追放されたFランク荷物持ち、ダンジョン管理人になり裏切り者を配信刑に処す。国家権力すら養分にする最強無双

葉山 乃愛

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第28話 神々の秘境、たった1日で『超高級リゾート』に再開発される。原住民はサウナで整う

「右よし! 左よし! もっと最高級の大理石を運べ! カイト様をお待たせするな!」


地球、旧エルゼ王国に位置するゴルドフ商会の巨大倉庫。

かつて大陸の経済を牛耳っていたふくよかな会長ゴルドフは、今や作業用のヘルメットを被り、血走った目で現場監督として声を張り上げていた。


彼らの目の前には、巨大な「影の沼」が口を開けている。
『シャドウ・デリバリー』の入り口だ。

商会の全財産と人脈を総動員してかき集めた、最高級のベッド、ふかふかのソファ、最新式の魔導家電、そして大量の建築資材が、次々と影の沼へと放り込まれていく。


「急げ! 納品が1秒でも遅れたら、我々は魔王様のリュックサック(インベントリ)に収納されてしまうぞ!」


ゴルドフの悲痛な叫びと共に、地球の物資が異次元へと湯水のように送られていった。



          

一方、その頃。
異次元『アヴァロン』の世界樹周辺は、凄まじい轟音に包まれていた。


ズズズンッ! ガガガガガ!


「お兄ちゃん、資材届いたよ! ガンガン組み立てるね!」


ミオが司令室のデスクに座るような気軽さで、空中に展開したタブレットをタップする。

すると、地球から転送されてきた鋼鉄やガラス、大理石が、宙に浮き上がり、まるでブロック遊びのように自動で組み上がっていく。
基礎工事や重機の代わりを務めるのは、さきほど魔獣の群れを蹂躙したばかりの【SSR:機巧巨兵(オリハルコン・ゴーレム)】たちだ。

彼らの圧倒的なパワーと、ミオの演算能力(チート)が合わさることで、本来なら数年かかる巨大建築が、わずか数時間で形作られていく。


「お、おおお……なんという神の御業……」


星の民のリーダーである青年アルトが、腰を抜かしたままその光景を見上げていた。
他の原住民たちも、完全に思考が停止している。


彼らが何千年も守ってきた神聖なる世界樹。
その根本をぐるりと囲むように、全面ガラス張りの『超高層リゾートホテル』が爆誕しつつあったのだ。


「ミオ、最上階のスイートルームはどうなってる?」


俺はインベントリから取り出したビーチチェアに寝そべり、冷えたコーラを飲みながら尋ねた。


「完璧だよ! 露天風呂付きで、お湯は世界樹の朝露とマナをブレンドした特製温泉! もちろん、ドライサウナと水風呂も完備!」


「最高だ。魔獣(ゴミ)掃除の後は、しっかり『整う』に限るからな」


俺が満足げに頷くと、リリアーヌが目を輝かせて駆け寄ってきた。


「カイト様! 一階のレストランフロアも完成しました! 地球の食材と、アヴァロンの霊草を組み合わせたフルコースが出せるそうです!」


彼女はすっかり「ホテルのお嬢様」モードだ。


俺はカメラドローンを起動し、完成間近のリゾートホテルを全世界に配信した。


【タイトル】
【異世界DIY】運営から巻き上げた未開の次元(魔境)を、1日でハワイ級の超高級リゾートにしてみた【原住民もドン引き】


《DIYの規模じゃねえwww》
《世界樹の周りに高層ホテル建てるなww景観保護法違反だろ!》
《ゴルドフ商会、完全にAmazonの倉庫扱いで草》
《ゴーレムが土方やってるのシュールすぎる》
《一泊いくらですか!? 全財産払うので泊まらせてください!》
《カイト神、創造神にジョブチェンジ》


配信のコメント欄は、驚愕と羨望の嵐だった。


「よし、アルト。お前らも中に入れ」


俺は呆然としている星の民のリーダーに声をかけた。


「えっ!? 我々のような土着の民が、神の御殿に足を踏み入れてもよろしいのですか!?」


「ここは俺の別荘だ。管理を任せる以上、お前らには従業員(スタッフ)兼、最初の客になってもらう」


俺は彼らを、完成したばかりの大浴場へと案内した。

最新式の魔導ボイラーで温められた、世界樹のマナたっぷりの温泉。
そして、ヒノキの香りが漂うサウナ室。


数十分後。


「あ、あぁぁぁ……溶けるぅぅぅ……」


星の民の戦士たちが、サウナ後の水風呂を経て、露天風呂の縁で完全に「整って」いた。

屈強な戦士たちが、だらしない顔で白目を剥き、よだれを垂らしている。
未開の次元で過酷なサバイバルをしてきた彼らにとって、現代日本の「温浴施設」は、脳の処理能力を超える快楽だったらしい。


「カ、カイト神よ……。この温かい水と、熱い部屋……ここは天国ですか……?」


アルトがタオルを頭に乗せ、恍惚とした表情で呟く。


「いや、ただのサウナだ」


俺は呆れながら、風呂上がりのコーヒー牛乳を彼らに差し出した。
星の民たちはそれを一口飲むなり、再び「おおおお!」と歓喜の涙を流し始めた。



          

その頃。
俺たちが優雅にリゾートを満喫している映像を、血の涙を流しながら見つめている者たちがいた。


『……嘘だろ。あそこは、生存確率0.0001%の最悪の廃棄次元だぞ……?』


多元宇宙管理機構・第十三セクター。
真っ白な空間で、光のシルエットを持つオペレーターたちが、頭を抱えて絶叫していた。


『星喰いの群れをワンパンで消滅させただと!? それにあの建造物はなんだ! 世界樹をリゾートホテルの観葉植物扱いしているぞ!』

『だ、駄目です! あんなふざけた配信のせいで、他の次元の神々から「あのリゾートに行きたい」という予約の問い合わせが殺到しています!』


管理機構の思惑は完全に外れた。

厄介払いとして、絶対に生き残れないバグだらけの次元を押し付けたはずだった。
だが、あのFランクの荷物持ちとヤバい妹は、それをたった一日で「多元宇宙一の最高級リゾート」へと変え、あろうことか大繁盛させようとしているのだ。


『くそっ……! これ以上、あのイレギュラーを放置するわけにはいかん……!』


オペレーターの長らしきシルエットが、拳を震わせながらコンソールを叩いた。


『直ちに「上位次元」の神軍を動かせ。……あのふざけたリゾートホテルを、チェックインされる前に跡形もなく破壊するのだ!』


多元宇宙の運営が、ついに本格的な「武力介入」を決断した瞬間だった。
だが彼らはまだ知らない。
俺のリュックサック(インベントリ)の中には、いざという時のための「さらにヤバい兵器」が無限にストックされているということを。
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