は首の皮一枚で繋がっている状態だ、という様な話だった。
TVとかスポーツ紙に報道規制をかけられるだけで、ネットがある今はどこで広がるかわからないし揉み消したところで無駄だと思うけどな…実際将くんはあたしの家に来て、セックスしたんだし…
大して仕事もない、事務所に貢献どころか迷惑しかかけてないあたしがそんなこと言っても火に油を注ぐだけだし、黙っておいた。
思ってたより大ごとになってしまった。まぁそうか、不倫だもんね…訴えられたら負けるし。将くんが結婚した時にあれだけニュースになってたんだから“知りませんでした”は通用しないもんな…
これからどうなっちゃうんだろう。自分のことなのにあたしはまだ他人事のように感じている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる