追放されたFランク荷物持ち、ダンジョン管理人になり裏切り者を配信刑に処す。国家権力すら養分にする最強無双

葉山 乃愛

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第29話 運営から「違法建築なので撤去します」と警告が来た。うるせえ、こっちはオープン準備で忙しいんだよ!

「……ふぅ。最高の湯加減だったな」


アヴァロン・リゾート、最上階のロイヤルスイート。

世界樹の朝露を使った露天風呂から上がった俺は、バスローブを羽織り、眼下に広がる絶景を見下ろしていた。


再生した世界樹がエメラルドの光を放ち、その周囲には俺たちが一日で築き上げた白亜のホテル群と、整備された美しいビーチ(元は荒地だった場所に、地球の海水を転移させた)が広がっている。


「カイト様! ルームサービスの試食をお持ちしました! 『世界樹の実のタルト』と『アヴァロン産マンゴーのパフェ』です!」


リリアーヌがメイド服(ミオの趣味)に身を包み、ワゴンを押して入ってくる。
彼女はすっかりリゾートの支配人気取りだ。


「お兄ちゃん、予約システムの方も完璧だよ」


ソファでは、ミオがタブレットを操作しながらくつろいでいる。


「地球の富豪たちだけじゃなくて、他の次元の神様とか、精霊王とかからも問い合わせが殺到してる。『一泊いくらでも払うから、あのサウナに入らせろ』だって」


「上々だな。オープン初日から満室確定か」


俺はマンゴーパフェを一口食べた。濃厚な甘みと、魔力の痺れるような刺激が絶妙だ。
これで、地球のダンジョン都市に続く、盤石な第二の経済基盤が完成したことになる。


だが。
そんな優雅なリゾートの空気を、無粋なサイレンが切り裂いた。


ウゥゥゥゥゥン!!!


『警告。アヴァロン次元上空に、大規模な空間歪曲反応』
『識別コード:多元宇宙管理機構・直属精鋭部隊『神聖執行軍』』


「……あ?」


俺が眉をひそめて空を見上げる。
美しいエメラルドの空が、突如として金色に輝き出した。


ズズズズズ……!


雲が割れ、そこから姿を現したのは、全長数キロメートルにも及ぶ巨大な黄金の戦艦だった。
船体には神々しい彫刻が施され、周囲を無数の天使の騎士団が護衛している。
まさに「神の軍勢」そのものだ。


戦艦の艦橋部分から、巨大なホログラム映像が空中に投影された。
映し出されたのは、白銀の鎧に身を包んだ、いかにも堅物そうな神族の男だった。


『聞け! 違法居住者、九条カイトよ!』


男の声が、アヴァロン全土に雷鳴のように響き渡る。


『我は多元宇宙管理機構・第十三セクター保安局長、神将ヴァルガス!』
『貴様は管理機構を欺き、危険な廃棄次元を不法に占拠! あまつさえ、世界樹を私物化し、下品な建造物を建てるという暴挙に出た!』


地上の星の民たちが、神の威圧に震え上がり、再び平伏している。
だが、俺はパフェのスプーンを咥えたまま、面倒くさそうに耳をほじった。


『直ちに武装解除し、この次元から退去せよ! さもなくば、この神聖戦艦『ジャッジメント』の主砲により、貴様のリゾートごと消滅させる!』


「……だってさ、ミオ」


俺は隣の妹に視線を向けた。
ミオはタブレットから顔も上げずに答えた。


「あの戦艦の主砲、エネルギー充填率120%。……撃ったらアヴァロンの地表が半分吹き飛ぶね。威力だけなら、地球の核兵器の数万倍」


「へえ。物騒なモン持ち歩いてるな、運営さんは」


俺はため息をつき、配信カメラドローンを起動した。
せっかくのリゾート開業前夜だ。派手な「余興」が必要だろう。


【タイトル】
【悲報】リゾートオープン前日に、運営が「戦艦で撤去しに来る」という嫌がらせをしてきた件【営業妨害だろ】


《運営ブチギレで草》
《いきなり最終戦争みたいなのが始まったぞ!?》
《神将とか出てきたwww》
《戦艦デカすぎ! 地球の比じゃねえ!》
《カイト神、どうする!?》


