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「MP消費ゼロの役立たず」と追放されましたが、私が全魔力を注いで封印していたのは、貴方が拾った『魔剣の呪い(毎秒激痛)』です。
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「おい、アレン。お前は今日でパーティーを抜けろ」
宿屋の食堂で、勇者レオが突然そう告げた。
彼はテーブルに足を乗せ、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
「……理由を聞いても?」
「理由? そんなの決まってるだろ。お前が『役立たず』だからだ! 戦闘中、後ろで突っ立ってるだけで、魔法の一つも撃たないじゃないか。ステータス画面を見ても、お前のMPは常に『0』だ。魔法使いのくせに魔力が空っぽなんて、詐欺にも程があるぞ」
レオの隣に座っている聖女のマリアも、軽蔑したような目で私を見ていた。
「そうよアレン。貴方がいると経験値の分配も減るし、正直お荷物なの。レオ様の偉大な剣技の足手まといにならないでくれる?」
私は深いため息をついた。
彼らは何も分かっていない。いや、説明しても聞こうとしなかったのは彼らの方だ。
「レオ。君が腰に下げているその黒い剣。ダンジョンの宝箱から拾った『魔剣グラム』のことだけど」
「ああ? 俺の最強の武器がどうした。これのおかげで俺たちは連戦連勝だ。お前の貧弱な魔法より、この剣の一撃の方が遥かに強いんだよ」
「その剣は、装備者の感覚神経に直接干渉して『絶え間ない激痛』を与える呪いがかかっているんだ。さらに、装備者の魂を少しずつ削り取る効果もある」
「はっ! 何を言い出すかと思えば。俺は痛くも痒くもないぞ? 嫉妬して嘘をつくのはやめろよ、見苦しい」
レオは呆れたように肩をすくめた。
「痛くないのは当然だ。私が『痛覚遮断』と『呪詛封印』の魔法を、常時発動させ続けていたからね」
「……は?」
「私の最大MPは本来、宮廷魔導師を超える5000ある。その全てを、君の剣の呪いを抑え込むためだけに使っていたんだ。だから戦闘中はMPが『0』になっていたし、他の魔法を使う余裕もなかった。君が夜、ぐっすり眠れているのも、私が寝ずに封印を維持していたおかげだ」
私は席を立った。
もう、これ以上尽くす義理はないだろう。
「でも、追放されるならその必要もありませんね。私も自由になりたいですし」
「ま、待て! ハッタリだろ!? そんな魔法、聞いたことも……」
「じゃあ、試してみればいい。封印、解除」
私は指をパチンと鳴らした。
その瞬間、私とレオの間を繋いでいた魔力のパスが断ち切られた。
ドクンッ。
レオの体が大きく跳ねた。
「が、ぁ……!?」
「レオ様!?」
「あ、ぐあああああああっ!? い、痛いッ! 体が、焼けるッ! 腕がぁぁぁッ!!」
レオは椅子から転げ落ち、床を転げ回り始めた。
まるで火のついた炭の上を転がっているかのように、喉が裂けんばかりの絶叫を上げる。
「な、なによこれ!? レオ様、どうしたの!?」
「け、剣だ……剣が、肉を……食い破って……ぎゃあああああ!!」
魔剣がどす黒い光を放ち、レオの腕に絡みつくような脈動を始めている。
今まで私が抑えていた分の『代償』を一気に回収し始めたのだ。
「言ったでしょう。それは『毎秒激痛』の呪いだと。私がいたから君は勇者でいられたんだ」
私は荷物をまとめ、出口へと向かった。
「アレン! アレン、戻って! なんとかしてよ! レオ様が死んじゃう!」
マリアが涙目で叫ぶが、私は冷たく振り返った。
「聖女様の回復魔法でなんとかすればいいでしょう。私のような『役立たず』は、これにて失礼します」
「そ、そんな……いやだ、助けて……!」
「あああああ! アレン! 頼む、戻ってくれぇぇぇ!!」
勇者の絶叫と、聖女の悲鳴を背に受けて、私は宿屋の扉を開けた。
外の空気は澄んでいて美味しい。
呪いの制御から解放された私の体には、膨大な魔力が溢れかえっている。
