虹かけるメーシャ

大魔王たか〜し

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職業 《 勇者 》

37話 どんな姿?

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 今日はクエスト研修2日目。
 "煌めきの岩山"という場所で『ロックタートルの捕獲』が目標である。
 この山の名前の由来は、地面やそこから突き出た岩に豊富に含まれる鉱石や魔石が昼夜問わず光っていることから。
 出てくるモンスターは、邪悪な顔つきをした1mくらいの人型モンスター"ゴブリン"や、その上位種で1.8m前後の大きさで怪力の"ホブゴブリン"、鉱石を食べた結果体が硬質化したスライム"プルゴロ"、荒地にも住むトカゲ型の"ロックサラマンダー"、それに今回の目標である"ロックタートル"だ。

 そして今回教えてくれるのは、ギルドマスターデイビッドの弟子である"ワルター"という人物で、聞くところによると努力家であり人に優しく己に厳しい人格者で、格好はラフで勘違いもされやすいとか。それに、みんなに慕われていてシタデルでもよく名前を耳にする。

「──どんな人なんだろう?」

 現地集合との事なので、メーシャはひと足先に煌めきの岩山に着いていた。

「話だけだと衣服を着崩してるか、ロックな格好をした俺様系とかでしょうか?」

 少し早く来すぎてしまったふたりは、まだ見ぬワルターの様相の話題に花を咲かせていた。

「尖ってる系ね。……ノースリーブのロングコートにスラッとしたパンツと刺さりそうなブーツ、しかも全身一色の全部皮革製で統一した目つきが鋭いタダモノじゃないカンジのひとが来たらどうする?」

「ちょっとびっくりするかもですね……。でも、お優しいんでしょ?」

「そう、優しいの。でも、俺様系だよ?」

「気圧されないように今のうちに深呼吸しといた方がいいですかね? でも、みんなに慕われてるんでしょ?」

「慕われてる。でも、もしかしたらあーしより強いかも! しかも、洋画に出てくる悪役系の男前かもよ? ヒデヨシどうすんの?」

「悪役系の男前……ハンサムな感じですか?」

「そう」

「……サインもらいます。山のようなゴリゴリのマッチョも良いですが、スピードアクションが好きなので、ちゃんと筋肉が付いてるタイプの細マッチョ(ハリウッド基準)でお願いします」

 ヒデヨシはノリノリだった。
 ヒデヨシはメーシャママとよくハリウッド映画をよく見ていたので、好みにけっこううるさいタイプなのだ。

『皮は黒に近い緑で、髪はガーネットを思わせる黒、瞳はまるで黄色のアレクサンドライト。強さは神レベルだがちょ~っと不意打ちが苦手なお茶目な一面もある。慕うヒトは世界中にいて、顔はハンサムで目つきが鋭いのに少し垂れ目気味なところがかわいくてセクシー。俺様系なのに誰にでも気さくで親しみやすい。……どうだ、サイン欲しいか?』

 急に饒舌になったデウスがヒデヨシにゴキゲンに尋ねる。

「な、なんだか具体的ですね……まあ、貰えるなら」

 デウスの勢いにヒデヨシは少し引き気味だ。

「どしたのデウス。デウスもワルターさんに会えるのが楽しみなの?」

『ぁえ?! 俺様の話じゃねーの!?』

 デウスは心底驚いた風の声を漏らした。
 デウスは何故か、自分のサインが欲しいと言われて浮かれていたようだ。

「どゆこと? さっきから、あーしたちはワルターさんの姿を想像してお話ししてたんだけど……」

『でもでも、さっきから言ってる特徴って俺様のなんだけど……。てか、見た事ねーのによくそんなに具体的に分かるなーって、やっぱ同じチカラを持つもの同士で通じるものでもあんのかなーって思ったんだけど?』

「特徴ですか……?」

『そうだ。ノースリーブのロングコートとか細マッチョとか、悪役顔とか……ついでに俺様が最後に言った特徴と合わせて、俺様がヒトの姿をとった時の姿そのものだ』

「悪役顔も?」

『……そうだ。光を統べる王ってのがフィオテリーチェってのは最近知ったな? そんで、そのを統べる王"ディアマンテ"にってのがいるんだが、その子にも昔『ウロボロス殿は我と同じくらい悪そうな顔をしていて安心します』って言われたんだ。なんか複雑だったけど、まあ……悪気はないみたいだから良いかなってよ』

 基本的な属性は『炎』『水』『風』『地』『雷』『闇』『光』の7種類で、それぞれに統べるが存在する。そして、その内の光の王フィオテリーチェがこの世界で"神"として崇められているのだ。
 ただ、他の王も崇められることもあるが、フィオテリーチェのように一般的ではない。

 ちなみに、7種の属性以外にも、それに付随したいわゆる『小属性』というのもあり、例えば炎属性には熱に関連したところで『氷』だとか、地には『鋼』、光には『鏡』など、他にも色々あるが基本的にはそれらをひっくるめて語ることが多い。

「そっか……なにげにデウスの姿って初めて聞いたかも」

「ですね。正直に言えば、この目で早くその姿を見てみたいです」

『お! じゃあ、そんなヒデヨシに贈るためのスペシャルなサイン考えとかねーとな! へへっ』

「……あ、そろそろ時間じゃん」

 そんな話をしていると、いつの間にかクエストの予定時刻5分前だ。

「結局ワルターさんの予想はできませんでしたね」

『しゃーねぇ、出た特徴が100%俺様の姿だったからな。ここまで盛り上がったし、俺様もちょっと楽しみになってきたぜ』

「あ、誰か来たっぽい。あの人かな?」

 荒地の方から、染めた感じの金髪ツンツン頭で健康的な褐色肌の青年が走ってきていた。
 腰にはコンパクトな片手剣、腕には小さめの盾を装備していて、首からネックレスのようにタリスマンをぶら下げているので、少なくとも冒険者であるのは確かだ。

「──チ~ッス!」

 その青年はピッと指を立ててウインクする。

「わ、ワルターさん?」

 想像とは全く違うベクトルのラフさでヒデヨシが固まってしまう。が、その青年はおかまない無しに自己紹介を始めた。

「そう、オレちゃんこそ。君らの先輩だ! メーシャちゃんとヒデヨシちゃんだよね? つーか、遅れちゃってゴメンね! オレちゃんってばモテモテでさ、す~ぐ頼まれごとされちゃう系なんだよねぇ。……ま、オレちゃんてばこう見えてけっこー強いからサクッと終わらせたけどね! おっと、それはそれとして、ふたりとも元気しちゃってる? オレちゃんはめちゃくちゃ絶好調なパリピなんだけど、そっちはどうなの? 準備万端ダンガンレッツゴー?」

 独特な言い回しではあるが悪い人ではないらしい。

「あははっ。めちゃ軽いカンジできたかー! …初めまして、あーしはいろはメーシャで、この子がヒデヨシ。どっちも準備万端だよ。今日はよろしくだし!」

「オレちゃん先輩、よろしくお願いします!」

「おっ、ノリが良いねえ! じゃあ、焦らず気合い入れ過ぎずに研修を頑張っちゃおうぜい! おーっ!」

「「『おーっ!」」』

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