追放されたFランク荷物持ち、ダンジョン管理人になり裏切り者を配信刑に処す。国家権力すら養分にする最強無双

葉山 乃愛

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第15話 ダークエルフの亡命? いいえ、それは「夜のお供」ガチャです

「お兄ちゃん、すごーい! DP(ダンジョンポイント)の桁が、また増えてるよ!」


エルゼ王国を「物理的」に併合し、司令室に戻った俺たちを迎えたのは、システムからの祝福(ファンファーレ)だった。


【王国制圧ボーナス:10,000,000 DPを獲得】

【称号『国盗り公』を獲得】

【新機能『異種族移民受け入れ』が解放されました】


「一千万ポイント……。これ、もう一生遊んで暮らせるな」


俺はふかふかのソファに沈み込み、エルルフが淹れたアイスコーヒーを啜った。

モニターの向こうでは、元国王ガルドが市民たちによって順調に「換金」されている様子が映し出されている。

彼が殴られるたびにチャリンチャリンと金貨が舞う光景は、見ていて心が洗われるようだ。


「ねえ、お兄ちゃん。……早速だけど、お客さんだよ」


ミオがタブレットを操作し、サブモニターに映像を映し出す。

それは、旧王都――現在は『ダンジョン都市カイト・第101階層』となった街の入り口付近。


そこに、ボロボロのフードを被った集団が、おずおずと近づいてくる姿があった。


「……誰だ? 物乞いか?」


俺が眉をひそめると、ミオが解析データを表示した。


『種族:ダークエルフ、ワーウルフ、ドワーフ……etc』

『所属:なし(放浪者)』

『状態:極度の疲労、空腹、警戒心MAX』


ダークエルフ。

褐色の肌と、銀色の髪を持つ、夜の住人たち。

地上の人間国家では「魔族の手先」として忌み嫌われ、見つかれば即処刑か奴隷にされる不遇な種族だ。


「ふーん。……リリアーヌ(光のエルフ)の次は、ダークエルフか」


俺はニヤリと笑った。

光と闇。両方揃えるのがコレクターの嗜みというものだろう。

それに、ドワーフがいるなら、武器の鍛冶や建築も任せられる。


「よし。……面接(オーディション)だ、ミオ」


「了解。威圧感マシマシで行くね」


ミオがキーボードを叩く。

街の入り口に、巨大なホログラムゲートが出現した。



    

「ねえ、姉さん……本当にここなの? 『楽園』って……」


ダークエルフの少女が、震える声でリーダーの女性に尋ねる。

リーダーの女性――セレンは、背負った大弓を握りしめ、目の前の異様な光景を睨みつけていた。


かつての薄汚れた王都は消え失せ、そこには見たこともない白亜の高層ビル群と、クリスタルタワーがそびえ立っている。

そして何より、街全体から溢れ出す「魔力」の濃度が異常だった。


「……噂は本当だったみたいね。人間どもが言っていたわ。『魔王が国を盗った』って」


セレンは唇を噛んだ。

私たち『ハグレ』には、行く当てがない。

帝国の追手はすぐ後ろまで迫っている。

一か八か、この新しい支配者に賭けるしかなかった。


「入るわよ。……もし魔王が暴君なら、私が囮になる。その隙にみんなは逃げて」


セレンが決意を固め、境界線に足を踏み入れた瞬間。


ズズズズズ……!