これなら、次はもっと待遇の良いSランクパーティーに入れるだろう。
私は一度も振り返らず、新しい人生への第一歩を踏み出した。
宿屋の食堂で、勇者レオが突然そう告げた。
彼はテーブルに足を乗せ、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
「……理由を聞いても?」
「理由? そんなの決まってるだろ。お前が『役立たず』だからだ! 戦闘中、後ろで突っ立ってるだけで、魔法の一つも撃たないじゃないか。ステータス画面を見ても、お前のMPは常に『0』だ。魔法使いのくせに魔力が空っぽなんて、詐欺にも程があるぞ」
レオの隣に座っている聖女のマリアも、軽蔑したような目で私を見ていた。
「そうよアレン。貴方がいると経験値の分配も減るし、正直お荷物なの。レオ様の偉大な剣技の足手まといにならないでくれる?」
私は深いため息をついた。
彼らは何も分かっていない。いや、説明しても聞こうとしなかったのは彼らの方だ。
「レオ。君が腰に下げているその黒い剣。ダンジョンの宝箱から拾った『魔剣グラム』のことだけど」
「ああ? 俺の最強の武器がどうした。これのおかげで俺たちは連戦連勝だ。お前の貧弱な魔法より、この剣の一撃の方が遥かに強いんだよ」
「その剣は、装備者の感覚神経に直接干渉して『絶え間ない激痛』を与える呪いがかかっているんだ。さらに、装備者の魂を少しずつ削り取る効果もある」
「はっ! 何を言い出すかと思えば。俺は痛くも痒くもないぞ? 嫉妬して嘘をつくのはやめろよ、見苦しい」
レオは呆れたように肩をすくめた。
「痛くないのは当然だ。私が『痛覚遮断』と『呪詛封印』の魔法を、常時発動させ続けていたからね」
「……は?」
「私の最大MPは本来、宮廷魔導師を超える5000ある。その全てを、君の剣の呪いを抑え込むためだけに使っていたんだ。だから戦闘中はMPが『0』になっていたし、他の魔法を使う余裕もなかった。君が夜、ぐっすり眠れているのも、私が寝ずに封印を維持していたおかげだ」
私は席を立った。
もう、これ以上尽くす義理はないだろう。
「でも、追放されるならその必要もありませんね。私も自由になりたいですし」
「ま、待て! ハッタリだろ!? そんな魔法、聞いたことも……」
「じゃあ、試してみればいい。封印、解除」
私は指をパチンと鳴らした。
その瞬間、私とレオの間を繋いでいた魔力のパスが断ち切られた。
ドクンッ。
レオの体が大きく跳ねた。
「が、ぁ……!?」
「レオ様!?」
「あ、ぐあああああああっ!? い、痛いッ! 体が、焼けるッ! 腕がぁぁぁッ!!」
レオは椅子から転げ落ち、床を転げ回り始めた。
まるで火のついた炭の上を転がっているかのように、喉が裂けんばかりの絶叫を上げる。
「な、なによこれ!? レオ様、どうしたの!?」
「け、剣だ……剣が、肉を……食い破って……ぎゃあああああ!!」
魔剣がどす黒い光を放ち、レオの腕に絡みつくような脈動を始めている。
今まで私が抑えていた分の『代償』を一気に回収し始めたのだ。
「言ったでしょう。それは『毎秒激痛』の呪いだと。私がいたから君は勇者でいられたんだ」
私は荷物をまとめ、出口へと向かった。
「アレン! アレン、戻って! なんとかしてよ! レオ様が死んじゃう!」
マリアが涙目で叫ぶが、私は冷たく振り返った。
「聖女様の回復魔法でなんとかすればいいでしょう。私のような『役立たず』は、これにて失礼します」
「そ、そんな……いやだ、助けて……!」
「あああああ! アレン! 頼む、戻ってくれぇぇぇ!!」
勇者の絶叫と、聖女の悲鳴を背に受けて、私は宿屋の扉を開けた。
外の空気は澄んでいて美味しい。
呪いの制御から解放された私の体には、膨大な魔力が溢れかえっている。
これなら、次はもっと待遇の良いSランクパーティーに入れるだろう。
私は一度も振り返らず、新しい人生への第一歩を踏み出した。
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