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第二章 人間の国
第26話 二人の神
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──はるか昔。
かつて、この世界には二人の神がいた。
しかし、ある時その二人の神は、其々の意見を巡って対立を始める。
一人は、愚かにも争いを繰り返す人間達は、いつまでもわかり合う事は出来ない。ならば、神の名の下に管理するべきだ。そう、主張した。
一人は、それでも、人間、亜人、魔族の三種族は、いつか分かり会える時が来る。無駄だと言って諦めず、そういう世界を目指すべきだ。そう、主張した。自分達は陰からそれを支え、ただ見守っていればいいと。
真っ向から意見が対立した二人の神は、やがて、世界の覇権を巡り争う様になる。
実力の拮抗した二人の神が、互いに力の源としているのは、人々の信仰心。
人は神の管理下にあるべきと主張した神……『純血の神』は、自らへの信仰心を広める為、素養のある人物全てに能力を授けた。これが、今で言う一般能力である。
一方、神は各種族を支え、静かに見守るべき。そう主張した神……『混血の神』は、自らも望んだ、種族間による争いのない世界……それを象徴する様な、異種族の間に生まれた新しい命に能力を授けた。それが、固有能力。
強力な能力こそ持つ物の、まだまだ数の少ない混血者に対し、ほぼ全ての人類に能力を授けた、純血の神への信仰は爆発的に高まった。本来、経験値さえ積めば、ある程度の能力は得る事が出来る。純血の神はそれを利用して、蓄積された経験値を持つ人々の能力を、わかりやすい能力と言う力に置き換えたのだ。
当然、戦いは圧倒的な信仰の数を手に入れた、純血の神に軍配が上がる。そして、人々は、より純血の神を称え、崇める様になった。逆に、純血の神に逆らった混血の神は、邪神と人々に呼ばれる様になる。それは、混血者が邪神を崇める者として、忌み嫌われ、差別され始める世界の誕生を意味した。
この頃を境に、純血の神が世界で唯一の神として君臨する時代が幕を開けたのだ。
長い年月を経て、人々は一般能力を得る為の経験値すらも、純血の神からの恩恵だと考え始めた。『純血教』が誕生した為である。やがて、純血教は全世界に広まり、全ての恩恵は、純血の神からの授かり物だと考えられる様になった。死すとその魂は神の下に帰ると言われる、魔物等を倒すと得られる経験値さえも。
純血教の洗礼、つまりは純血の神を信仰しない者は、そもそも一般能力すら得られない。まして、熟練度が上がる等は以ての外。そう考えられる様になったのは、この教えが原因だった。
一方、戦いに敗れた混血の神は、その能力を失い、この世界からひっそりと姿を消した。自らが期待して固有能力を授けた、次世代を担う筈だった子供達に未来を託して──。
かつて、この世界には二人の神がいた。
しかし、ある時その二人の神は、其々の意見を巡って対立を始める。
一人は、愚かにも争いを繰り返す人間達は、いつまでもわかり合う事は出来ない。ならば、神の名の下に管理するべきだ。そう、主張した。
一人は、それでも、人間、亜人、魔族の三種族は、いつか分かり会える時が来る。無駄だと言って諦めず、そういう世界を目指すべきだ。そう、主張した。自分達は陰からそれを支え、ただ見守っていればいいと。
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強力な能力こそ持つ物の、まだまだ数の少ない混血者に対し、ほぼ全ての人類に能力を授けた、純血の神への信仰は爆発的に高まった。本来、経験値さえ積めば、ある程度の能力は得る事が出来る。純血の神はそれを利用して、蓄積された経験値を持つ人々の能力を、わかりやすい能力と言う力に置き換えたのだ。
当然、戦いは圧倒的な信仰の数を手に入れた、純血の神に軍配が上がる。そして、人々は、より純血の神を称え、崇める様になった。逆に、純血の神に逆らった混血の神は、邪神と人々に呼ばれる様になる。それは、混血者が邪神を崇める者として、忌み嫌われ、差別され始める世界の誕生を意味した。
この頃を境に、純血の神が世界で唯一の神として君臨する時代が幕を開けたのだ。
長い年月を経て、人々は一般能力を得る為の経験値すらも、純血の神からの恩恵だと考え始めた。『純血教』が誕生した為である。やがて、純血教は全世界に広まり、全ての恩恵は、純血の神からの授かり物だと考えられる様になった。死すとその魂は神の下に帰ると言われる、魔物等を倒すと得られる経験値さえも。
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