空が暗転し、巨大な「目」が虚空に浮かび上がった。


『――ようこそ、闇に生きる者たちよ』


脳内に直接響くような、重低音の声。

そして、目の前に漆黒の影を纏った男(カイト)のアバターが現れた。


「っ! か、構えろ!」


セレンが弓を引き絞る。

だが、男は動じない。むしろ、その赤い瞳で、彼女たちを品定めするように舐め回した。


『ほう。……いい目をしている』

『飢えているな? 憎んでいるな? 自分たちを捨てた世界を』


「……だったら何よ! 私たちを笑いに来たの!?」


セレンが叫ぶ。


『笑う? まさか』


カイトが指を鳴らす。

すると、セレンたちの目の前に、湯気を立てる「何か」が出現した。


それは、焼きたてのパンと、具沢山のシチュー。

そして、冷えた果実水(ジュース)だった。


「え……?」


『面接会場へようこそ』

『条件は一つだ。……俺に忠誠を誓い、その能力(スキル)を俺のために使うこと』

『そうすれば、衣食住、そして「復讐」の機会も提供しよう』


食べ物の匂いが、極限状態の彼女たちの鼻腔をくすぐる。

後ろにいた幼い獣人の子供が、耐えきれずにパンに手を伸ばした。


「あ、こら!」

「う……うまい! これ、ふわふわだ!」


子供がパンを頬張り、満面の笑みを浮かべる。

毒など入っていない。ただただ、美味しいだけの食事。


セレンの弓を持つ手が下がる。

この男は、圧倒的な強者だ。

私たちを殺すのに、わざわざ毒など使う必要もない。


「……本当に、私たちを受け入れるの? ダークエルフよ? 『呪われた種族』よ?」


『呪い? くだらない』


カイトは鼻で笑い、全世界に向けて配信されているカメラに向かって言い放った。


『肌の色が黒かろうが、耳が尖っていようが関係ない』

『俺の国では「有能か無能か」、それだけが全てだ』


そして、彼はセレンに手を差し伸べた。


『来い。……お前たちの弓の腕、俺の「城壁」として雇ってやる』


セレンの目から、涙が溢れた。

地上では、石を投げられ、唾を吐きかけられた。

誰一人として、自分たちの価値を認めてはくれなかった。

それなのに、この魔王は。


「……誓います」


セレンはその場に膝をつき、深く頭を垂れた。


「この命尽きるまで、貴方様に弓を捧げます……! 我が主(マスター)!」


「「「おおおおお!!」」」


背後の亜人たちも、次々と平伏する。

ダンジョン都市に、新たな「最強の衛兵隊」が誕生した瞬間だった。


《はい、採用》

《ダークエルフ姉さん、イケメンすぎる》

《管理人、守備範囲ひろいなw》

《褐色エルフ×光のエルフとか、属性コンプする気か?》

《帝国ざまぁwww 優秀な人材が流出してますよー》


俺は満足げに頷き、配信を切った。


「ミオ。彼女たちの住居区画を用意しろ。……『地下森林エリア』なんてどうだ?」


「了解! キノコがいっぱい生えてる幻想的な森にするね!」


「ああ、それと……」


俺はセレンの、引き締まった腹筋と褐色の太ももを思い出し、少し声を落とした。


「あのリーダー、後で司令室に呼べ。……詳しい『面接』が必要だからな」


「……お兄ちゃん?」


背後から、氷点下の声が聞こえた。

振り返ると、ミオがジト目で俺を見ている。

その手には、なぜか巨大なハサミ(システムアイコン)が握られていた。


「やましいこと、考えてないよね?」


「も、もちろん! 純粋な戦力把握だ!」


「ふーん……。ま、いっか」


ミオはハサミを消し、ニッコリと笑った。


「もし浮気したら、お兄ちゃんの『聖剣(エクスカリバー)』、へし折るからね♡」


「……はい」


世界最強のダンジョンマスターも、妹のヤンデレには勝てないらしい。


こうして、ダンジョン都市カイトは、光のエルフと闇のエルフ、そして最強のヤンデレ妹を抱え、さらにカオスな発展を遂げようとしていた。


だが、そんな平和(?)な日常を、外の世界が放っておくはずもなかった。


『警告。旧エルゼ王国領土の国境線に、帝国の第二軍団が接近中』

『さらに、上空には「勇者パーティ」の飛空艇を確認』


「……勇者?」


俺は眉をひそめた。

Sランク(笑)のレオンとは格が違う、本物の「人類の希望」。

そいつらが、わざわざ出張ってきたらしい。


「ミオ。……面白い客が来たぞ」


「うん。……新しい実験台だね」


俺たちは顔を見合わせ、凶悪な笑みを浮かべた。

次なるショータイムの演目は、『勇者狩り』だ。
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