俺はテラスに出て、上空の巨大ホログラムに向かって手を振った。


「よう、保安局長さん。……随分と騒々しいチェックインだな」


『貴様……! 神の慈悲を愚弄するか!』


ヴァルガスが激昂する。


『よかろう! そのふざけたホテルと共に、塵となるがいい! 主砲、発射用意!』


黄金の戦艦の船首が開き、太陽のような眩い光が収束していく。
アヴァロンの空が焦げ付き、大気が悲鳴を上げる。
星の民たちが絶望の悲鳴を上げた。


だが、俺はバスローブのポケットに手を突っ込んだまま、一歩も動かない。


「ミオ、あれ、うちのホテルの雰囲気に合わないな」


「うん。金ピカすぎて趣味悪いね」


「だよな。……ちょっと『模様替え』するか」


俺が右手を空に掲げた、その瞬間。


ドォォォォォォン!!!


戦艦の主砲が発射された。
世界を終わらせる光の奔流が、俺たちに向かって一直線に迫る。


【スキル:無限収納(インベントリ)・強制収容(フル・キャプチャー)】


俺の掌の上空に、戦艦よりも巨大な、超弩級の「漆黒の穴」が開いた。


「なっ……!?」


ホログラムのヴァルガスが目を見開く。


放たれた破滅の光は、俺に届く前に、すべて巨大な穴の中へと吸い込まれていった。
だが、それだけでは終わらない。


ズゴゴゴゴゴ……!


穴から発生したデタラメな引力が、光を放った直後の戦艦『ジャッジメント』そのものを捉えた。


『ば、馬鹿な!? 我が神聖戦艦が……引き寄せられている!?』
『エンジン最大出力! 後退しろ! 後退だぁぁぁ!』


全長数キロの超巨大戦艦が、まるで掃除機に吸われる玩具のように、艦首からズズズッと漆黒の穴へと飲み込まれていく。
周囲の天使騎士団も、悲鳴を上げながら一緒に吸い込まれた。


「ちょ、ちょっとサイズがデカすぎるけど……まあ、入るだろ。俺のリュックは無限だしな」


俺が軽く拳を握ると、戦艦の最後のパーツが穴の中に消え、空には青空だけが戻った。


シーン……。


アヴァロンに、再び静寂が訪れた。


《は????????》
《戦艦が……消えた?》
《収納した!? あのサイズを!?》
《リュックサックの概念壊れる》
《運営の最終兵器、在庫処分(インベントリ行き)www》
《これもうブラックホールだろ》


俺は呆然としているホログラムのヴァルガスに向かって、ニヤリと笑いかけた。


「おい、局長さん。……素敵な『オブジェ』の寄贈、ありがとな」


俺は再びインベントリを開き、先ほど収納した戦艦を、今度はリゾートホテルの横の海上に出現させた。
ドッポォォォン!!と巨大な水柱が上がる。


「ちょうど、海の上に浮かぶ『水上レストラン』が欲しかったんだ。……これ、使わせてもらうわ」


俺の言葉に、ヴァルガスはパクパクと口を開閉させ、そして泡を吹いて気絶した。
ホログラムがプツンと消える。


「リリ、聞いたか? 新しい施設が増えたぞ」
「は、はい! 直ちに内装を改装し、神々の戦艦をテーマにしたレストランをオープンさせます!」


リリアーヌが目を輝かせてメモを取る。


こうして、多元宇宙運営による第一次武力介入は、「リゾートの設備が豪華になっただけ」という結果に終わった。
だが、これはまだ始まりに過ぎない。
メンツを潰された運営が、さらなる上位の存在――本物の「神」を送り込んでくるのは、時間の問題だった。
感想 3

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